ドアミラー後進国から世界初の電動格納ドアミラーが生まれた!
自動車の誕生には諸説ある。18世紀にフランスで誕生した蒸気自動車が世界初といえるし、現在の自動車のルーツとなるのは19世紀にカール・ベンツがパテントを取った原動機付の三輪車とも言われている。また、量産という点では20世紀初頭にフォードによるライン生産のスタートが歴史に名を残している。いずれにしても、自動車産業において日本は後進国といえる。
なくすには惜しすぎる! 時代の流れで消えるも復活してほしいクルマの技術7選+α
とはいえ日本の自動車メーカーは、海外メーカーの後追いをしてきたわけではない。とくに1980年代以降は世界初の技術を連発していた時期がある。世界初という部分にこだわりすぎて本末転倒といえるテクノロジーも生まれたが、その後世界のトレンドを変え、定番になった機能を生み出したことも少なくない。ここでは硬軟織り交ぜ、定番になった日本生まれの技術4選をお伝えしよう。
1)電動格納ドアミラー
まず、最初に紹介するのが「電動格納ドアミラー」。そもそもでいえば1983年まで日本ではドアミラーが禁止されていて、ドアミラー後進国だった。ドアミラーは輸入車だけの装備と認識される時代もあったのだ。しかし、ドアミラーが解禁された翌年の1984年には、はやくも世界初の装備として電動格納ドアミラーが誕生した(日産ローレル)。その電動格納機能は、いまや世界の常識的な装備となっていることに異論はないだろう。
ちなみに、これから増えてきそうなカメラとディスプレイを使った電子ミラーも量産世界初採用はレクサスESと日本車だった。さらにホンダの電気自動車Honda eは電子ミラーだけの設定として誕生した。はたして電子ミラーの時代になっても日本車がトレンドを生み出していくのだろうか。
2)カーナビゲーション
そうした電装系アイテムでいえば、日本発で世界のクルマ社会を変えてしまったのが「カーナビゲーション」だろう。世界初のカーナビは、ホンダが1981年に実現したものだった。とはいえ、当時の地図データはフィルムに印刷されたもので、それをブラウン管ディスプレイの前に差し込んで自車位置を示すというもの。
その後、1990年にマツダのフラッグシップ、ユーノス・コスモに世界初のGPSを利用したカーナビが設定されるなど、このカテゴリーにおいては日本車が世界をリードし続けた。ちなみに、ホンダの世界初カーナビゲーションシステムは、電気・電子の分野において達成された画期的なイノベーションとして『IEEEマイルストーン』に選ばれている。それほど世界を変えた技術というわけだ。
ガソリン車の排ガス処理や四輪操舵システムも日本車がルーツ!
3)三元触媒システム
日本車が生み出してきたのは、目に見える技術だけではない。いまや世界中のガソリンエンジン車に採用されている「三元触媒」を世界初搭載したのは日本車だったりする。それは1977年に誕生したトヨタ・クラウンだった。
当時、世界でもっとも厳しい排ガス規制といわれた昭和53年規制をクリアすべく生み出された三元触媒技術は、CO、HC、NOxという三つの有害成分をひとつの触媒で同時に酸化・還元処理するというもの。この触媒を利用するために理論空燃比(14.7)であることが求められ、そこからO2センサーによる燃料制御という技術も生まれている。まさしく、現在のガソリンエンジンの排ガス処理はクラウンにルーツがあるといえるのだ。
4)四輪操舵システム
最後に紹介するのは、日本ではある種のロストテクノロジー化している四輪操舵だ。こちらも量産車で世界初採用したのは1985年にフルモデルチェンジした日産スカイライン(R31)の「HICAS」で、そのメカニズムはリヤサスペンションを支えるクロスメンバーを油圧で動かしてしまうという力技的な構造だった。
その後、フロントからリヤまでロッドでつなげた4WSをホンダがプレリュード(1987年)で採用した。
さらに日産はSUPER HICASとして油圧や電動で後輪を操舵させるシステムを開発、第二世代GT-Rに採用したことでスポーツドライビングに欠かせない機能として昇華させていったことも印象深い。そんな四輪操舵技術、現在はポルシェやルノーといった欧州系メーカーでハンドリングを向上させるテクノロジーとして採用されていることは、よく知られている。タイムラグはあったが、日本で生まれたシャシーテクノロジーは、世界に評価されたのである。
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