今やヘッドライトは薄目がトレンドとなっており、リトラクタブルは今は昔状態。もちろん衝突安全などの問題もあり、姿を消したワケだが、ここにきて復活の可能性が出てきた。そう、マツダのアイコニックSPにまさかの採用。そこで往年のおもしろリトラを一挙に!!
文/奥津匡倫(Team Gori)、写真/奥津匡倫(Team Gori)、ポルシェ、ステランティス、ジャガー、マツダ、トヨタ
新型RX-7登場で復活なるか!? カバー開閉にポップ式も!? おもしろリトラクタブルライト大特集
■日本でリトラと言ったら……マツダのイメージが強い!?
RX-7はすべてのモデルでリトラクタブルライトを採用。初代(SA22C)は日本におけるリトラ人気に火をつけた1台だ
日本ではトヨタ2000GTでの初採用以降、初代RX-7(SA22C)の採用で人気に火が付き、スポーツカー以外の車種でも見られるようになったリトラクタブルライト。
心情的な部分以外でのメリットはほとんどない機構のため、現在は絶滅している。
それがコンセプトカーとは言え復活するなんて驚き以外の何物でもない。
マツダは国内メーカーの中でもリトラのイメージが強いメーカーで、ICONIC SPの開発チームにはリトラに憧れた人がいたに違いない。
マツダのリトラのイメージはSA22CからFD3Sの3世代RX-7に採用された他、人気を博した初代ロードスター(NA6CE)でも採用されていたのが大きいだろう。
それらのモデルのリトラはごく一般的なシングルアクションのタイプ。
カバーが起き上がるとライトが1つ出てくるタイプはマツダ車以外でも日本車で多く見られたタイプで、MR2や180SX、スープラ(JZA80以前)、NSXなど主要なスポーツモデルもこのタイプだ。
■大ブームを巻き起こしたスーパーカーもやっぱりリトラ
スーパーカーの雄、ランボルギーニ・カウンタックも初期モデルからリトラクタブルライトを採用。同時代のスーパーカーにも多く採用されている
シングルアクション式は同時代の外国車でも多くの採用例があり、とりわけフェラーリで多く採用されていた。
一般的な1灯式のものが多かったが、テスタロッサなど12気筒モデルではロービーム、ハイビーム別の丸目2灯式となっており、ライトオン時の顔つきが印象的なものとなっていた。
12気筒フェラーリ以外でもランボルギーニ・カウンタック、ロータス・エスプリなども片側丸目2灯式。
日本車で4灯式を採用したものは少ないが、3代目のマツダコスモの角型4灯式や、NSXも2灯式と言えるタイプが採用されていた。
フェラーリ、ランボルギーニとくればお次はポルシェ。ポルシェと言えば思い出されるのが928や968に採用されていたポップアップ式。収納時は上を向いた丸いヘッドライトが起き上がるもの。
リトラ採用モデルは収納時に無表情になりがちだが、このタイプは収納時もヘッドライトが見えるため、その車種ならではの“顔”があったことがメリットと言えたかもしれない。
このタイプを採用した他車種は少なく、思いつくのは同じような機構を採用したランボルギーニ・ミウラくらいだろうか。
■変わり種の宝庫!! 60~80年代の外国産可動式ヘッドライト
1972年式ダッヂ・チャージャー。ヘッドライトを覆うカバーが収納され、ヘッドライトが姿を現す。この時代のアメリカ車に多く見られたシャッター式だ
かつてはリトラが世界中で多く採用されていたことから、変わり種も多く存在した。
60~70年代のアメリカ車によく見られたカバーが上下にスライドして点灯するシャッター式や、60年代後半のオペルGTのひっくり返るように出てくる回転式(しかも手動!!)、C4コルベットの2アクション回転式など、ライトの構造ゆえに記憶に残るモデルも多数。
また、ごく一般的なシングルアクション式でも4灯が起き上がるチゼータV16Tなど個性的な可動式ヘッドライトは枚挙に暇がないほどだ。
日本車での変わり種と言うと、カバーだけが開閉するタイプというのもあった。
イスズ・ピアッツァや初代CR-Xがこのタイプ。今になってみると、そこまでして可動式にしなくてもと思えなくもないが、当時の可動式ライトの人気ぶりが分かる。
ちなみにフェアレディZ(Z31)のヘッドライトは完全には収納されない“半目”タイプ。収納時の眠そうな? 表情が印象的だった。これもある意味、個性的リトラのひとつと言ってもいいだろう。
■少年心をくすぐるリトラの魅力は永遠に不変
BMWでは数少ないリトラクタブルライトを採用した850i。可動式ライトが採用されているだけで、何となくスーパーカー的な印象を受けたものだった
今やすっかり過去のものとなったリトラクタブルライトだが、あらためて振り返ってみると実に多くの機構やタイプが存在していたことに驚かされる。
その時代を知っているオジサン世代に懐かしいが、平成生まれの人にとっては珍しく見えるかもしれない。
実物を見る機会はもはや多くはないが、知っていた人も知らなかった人も、今なお少年心をくすぐる機構に心ときめかせてほしい。
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みんなのコメント
セリカも3代目~5代目まではリトラクタブルヘッドライトを装備して
おりましたが、特に異色だったのは3代目の4気筒エンジン車(A40系:1981-85年)
のヘッドライト。
後に83年のMCで完全格納するタイプに変更されましたが、初期のモデルのそれは
角型2灯のライトが、消灯時に強くスラントされたノーズに倒れるように格納
されるという、セミリトラクタブルタイプのものでした。
2代目同様、トヨタの在米デザインスタジオ「CALTY」によるデザインでしたが、
この個性的な顔つき、当時は結構好みが分かれていたのではないかと思います。
何というか、魚のヒラメかカレイの目玉のようで…(笑)
6気筒エンジン専用車の「XX」のほうは完全格納タイプで、ライト下のバンパーに
スモールライトも装備され、スラっと伸びたノーズと相まって完璧なスタイルに
まとまっておりましたが。
当時発売されたあのデザインは
未来感ある車種でびっくりしたわ