Porsche 911 (964) Carrera 2 Coupe
ポルシェ 911 (964) カレラ 2 クーペ
北欧の凍結湖を空冷ポルシェ 911で走る! ウィンター・パフォーマンス・トレーニングをレポート
964カレラ2を使った凍結湖でのドライビングレッスン
1991年式ポルシェ911(964)カレラ2が、まるでフィギュアスケーターのように氷上に美しいサークルをトレースする。それは美しい白昼夢のような光景だった。
チーム内でドライバー同士がポイントをつけ合うということは滅多にないだろう。しかしここスウェーデン・ラップランドの凍結した湖で行われている「ウィンター・パフォーマンス・トレーニング」では、コースから外れたドライバーにはペナルティとして「ムース(ヘラジカ)ポイント」が与えられる。
コースオフした場合は1ポイント、雪壁に突っ込み脱出に牽引フックを使用する場合は3ポイント。これは厳しい罰則だろうか。いや違う、ここには楽しさしかない。ムースポイント・バッジをジャケットにピン留めして、誰もが笑顔を浮かべるだけなのだ。
まず覚えなければならないのは、クルマをスライドさせるとコースを台無しにしてしまうということ。登場するのは、雪と氷のコースを作るという重要な任務を持った男「アイスメーカー(Icemaker)」だ。
コース設備を担当する地元出身の“アイスメーカー”
アイスメーカーのシーズンは12月1日にスタートする。なぜ12月の初日というキリのいい日になったのだろう? この問いに対してアイスメーカーのヨハン・セルボムは「いつもそうだったからですよ」と、肩をすくめた。
31年前にスウェーデンで生まれた彼は、ストックホルムから北へ859kmの位置にある湖の3分の1を所有している。スノーモービルや特殊な工具が取り付けられたトラクターなど、ヨハンが所有する“大部隊”は見るからに強力で、その隣に置かれたポルシェ911がまるでオモチャのようにも見える。
「凍結湖の準備は、いつも氷の厚さを測定することから始まります。その後、担当者がコースレイアウトを決定します」と、セルボム。
氷上に積もった雪を吹き飛ばし、ヘラジカの道を意味する「ムースロード(moose road)」をつくる。作業から170時間後、湖を横断するコースの下準備が完了。GPSデータに基づき、セルボムはムースロードの左右にある雪と氷でスノーバンクを作り、コースを形作っていく。そのレイアウトはベルギーのスパ・フランコルシャンのコーナーなど、有名なレーシングコースにもよく似ている。
アイスメーカーはドリフトも得意だ。「時間があれば、ここでインストラクターとして働くこともあります」と、セルボムは笑顔を見せた。また、コースを後にする前にコーナーに積もった雪を払うのも彼の日課だ。夜間にも雪は降るため、早朝に再びコースを完璧に整備する。
講師は元プロレーシングドライバーのパトリック・サイモン
この地でアイスメーカーに次いで重要なのが、イベントの講師である「ぺトロールヘッド(Petrolhead)」だ。ドイツ・ウィスバーデンで生まれたパトリック・サイモンは、現在ニュルブルクリンクVLN耐久選手権のサーキットインタビュアーを務め、ADAC GTマスターやフォーミュラEでは中継のコメンテーターとしても活躍している。
サイモンは1988年にカートでレースキャリアをスタート。ポルシェ・カレラ・カップ、ドイツ・ツーリングカー・チャレンジ、ドイツやヨーロッパのフォーミュラ・フォード、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦経験を持つ。彼は現役レーシングドライバーの時代から、冬の時期はラップランドに4週間滞在してきた人物だ。
「ヒストリックカーの魂を体験するのはいつだって楽しいことです。飽きるなんてありえません。凍結湖でポルシェを運転するのは最高に気持ちがいいんです」と、サイモン。
身長193cmの偉丈夫な彼には怖いものなど何もないように見える。冷静さを特徴とするが、自身が手がけたウィンター・パフォーマンス・トレーニングについて語り始めると、途端に情熱が溢れ始めた。
「ここは夢が叶う場所です。ヒストリックカーを使って限界レベルに近い走りができるなんて他にあるでしょうか?」と、サイモンは911 カレラ2のシートで微笑んだ。
数日間をかけて氷上での適切なドライビングを習得
この冬は3回のウィンター・パフォーマンス・トレーニングが開催される。サイモンは夏の間にプログラムを用意し、ポルシェ以外にもいくつかの車両を準備してきた。
「このプログラムにおいて、参加者は凍結湖で制御されたドリフトを体験します。トレーニングでは正しいブレーキング、回避行動、荷重移動の練習など、ステップバイステップでドライビングを学ぶことができます。様々なハンドリングコースを舞台に、参加者は小グループに分かれてクルマと自身の限界を同時に経験できるのです」と、サイモンは説明する。
参加者は前を走るサイモンの車両を追ってコースを走行。彼はレッスン中、左手にトランシーバーを持ちながら、器用にマシンを操作していた。そして、ウィンター・パフォーマンス・トレーニングの初日に、彼は華麗なテクニックで美しいドリフトを披露してくれた。
参加者誰もがモチベーションに満ち溢れていた。周囲の世界を忘れて、完璧なステアリング角度、適切なスロットル開度、ブレーキング、ドリフトを始める完璧なタイミングなどに没頭していた。そして氷上で完璧なドリフトを決めた瞬間、そこには「ついに欲しいものを手に入れた!」という得難い感情が溢れてくるだろう。
ドライブ後、腕や首に残ったどこか心地よい痛み
ラップランドほどドラマチックな夕焼けが見られる場所はないかもしれない。日没前の数分間、小さな雪の結晶が目の前で輝き美しいダンスを繰り広げる。冬には気温がマイナス40度まで下がり、少しの幸運と忍耐があれば空に舞うオーロラを見られるかもしれない。
参加者がオーロラを探して空に視線を移し始めると、ウィンター・パフォーマンス・トレーニングでは厳しいナイトセッションがスタートする。暗闇を切り裂くのはスノーバンクに反射したヘッドライトの光だ。
この頃になると参加者たちには競争心が芽生えてくる。もちろんレースやタイムアタックは行われない。誰もがここでずっとドライブしていたいという純粋な想い、「もっとうまくなりたい」という欲求だけを持っている。そしてステアリングを強く握り、指の関節が白くなるまでひたすらコースで走り込む。
参加者はトレーニングを通して、氷上ではヒストリックカーだろうと最新のスーパースポーツだろうと、グリップの限界は変わらないことを理解するだろう。そして、凍結路での集中的なドライブはまた、腕や首に筋肉痛をもたらす。その心地よい痛みは、トロフィー以上の価値があると感じるはずだ。
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