イベント [2024.05.10 UP]
フォーミュラEが東京にやって来た!日本初開催の本格市街地レースがもたらしたもの
NEWS CATCH UP/[Formula E 2024 Tokyo E-Prix]東京で開催された電気自動車レースが成し遂げた価値と意味
海外からも注目のファンイベント「ルノーカングージャンボリー2024」10月27日開催
文●ユニット・コンパス 写真●日産、Formula E
(掲載されている内容はグー本誌2024年5月発売号「NEWS CATCH UP/[Formula E 2024 Tokyo E-Prix]東京で開催された電気自動車レースが成し遂げた価値と意味」記事の内容です)
東京で開催された電気自動車レースが成し遂げた価値と意味
「止まれ」の道路標示をマシンが猛スピードで走り抜ける。頭上には新交通ゆりかもめがとおり、その脇には見慣れた東京ビッグサイトが。子供の頃にみたアニメのような光景が現実に起きている。
走っているのは電気自動車のレーシングカーなので排気音はないが、ものすごい加速とヒューンという高音のギアノイズと風切音が相まって実際にはかなりの迫力がある。市街地レースは、これまでない新鮮な体験を与えてくれた。
3月末に開催された「フォーミュラE シーズン10 第5戦 東京E-Prix」は、電気自動車のレースというだけでなく、日本で初めて行われた本格的な市街地レースとしても歴史的なイベントになった。
通常レースが行われるのは、都市部からクルマで2時間ほど離れた常設サーキット。施設として大きな敷地が必要だし、騒音問題が起きないように街中から離れた場所に作られることがほとんどだ。なのでレース観戦は早朝に出かけて、夜に帰ってくることが多いし、交通費もそれなりにかかってくる。それに対して今回の会場は都心から電車で数十分のアクセスなので、気軽さがまるで違う。それだけでも、新規のファンを取り込める可能性は高い。
従来のサーキットも、キャンプやBBQができるスペースを用意するなど努力しているし、ラリーは町おこしとセットで魅力を訴求している。フォーミュラEがきっかけでレースファンが増えれば、他のカテゴリーにもいい影響がおよぶだろう。
電気自動車レースならではのルールもおもしろい。特定のエリアを通過するとフルパワーが解放されたり、電池残量がレースの大事な駆け引きになったりするのだ。シーズンはまだ始まったばかりだし、BSでの放送もある。来年の東京大会に向け、今から見始めてはどうだろうか。
首相や都知事も登場した日本初の本格市街地レース
日本で初めての開催となったフォーミュラE。コースは東京都の有明にある東京ビッグサイト周辺に特設。コースの一部は公道を封鎖して設定された。レースによる騒音が少ないこと、電気自動車による競技ということで、脱炭素社会に向けた取り組みとして国や東京都もバックアップ。岸田首相と小池都知事もセレモニーに参加した。
日産チームは母国開催ということでグランドスタンドに日産応援シートを用意し東京ラウンド限定のカラーリングで参戦。多数のファンが駆けつけ、フラッグと声で選手たちを応援した。
日産チームはオリバー・ローランド選手が予選から好調で、決勝レースでもマセラティと接戦を演じ、見事2位表彰台を獲得した。
日産は「ニッサン・インテリジェント・モビリティ」を通じて市販車の電動化にも早くから取り組んでいる。電気SUVのアリアにもNISMOモデルが追加された。
[いまさら聞けない基礎知識]「Formula E」はどんなレース?
電気自動車のフォーミュラマシンで競われる市街地コースでのレースシリーズ。2020-2021年のシーズン7から世界選手権として開催されている。シングルシーターのマシンは2023年には第3世代モデルに進化。最高出力は350kW(476馬力)で、最高速は322km/hに到達する。2024年1月に開幕したシーズン10は、11チーム22台が参加。世界各国で全16戦が予定されている。
モータースポーツは市販車の進化にも繋がる
日本メーカーでは日産が唯一参加しているフォーミュラE。マシンのシャシーやカウルは統一だが、モーターや制御部分は独自に開発可能。ここで培った技術は市販車にも活かされていく。モータースポーツが走る実験室というのは、電動化の時代でも変わらない。
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