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他車の失格で転がり込んだポール。イングラムが2勝を挙げヒルと同点首位で最終戦へ/BTCC第9戦

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他車の失格で転がり込んだポール。イングラムが2勝を挙げヒルと同点首位で最終戦へ/BTCC第9戦

 タイトル争いの天王山を迎えたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権第9戦が、9月20~22日の週末にシルバーストンのGPサーキットで争われ、ここで自身約10年ぶりにポールポジションを獲得したインディペンデント登録のアーロン-テイラー・スミス(エバンス・ハルショウ・パワー・マックス・レーシング/ヴォクスホール・アストラBTCC)だったが、他2台の僚友もろとも「セッション後の車高チェックに不合格」との判断が下され、最終結果から除外される事態に。

 これで最前列スタートを手にしたのが、今季もタイトル候補の一角を占める2022年王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)で、前戦で選手権首位の座を奪われたジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズMBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)に対し、週末の3ヒートを“2勝1敗”の内訳で終えることに。

トヨタのクックが今季初ポール獲得も、決勝3ヒートはBMWとフォードが勝利を分け合う/BTCC第8戦

 この結果、すぐさま迎えるシーズン最終戦10月4~6日のブランズハッチでは、イングラムとヒルがポイント同点で臨むとともに、数字上で可能性が残される6名のドライバーによる直接対決の舞台が整う熾烈な展開となっている。

 王者アシュリー・サットン(NAPAレーシングUK/フォード・フォーカスST)を擁する4台体制のフォード陣営のうち、ダン・カミッシュとサム・オズボーンの2台がカラーリングを変更し、メインパートナーであるバルボリンのオイルブランド“VR1レーシング”の復刻を祝うスキームが発表された第9戦のレースウイーク。

 その走り出しとなるフリープラクティス(FP)から好調さを披露したのは、ヒョンデ陣営のブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8で、ここでは“もうひとりのトム”ことWTCC世界ツーリングカー選手権経験者のトム・チルトン(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)が、FP1、FP2ともに最速を記録してみせる。

 迎えた予選でも“伏兵”が躍動し、ここでヴォクスホールを操るテイラー・スミスが最速タイムを叩き出す。しかし前述のとおり、僚友のマイキー・ドーブルや前戦から加入のダン・ゼロスらを含め、最低地上高違反により失格処分に。

 この予選リザルト除外により、名門ウエスト・サリー・レーシング(WSR)の“絶対エース”であるコリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)やジョシュ・クック(LKQユーロカーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)らに先んじて、イングラムがレース1のポールポジションを射止めた。

「本当に良い結果だ。正直に言うと、今週末は最前列に並ぶとは思っていなかった」と、予選ではセッション2番手を計時していたイングラム。

「ちょっとした天候の変化でどうなるかがわかる。ペースはあるが(先頭発進の競技規則ゆえに)ハイブリッドがない。それがここでの課題だ。ドライなら現実的にトップ8入りできたはずだが、ウエットでは全員が手探り状態になった」

■一時3番手進出の王者にペナルティ。タイトルに黄色信号か
「雨が降るとみんなリセットされたような気分になり、目を閉じて最善を祈り、ブレーキングゾーンを推測し、それが“そのあたり”にあることを願ってアタックの1周を終えたような感じだ。ジェイク(・ヒル)やアッシュ(サットンの愛称)がグリッドのどこにいても、自分たちのことに集中するよ」

 そう語ったイングラムは、厳しいウエットコンディションのレース1で宣言どおり集中を切らさず首位発進から逃げを打ち、そのまま“ポール・トゥ・ウイン”のチェッカー。その背後では、5番手スタートから序盤で3番手まで進出したヒルが、同門の絶対エースを数周追い詰めた後にオーバーテイクを決め、最後はヒョンデの背後でフィニッシュラインをくぐった。

 さらに“新スキーム”のフォード・フォーカスSTを操ったカミッシュもターキントンをパスして3位表彰台をもぎ取り、予選の低調から立ち直った王者サットンも、10番手から4位までカムバックしてみせた。

 これで勢いを増したのが“サテライトBMW”に乗るヒルで、レース2では序盤からイングラムとの直接対決を繰り広げると、かつての最終セクターでもあるブルックランズで首位を奪い、そのまま今季7勝目を飾ってランキングトップのリードを固めた。

 一方のイングラムは、その後も背後から追い上げてきたターキントンやクックのカローラにも先行され4位フィニッシュ。これでヒルとの差は11ポイントとなった。また、このヒートで「スタート3分前ボード」の掲示後にもグリッド上でクルーが車両整備に当たったとし、一時は3番手にまで進出していた王者サットンにドライブスルーのペナルティが宣告され、タイトル戦線に黄色信号が点滅する事態に。

 これを挽回しようと猛追を見せたレース3は、グリッドへの試走の段階で激しい雨がサーキットを襲い、わずか9周を終えたところで「走行不可能」との判断から赤旗中断となる。

 長い遅延の後、セーフティカー(SC)先導でレースが再開されると、イングラムが先頭をしっかりと守り、12番手発進から脅威の巻き返しを見せた王者サットンと、カローラで奮闘するクックを抑えて週末2勝目を飾ってみせた。

「これは明らかにシーズンの重要なステージだ。僕らはそれを必要としていたからね」と、シルバーストンでの結果に満足気なイングラム。

「(最終戦)ブランズハッチは間違いなくかなり刺激的なものになるだろう。僕らは強い立場にあり、良い状態にあると思うし、2022年よ​​りも強くなったと感じている。クルマは雨でも乾いた路面でも、1年を通して非常に素晴らしい感触だった。歴史的にブランズハッチは僕らによく合うサーキットだし“乗れる”気がするよ!」

 一方、カミッシュとのバトルを経て4位でチェッカーを受けていたヒルは、この際の接触で1ポジション降格の処分を受け、本来なら2ポイントリードで臨むはずだった最終戦にイングラムと同ポイントで挑むこととなった。

「初戦は5番手から2位、素晴らしい結果だがハイブリッドがあればもっと良い結果になっていたかもしれない。続くヒートはイングラムの背後を数周走り、彼の弱点を見つけて勝つことができた。これもまた素晴らしい結果だったね」と落ち着いて振り返ったヒル。

「ここでこんなに良い結果が出るとは思っていなかったし、天候が大きな役割を果たした。とても満足しているよ」

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