現在位置: carview! > ニュース > イベント > 進化の証明 スバルBRZ GT300 不得手の富士スピードウェイで2位表彰台 スーパーGT2020第2戦

ここから本文です

進化の証明 スバルBRZ GT300 不得手の富士スピードウェイで2位表彰台 スーパーGT2020第2戦

掲載 更新 3
進化の証明 スバルBRZ GT300 不得手の富士スピードウェイで2位表彰台 スーパーGT2020第2戦

SUBARU BRZ GT300がスーパーGT第2戦 富士スピードウェイで2位表彰台を獲得した。レース中盤までトップを走る快走も見せ、2019年シーズン終了後から取り組んだマシン改良の成果を示すレースとなった。


スバル/STIは、2019年のレース終了後に、これまでの走行データやサーキット、天候などの環境データを元に、BRZ GT300の改善に取り組んできた。そのプロセスはお伝えしてきているが、データを集める技術と解析技術、そして改良仕様のタイムを予測する技術の進化によって、新しいBRZ GT300が製作されたわけだ。

ボルグワーナー製の電気駆動ユニットをフォード「マスタング マッハE」が採用

それはエンジンの搭載位置変更、前後重量配分の変更、ロールセンター、サスペンションジオメトリー、空力とほぼ全領域にわたって効果を表している。さらにエンジン、トランスミッションなどのハード部品への信頼回復のための改良も行なっている。そうしたマシン単体だけでなく、ダンロップタイヤとの協業で新しい性能のタイヤ開発まで広範囲に渡って開発が進んでいた。

その進化が実を結んだ結果と言えるレースだった。


土曜日ボディの補剛を

土曜日の午前中、公式練習が行なわれる。そこでドライバーの山内英輝選手から「100Rの舗装が変わった影響がマシンにある」というコメントが出た。それは路面のグリップが非常によくなったため、もっと攻めていけるということだ。その背景にはダンロップがこのレースのために、新しいタイプのタイヤを持ち込んでいたことも影響している。

だから、マシンのボディ剛性を上げればさらに旋回速度をあげられるだろう、ということで公式練習中に補剛材でボディ剛性の変更をピットで行なっている。

その一方で、天候や路面温度を予測して本命と位置付けているタイヤのテストも行ない、他にも次戦以降のためにスペア用ブレーキローターの焼入れ作業など、さまざまな「仕事」をこなしながら公式練習を走った。こうした状況の中、山内選手は3番手のタイムを計測している。

新タイヤとボディの補剛という変更について、渋谷真総監督に話を聞くと「それなりの効果はわかっていますが、やはりテストをしていない状況で、この場だけのテストで本番採用するにはリスクがあると思います」ということで、今回はボディの剛性変更は採用せず、タイヤも本来の本命タイヤで予選、決勝を走ることになった。


予選4位レブリミットがあたる

スーバーGT第2戦のGT300クラスには、30台のエントリーがありQ1予選は2組にわかれて走る。各組上位8台がQ2予選に進み、BRZ GT300はA組で井口卓人選手が走行。そこでは1分37秒011で、予選A組トップを獲得するナイスランを披露した。その後GT300のB組が走行し、GT500のQ1が行なわれる。そうしたことで、路面にはラバーが乗り、コンディションはさらにグリップが高くなってくる。

予選Q2は山内英輝選手がタイムアタック。そうした路面状況の変化を活かし井口選手を上回る1分36秒445を叩き出した。がしかし、そうした優位性は他チームにも同じことが言えるわけで、予選トップは6号車1分36秒270でわずか0秒175届かず4位となった。その0秒175のギャップに4台がひしめき合う接戦でもあった。

予選後山内選手に話を聞くと「100Rでレブにあたってマシンが暴れたんですよね。ひとつギヤをアップすると遅いから、引っ張ったんですけど。これだけ燃料を少なくして軽い状態だからの現象なので、決勝ではレブにあたることはないと思います」とコメントした。

エンジンの回転がレッドゾーンとなり、その反動でマシンの挙動が乱れると言っているのだ。これまで何度も走っている100Rだから、オーバーレブになるギヤ比ではない。つまり、明らかに車速が上がっている証拠でもあるのだ。100Rの攻略については「見える化シリーズ」の第1弾で詳しく解説しているので、参考にしてほしい。


