ランボルギーニ大躍進の立役者であり、ベストセラーカーであるスーパーSUV「ウルス」のハイパフォーマンス版、「ペルフォルマンテ」がザ クエイル モータースポーツ ギャザリングで初公開された。そしてこのSUVが持つ高性能ぶりを証明するため、ランボルギーニはパイクスピークでのタイムアタックに挑戦、新記録を達成したのである。(Motor Magazine 2022年10月号より)
ベントレー ベンテイガの量産車最速タイムをスルー
パイクスピークといえばコロラド州ロッキー山脈に繋がる山のひとつで標高は4301m、毎年アメリカ独立記念日前後に開催されるヒルクライムレースが有名だ。ちょうど100回目を迎えた2022年は6月26日に行われ、ロビン・シュートがアンリミテッドクラスでドライブした2018ウルフTSC-FSが総合優勝した。
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このタイムトライアルの興奮が落ち着きはじめた7月初旬、ランボルギーニからこのパイクスピークへの招待状が届いた。「なんで今頃?」と思ったが、よく読めば「ウルスプロジェクト」なる文字も見える。指定されたコロラドスプリングスのホテルへ到着してプログラムを見ると「朝の4時半に用意されたウラカンSTOでパイクスピークへ出発」とあった。
いくらコロラド州の最高法定速度が約120km/hと全米でも速い方とはいえ、STOの最高速度は310km/h。しかもブルーとオレンジのカラーリングでとても目立つ。案の定ハイウエイでパトカーに止められ、身分証明書の提出を求められた。何とか無事にパイクスピークヒルクライムのスタート地点近くの駐車場に到着すると、そこにはカムフラージュされたウルスが特設ピットの中でメンテナンスを受けていた。
ここでようやく明らかにされた事実は、このウルスは8月19日に開催されるペブルビーチで初披露されたパフォーマンス版「ペルフォルマンテ」の量産試作車だった。そしてデビューを飾るためにパイクスピークで量産SUVの最速記録を樹立すべく、準備が行われていたのである。つまりレース開催時には、量産SUVクラスのホモロゲーションがまだ取得されていなかったため、スペックが決定したこの時に、改めて記録に挑戦しようというのである。
パイクスピークは有料道路で、さらに通行時間制限があり、一般通行は朝9時から始まるためランボルギーニチームは、それよりも前の時間にルートを借り切って記録挑戦を行っていたのだ。
そして公式計時チームの下、イタリア人ドライバーのシモーネ・ファッジョーリによって標高2862mから頂上の4301mまで標高差1439mある約20のワインディングコースを10分32秒064で走破、これまでベントレー ベンテイガの持っていた、量産SUVとしての記録10分32秒902を破ったのである。
軽量化し666psを発生0→100km/hは3.3秒
さて、改めてウルス ペルフォルマンテを紹介しよう。ベースになったのは2018年に登場したスポーツSUVで、2021年は5240台が生産され、ランボルギーニの記録的な販売台数に大きく貢献した。そして3年目に入った2022年に改めてハイエンドバージョンの追加が決定されたのである。
2022年8月19日にザ クエイルモータースポーツ ギャザリングで一般公開されたウルス ペルフォルマンテは、グリーンのボディにルーフやボンネット、フロントスカート、ディフューザー、ルーフスポイラーなどがカーボンでブラックアウトされたトーンカラーで登場。
またこれらによって車重はのダイエットを達成している。さらに車高は低められ、広がったトレッドを持ったスポーツシャシが採用されハンドリングの向上も図られている。
インテリアは、ハンドルの時位置に真っ赤なマーキングが施され、さらにカーボンとアルカンタラによるトリムでスポーツムードが高められている。搭載されるV8ツインターボエンジンはウルスより16psアップの666psを発生、0→100km/hも0.3秒上回る3.3秒となり、最高速度は306km/hに達する。
ステファン・ヴィンケルマン社長によれば、このペルフォルマンテは、顧客の期待も大きく、おそらくウルスの販売台数を40%引き上げることを確信している。
出荷は、22年末から開始、価格は欧州が21万8487ユーロ(約2750万円)、アメリカでは26万0676ドルと発表されている。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス、アウトモビリ ランボルギーニ S.p.A)
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