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電動味を増した新しい駆けぬける歓び──新型BMW 330e 海外試乗

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電動味を増した新しい駆けぬける歓び──新型BMW 330e 海外試乗

もはや逃れられない電動化。アウディがe-tron、メルセデス・ベンツがEQC、ポルシェがタイカンと、ピュアEVを続けざまに発表する中、BMWが秘かにジミに半電動プレミアムを進化させた。それがこの2代目BMW 330e。今春日本に上陸済みの新型7代目3シリーズのPEHV、つまりプラグイン・ハイブリッドモデルである。

ボディサイズは全長4715mm、全幅1825mm、全高1450mm。バッテリー増加により車重は1740kgとなり、エレクトリックモードで走るとコンフォートな乗り味がより強調されているように感じる改めて説明するとほぼピュアEVのi3を2013年末に出し、電動化で先行しているBMWは、PHEV戦略でも先行。同じく2013年末にはPHEVスーパーカーのi8を発表し、現在日本でもメインの3、5、7シリーズ、2シリーズアクティブツアラー、SUVのX5でPHEVモデルを出している。その3シリーズ版が旧型330eであり、この新型330eはその正常進化版だ。

それは、電動化された魂──開発担当が語るタイカンに刻まれたポルシェのDNA

プラットフォームは当然新型3シリーズベースで、ボディサイズは遂に全長4.7mを超え、全幅も大台の1.8mを越えて1825mmになった。

いっぽう、パワートレインは一部旧型を踏襲しており、基本となる2リッター直4ガソリンのツインパワーターボのピークパワーは184psと不変。しかしモータースペックが65kWから83kWに変わって電動感倍増。他方、システムパワー&トルクは252ps&420Nmをキープ。ここに関しては旧型と同じだ。

しかし、同時に駆動用リチウムイオンバッテリーも7.7kWhから12kWhへと1.5倍強力になって、フル充電状態からのEV走行距離が30km台から59kmに倍増。簡単に言うと、EVパフォーマンスが倍になっている。

実際にスペックを見ても違いは顕著で、EV走行時の最高速は120km/h、0-100km/h加速が5.9秒になり、フルパワー時の最高速が230km/hに伸びた。BMW流の半電動の駆けぬける歓びがますます増しているのだ。

様々な顔を見せる乗り味果たして実車だが、見た目的にはノーマル3シリーズとほぼ変わらず。7代目になってキドニーグリルが横長になっただけでなく、フチ取りが広くなり、目ヂカラが増した! といったところ。同時に左フロントフェンダーには、充電用のプラグ差し込み口が見える。

かたや肝心のドライブフィールだが、選択した走行モードによりキャラクターは異なる。シフト脇のスイッチで4つのモードが選べるようになっており、電動パワー中心の「エレクトリック」、エンジンパワーとバランス良く使う「ハイブリッド」、加速重視の「スポーツ」、充電状態をより長く保つ「バッテリー」モードが設定されている。

最初のフル充電時に「エレクトリック」を選択。走り出すと確かに加速は旧型よりほんのり良くなっている。モーターパワーが65kWから83kWに上がっており、発進時に最大トルクを得られるモーターだけに出足はいい。とはいえ車重約1.7トンとも言われるだけに格別速くはない。

コックピット周りは新型3シリーズと同様。330eだけの機能として、先述の10秒間だけ最高出力が増加するエクストラブーストがある。それよりバッテリー増加で重くなった分、心なしか取り回しがしっとりしたような。音が静かな分、余計にそれを色濃く感じる。

お次、ハイブリッドモードを選択すると、ある程度ペダルを踏むと勝手にエンジンがかかり、モーターパワーにエンジンパワーが追加される。その繋ぎは極滑らかで上質だが、個人的にはやはりEVパワーだけじゃ物足りないのがよく分かる。特に高速に入るとエレクトリックモードではなく、ハイブリッドモードが欲しくなる。

走行モードはシフトレバー脇のスイッチから選択可能。トランスミッションは8速ATが組み合わされる。さらにパワー重視のスポーツモードを選択すると、アイドリングから常にエンジンがかかっている感じ。実はアクセルオフ時など、エンジンが止まる瞬間もあったかもしれないが、感覚的には常にEVとエンジンが目覚めていて、アクセルを踏んだとたんにガンと出る。個人的にはこれぞBMW! これぞ駆けぬける歓び!! といった感じ。ワインディングに入ったら少なくともこのモードで走りたい。

さらに新型330eで注目なのが、隠しモード的に新設された「エキストラブースト」。これはスポーツモードの2回押し等で選べるもので、通常のシステム出力252psに電動パワーが30kW加味されて292psを味わえる。0-100km加速6秒切りや、最高速230kmはおそらくこのモードで出したものだし、新型の電動力アドバンテージをフルに走りに使った状態。

荷室容量は375リッターに減少したが、40:20:40の分割可倒式リアシートを採用しており、通常のセダンとしての使用用途であれば特に問題は無いだろう。気分的にはモーターパワーが常に全開。スポーツモード以上に、アクセルを踏んだとたん、エンジン&モーターがガツンとフル稼動! 8速シフトも常に低め低めのギアを選び、エンジンが1000回転は高く回っているよう。これぞ新世代のBMW半電動パワーであり、楽しい反面、正直この状態ではあまり燃費も良くないだろう(笑)。

さらに二重人格度を増したBMWのPHEVってなわけで新型330e。ボディから新世代になり、ワイドトレッドになってステアリングフィールや剛性感が増しただけじゃない。電動パワーが増し、それを隠しコマンド的に使っているのが面白い。

旧型比でモーターパワーが1.3倍、電池パワーが1.5倍になって、それをまずエコな方向に使うのがあるべきPHEVの姿であり、それを体現するのが「エレクトリック」と「ハイブリッド」モード。一方それを真逆の走りにふったのが「スポーツ」や「エキストラブースト」モードで、ある意味これぞBMW。

設定によってキャラクターがジキルとハイドほどに変わるPHEVが、より二重人格度を増したのである。普段は電動力中心で大人しく走れ、時に山道では激しく熱く走れる。

そうでなくてもBMWのPHEVは、2シリーズなどのFF系を除き、FR系はすべて電動モーターをギアボックスに入れ、あくまでも走り味のいいリアドライブを保ち続けている。安易に電動4WD化せず、BMW流の駆けぬける歓びをPHEVになっても提供し続けているのである。

ちなみに聞くところによるとBMWの電動化戦略は順調だそう。日本では目立たないものの2018年、BMWはグローバルでピュアEVとPHVを合わせて14万台も売ったとか。

つまり全体の6%以上なわけで、一部PHEVへの補助金の多い国では、3シリーズの約3割を330eが占める場合もあるとか。

着々と電動化を進めるBMW。果たしてより濃く二重人格度を高めたBMWの半電動駆けぬける歓びは、3シリーズ好きの日本でも受け入れられるだろうか。

文・小沢コージ 写真・BMWジャパン 編集・iconic

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