関連記事:SUBARU BRZ GT300 敵を知り何を補うか その裏側 見える化シリーズ第1弾【スーパーGT2020】 

もちろん、山内選手が言うように舗装が変わったことも要因の一つだろうが、マシンの旋回性をあげた改良の成果が出たというのが正解だ。

決勝 優勝に手が届くも・・・

決勝はセカンドローの4位からスタート。ドライバーは山内選手で、スタート1周目のコカ・コーラコーナーで55号車NSX GT3をパス。4周目に2号車ロータスをパスして2位に浮上した。1秒280離されていたトップ6号車86より速いラップタイプで追走する。

BRZ GT300が富士スピードウェイをあまり得意としない理由に最高速度がある。ライバルより最高速が遅いため、コーナリングで稼ぐという性格のマシンだからだ。国内随一のロングストレートを持つ富士では、その最高速度の影響は大きい。

トップを追走する山内選手のオンボードカメラには、ストレートで追いつけない、離される状況をハンドルを叩いて悔しがる映像が流れている。この日、BRZ GT300は手元集計では271.51km/hが最高で、NSXやアストンマーティンは軒並み275km/hを超えていた。

そうしたハンデがありながら山内選手はトップ6号車を捉え10周目にトップを奪った。じつはその前の7周目の最終コーナーで6号車に並び、トップを奪うかに見えたがリヤがスライドして逆に3位の2号車に危うく差し返されそうになる場面もあった。


トップを奪った山内選手は、2位を引き離すことはできず0秒5前後の距離を保ちながら周回を重ね、25周を終えたところでピットインし井口選手に交代した。

このレースではGT300クラス全車に安全性の観点から、タイヤの4本交換が義務付けられており、またチームには燃料の給油速度を制限するリストリクターが取り外されている。その好条件を活かして井口選手はピットアウトした。

その間トップに立つ2号車ロータスは、BRZ GT300のピットインを見て、できるだけ差を広げる戦略をとった。レース後ドライバーからは「タイヤが持つか不安でしたけど、BRZをリードするためにギャンブルにでました。結果、タイヤがもって無事ピットインできたことが大きかった」と加藤寛規選手は語っている。

井口選手がドライブした時点でトップ2号車とは4秒以上離されていた。井口選手もトップのマシンが視界に入っているだけに戦闘モードだっただろうが、追いつけなかった。それでもBRZ GT300は2位でチェッカーを受け、富士では2017年以来の入賞となった。


結局は燃料リストリクターが外されても燃費の悪いBRZは給油量が多いため、時間がかかる結果になった。EJ20型市販エンジンを改良したターボ車とレース専用に開発されたGTA V8型自然吸気エンジンでは燃費に差があるという結末だった。

レース後井口選手は「以前はピットアウトすると、ライバルのマシンは7秒以上先にいっちゃうので、視界には入らなかったんですけど、今回は見えていたので、追いかけやすいしやる気も出ます。けど、追いつけなかった」とコメントしている。

マシンは安定して速い

優勝が目の前にあっただけにチームは2位の成績を両手離しで喜んではいないが、オフシーズンの改良の成果が出たレースだと思う。さらに言えば、100Rをさらに速く走れる糸口が出てきたわけで、より速くすることができる価値の高いレースだったに違いない。

そしてドライバーも口を揃えて「マシンは速くて安定している。バランスもいい」といい、これまでフロントのダウンフォースが足りないことによる走りにくさが改善されていることが伝わってくる。


驚いたことに、フロント先端のカナード部分をボックスタイプで予選、決勝を走っているが、渋谷総監督によると、カナードのほうがダウンフォースが得られるので、予選はカナード、決勝はボックスで行く予定だったという。だが、ドライバーはフロントのダウンフォースが少ないボックスタイプで予選を走っているので、こうした部分でもまだ伸びしろがあること、BRZ GT300のポテンシャルがあがっていることが垣間見えるレースでもあった。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

