渋滞時に作動させると動画鑑賞も可能!
自動車はまた一歩未来に近づいた。「未来のクルマは自動操縦になり、走行中に車内のモニターでTVや映画を見るほか自由に……」と言うその”自由の内容”はまだまだ制限されるものの、夢に描いた内容は現実になりつつある。
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もちろんそうした利便性、快適性のための自動化技術ではない。すべては交通事故に遭わない社会と未来の交通網を構築するためだ。
「人間はミスを冒す!!」。 そこを電子の目と知能と制御がヒトに代わって素早く察知し操作する。
”自動運転”という言葉が横行しているが、公道において現状はある限られた条件でのみ作動する。そして正式に自動運転と呼べるのは、レベル3として型式認可されたレジェンドに追加された「ホンダセンシングエリート」搭載モデルが世界初である。
「エリート」の内容には、トラフィックジャムパイロット=渋滞運転支援機能。ハンズオフ機能付車線内運転支援機能。ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能。緊急時停止支援=ドライバーが運転操作要求に従わない場合(体調の急変も含む)、周囲に警告を行ないながら減速し路肩に寄せて停止。が含まれる。
安全に対するホンダの真摯な取り組みは、過去の安全技術について言えば、1987年の国産車初のエアバッグに始まり、ABS、レーダーとカメラを使う運転支援、追突軽減ブレーキと、いまや常識のカーナビも、後輪を操舵する4WSも世界に先駆けて実用化した。エンジン屋として、レースのイメージが先に立つが、二輪メーカーとしてスタートしたホンダの安全に対する想いは他社にも増して強い。
国産初のレベル3は偉業ではあるが、先に出したから偉いというよりも、一般社会に放たれた事で、リアルな世界で想定外の事態に直面し、さらに鍛えられ進化することに期待ができるものだ。それをホンダがやる、と言うのだから精度の高さ、安心、安全性にも期待できるが、果たして現実はどうだろう。
ただ、標準モデルに対してプラス300万円となり、車両価格は約1100万円!!
100台の限定でリース販売となるため、誰もがすぐに乗れるクルマではない。それがゆえに、こうして試乗した印象をお伝えしても実感がわきにくいだろう。だが、過去に試乗したことのある現行レジェンドのレベル2・ホンダセンシングと、レベル3・ホンダセンシングエリートを比較すると、その違いは明快に伝わると思う。
機械が人間の好き勝手な行動に対応することが、極めて難しいことは、街を歩行中、もしくは駅の構内を移動中の移り気な人間の動作を見ればわかるハズだ。その人間がクルマを操縦して世のなかを動き回り、さらに不注意や未確認によるミスなどが加わるのだから、危険極まりない。
そうした困難な状況のなかで、レベル3「エリート」に加えられた注目の機能は、渋滞運転支援=トラフィックジャムパイロットだ。
これは、自動車専用道路で前後に車輌がいる渋滞状況で、速度が30km/h以下のときに条件が揃うと作動させられる。このとき、ドライバーはステアリングから手を放し、さらに「よそ見」をすることが可能だ。飲食やスマートフォンの操作などはすべきでないが、車内のモニターで映画などの映像を楽しむことができる。
クルマは自動で前車との間隔、車線変更して割り込んで来る車輌を検知し、車間を開ける。渋滞が解消して車速が50km/h以上になると「エリート」の設定条件から外れるため、メーターパネル内がオレンジ色に発光してドライバーがハンドルを握るように警告。それはつまりドライバーが操作せよ、ということである。ハンドルを握り操作すれば警告は消えるが、足の操作、ブレーキ操作することも必用になるのだが、それを忘れてしまう可能性がある。
この切り替えのポイントでヒトが即座に操作に復帰できるか……疑問が残った。
レベル2領域の運転支援が進化していた
じつはその場面に直面した際、ボクはステアリング操作はしたが、足の操作、つまりACCの追従機能が活きていると思い、クルマに任せていると前走車に急接近! 慌ててブレーキペダルを踏み込んだ。こうした領域の切り替わりポイントは自動制御の難しさの一端であり、ACCでもRの大きなコーナーの立ち上がりで何の予告も前触れもなくキャンセルされた。
我々はさまざまなクルマ、デバイスのテストドライブの経験が多く、事前に色々な技術説明を受けているため、そう言う事もあるだろう、と構えているから対処できるが、一般ドライバーには難しい場面ではある。
同様に、レベル3領域で自動運転中に、車線変更して自車の前に割り込む車輌に対して車両の制御に任せていると、どう見ても接触すると言う状況もあるようだ。これはドライバーが目視していればブレーキ操作なり、ステアリング操作で回避できるが、モニターを見ているなどの状況で素早く対応できるかどうか……難しいところだ。
高速道路でレベル2を搭載する現行レジェンドのACCを作動させ前走車を追従している際に、コーナーにさしかかると、前車を見失なったのだろう、急に設定速度に加速したかと思いきや、コーナーの外壁やガードレールを認識した途端、急減速するなど、カメラ機能やセンサー類の精度の違いをまざまざと感じさせるシーンがあった。
同様に前車が車線変更した、急に前に入られた場合も、クルマ側が状況を判断するまでに空白の間が開く。
ところがレベル3の「エリート」を積む新型レジェンドでは、レベル2領域の機能が、より高精度で、高性能になり、きめ細やかな制御を行うようになっていた。前車の追従もコーナーで見逃さず追従も正確だし、車線維持支援=LKASが車線の中央を正確にトレースして行く。外壁やガードレールに過敏に反応しないため、急減速も加速もなく自然な走行ができるようになっていた。
さて、カメラ、レーダー、ライダーなど多くが装備されていることで、レベル3搭載は目でも判るが、まだ知る人ぞ知る状態。前後バンパースポイラーに埋め込まれたライダーの近くに青色LEDが点灯する事でレジェンドの最新モデルだとわかるヒトにはわかる。本来はレベル3が作動時に青色LEDを点灯させたいが、現状は叶わず、常時点灯でホンダセンシングエリートのレベル3搭載車である事を知らせている。
レベル3はまだ道半ば。しかし手放しで喜ぶべき何かがあるとすればそれは、レベル2領域のブラッシュアップ、完成度の高さにある! と断言できる。
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みんなのコメント
しかも隣に乗ってたホンダの開発者曰く『あれは相手が悪い』と・・
呆れて物も言えません。(゚Д゚;)
都心の高速でごく普通に見る合流に対応できずに何が世界初なのかと思う。