JRPA日本レース写真家協会が2024年モータースポーツ写真コンテストを開催。11月から作品を募集
JRPA日本レース写真家協会が2024年モータースポーツ写真コンテストを開催。11月から作品を募集
AUTOSPORT web
シトロエン『ベルランゴ』改良新型を日本発売…新世代デザインと最新ロゴ採用
シトロエン『ベルランゴ』改良新型を日本発売…新世代デザインと最新ロゴ採用
レスポンス
デロリアンとフォードGTをEVで蘇らせた! 単なるEVコンバージョンじゃないリンクス・モータースの激熱な「新車」
デロリアンとフォードGTをEVで蘇らせた! 単なるEVコンバージョンじゃないリンクス・モータースの激熱な「新車」
WEB CARTOP
屋根なしルックはマジでイケてる! たった92台だけが生産された「MRスパイダー」という幻のオープンスポーツ
屋根なしルックはマジでイケてる! たった92台だけが生産された「MRスパイダー」という幻のオープンスポーツ
WEB CARTOP
母国ファンの応援で気合注入! 予選5番手の山中琉聖「ペース的にはすごく良い。晴れだったら思いっきり行く!」
母国ファンの応援で気合注入! 予選5番手の山中琉聖「ペース的にはすごく良い。晴れだったら思いっきり行く!」
motorsport.com 日本版
「半世紀前のバス」運行へ!夏は走らないレア車両 埼玉の秘境で“試乗会”
「半世紀前のバス」運行へ!夏は走らないレア車両 埼玉の秘境で“試乗会”
乗りものニュース
約58万円! ダイハツ製の「“ひとり乗り”軽トラ」がスゴイ! “軽規格”より小さい「超ミニサイズ」採用! しっかり4輪で“公道走行可能”な「MIDGET II」とは
約58万円! ダイハツ製の「“ひとり乗り”軽トラ」がスゴイ! “軽規格”より小さい「超ミニサイズ」採用! しっかり4輪で“公道走行可能”な「MIDGET II」とは
くるまのニュース
「1秒の充電で1.7km走れる」世界初、1000kW級充電器が登場
「1秒の充電で1.7km走れる」世界初、1000kW級充電器が登場
レスポンス
パフォーマンス向上だけでなく装備もアップデート! 三菱 アウトランダーPHEVがマイナーチェンジ
パフォーマンス向上だけでなく装備もアップデート! 三菱 アウトランダーPHEVがマイナーチェンジ
WEB CARTOP
故ケン・ブロックの娘、スバルWRXで米ラリー最終戦に出場へ「ラリーは私の故郷」
故ケン・ブロックの娘、スバルWRXで米ラリー最終戦に出場へ「ラリーは私の故郷」
レスポンス
ホンダ『N-BOX』が2024年度上半期で10万台超、新車販売でトップに
ホンダ『N-BOX』が2024年度上半期で10万台超、新車販売でトップに
レスポンス
【Moto3】レースペースに自信を見せる鈴木竜生……それだけに悔しい日本GP予選17番手「何かくだらない予選になってしまった」
【Moto3】レースペースに自信を見せる鈴木竜生……それだけに悔しい日本GP予選17番手「何かくだらない予選になってしまった」
motorsport.com 日本版
今週、話題になったクルマのニュース3選(2024.10.5)
今週、話題になったクルマのニュース3選(2024.10.5)
@DIME
“約172万円”のホンダ新型「フィット」登場に反響多数! 大人気「コンパクトカー」の進化に「コスパ抜群」の声! 選択肢豊富すぎる「新モデル」が話題に
“約172万円”のホンダ新型「フィット」登場に反響多数! 大人気「コンパクトカー」の進化に「コスパ抜群」の声! 選択肢豊富すぎる「新モデル」が話題に
くるまのニュース
日本GP目前! アライヘルメットがMotoGPライダー中上貴晶選手の新たなレプリカモデル「RX-7XナカガミGP3」を発売
日本GP目前! アライヘルメットがMotoGPライダー中上貴晶選手の新たなレプリカモデル「RX-7XナカガミGP3」を発売
バイクのニュース
【あぶ刑事】トオルが愛した[セフィーロ]!港306がトミカリミテッドヴィンテージ NEOに登場!至急チェックせよ!
【あぶ刑事】トオルが愛した[セフィーロ]!港306がトミカリミテッドヴィンテージ NEOに登場!至急チェックせよ!
ベストカーWeb
【カワサキ】モーターサイクル事業 70周年特別展示“70 Years of Good Times”の第三弾が10/1からカワサキワールドにて  
【カワサキ】モーターサイクル事業 70周年特別展示“70 Years of Good Times”の第三弾が10/1からカワサキワールドにて  
モーサイ
三菱 アウトランダーPHEVを大幅改良。日本では2024年秋、欧州では2025年春に発売開始
三菱 アウトランダーPHEVを大幅改良。日本では2024年秋、欧州では2025年春に発売開始
Webモーターマガジン

みんなのコメント

3件
  • BRZ GTは、エンジンが壊れなければ速いんです。
    壊れなければ……
  • EJ20でもまだまだ戦える。
    古いんじゃない。熟成の途中なんだ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0550.0万円

中古車を検索
BRZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

79.0550.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村