2016年12月27日、スズキは3代目となる新型スイフトを発表。2017年1月4日から発売される。
スイフトという車名は、輸出モデルやワゴンRプラスをベースにした国内モデル「HT51S型」にも採用されていたが、正式には2004年発売のグローバル・コンパクトモデルのZC/ZD型を第1世代とし、今回登場したニューモデルは3代目となる。
スズキとしては先にBセグメントのグローバル戦略モデルとしてバレーノを発売しているが、新型スイフトは同じBセグメントながら、よりスポーティできびきび走るパーソナル・ハッチバックという位置付けだ。
新型スイフトは、新世代のBプラットフォームが採用されているが、今回から新世代の軽自動車用「K」、Aセグメント用の「A」、B/Cセグメント用の「B」のすべてをHEARTECT(ハーテクト)という呼称を採用している。
新型スイフトは、これまでのデザインDNAを継承しながら大幅に進化させたデザイン、新プラットフォームの採用による大幅な軽量化と、ハンドリング性能、しなやかな乗り心地を両立、マイルドハイブリッドも設定した1.2L・4気筒デュアルジェットと、1.0L直噴ターボを搭載、新たな先進安全装備を充実するという大胆な革新を行なっている。
グレードは、大別して標準モデルとRSモデルがあり、1.2L搭載のRSは5速MT、CVTと組み合わせたハイブリッド、それと1.0L直噴ターボを搭載するRSt+6速ATという組み合わせだ。標準モデルのグレードは、ML、XL(5速MT/CVT)、XG(5速MT/CVT)。RStを除く各モデルには4WD(CVTにみ)も設定されている。
ボディカラーは「バーニングレッドパールメタリック」、「スピーディーブルーメタリック」、「クラッシーブラウンメタリック」、「スーパーブラックパール」、「スターシルバーメタリック」、「ネオンブルーメタリック」、「ピュアホワイトパール」、「ヘリオスゴールドメタリック」、「プレミアムシルバーメタリック」の9色。
■デザイン&パッケージング
新型スイフトはデザインの先行開発の段階から、走りのイメージと、これまでのデザイン的なDNAを両立させながら、どのように進化させるかをイタリアのトリノ・デザインスタジオと、本社デザイン・チームが様々な案を提示し、量産デザインへと絞り込んだものだ。
最終的にスイフトのDNAであるロングルーフ、左右ショルダー部の張り出しを前提に、A、B、Cピラーをブラックアウトすることでフローティング・ルーフデザインとし、タイヤを4隅に配置して踏ん張り感を強調したデザインとしている。
インテリアは、シンプルで無駄のない形にまとめ、メーターリングやエアベント、空調ダイヤルは円形で統一。センターコンソールパネルはドライバー側に5度傾斜させ、ドライバー中心のコクピット感を作り出している。
新型スイフトのボディサイズは全長3840mm、全幅1695mm、全高1500mm(4WDは1525mm)、ホイールベース2450mmで、ホイールベースは従来型より20mm延長し、全長は従来型より10mm短縮され、より凝縮感のあるスタンスとなっている。また着座ポイントはフロントが-20mm、リヤは-45mmとそれぞれ低められ、結果的に全高は10mm低くなりスポーティさが増している。
一方で、最小回転半径は4.8mで、従来型よりさらに小回りが効く。またラゲッジスペースも55L拡大され265Lとするなど使い勝手、利便性も向上させている。
■ボディ&シャシー
新世代フラットフォーム(HEARTECT)を採用したことで、車体剛性の大幅な向上と驚くべき軽量化か実現している。理想的なフレーム構成とし、さらにアッパーボディも980MPa級の超高張力鋼板使用量が従来型の3倍、780MPa級の高張力鋼板も2倍採用され、合計で重量比21%が高張力鋼板となっている。
また、エンジン、シャシー、シートなどの内装も徹底的な軽量化を行ない、なんと従来型との比較で120kgという大幅な軽量化を実現している。スイフトが属するBセグメント・ハッチバックはライバルに、ヴィッツ1.3(1080kg)、ヴィッツ1.0(970kg)、フィット1.3(970kg)、デミオ1.3(1030kg)、ミラージュ1.2(900kg)などで、スイフトの870kg(5速MT)~930kg(6速AT)は驚異的に軽い。もちろんアクアやフィット・ハイブリッドなどハイブリッド勢はいずれも1000kgオーバーだ。
サスペンションはフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式で形式的な変更はないが、各ユニットは新プラットフォームに合わせて大幅に変更。フロントではスタビライザーの形状、効率を改善するとともに中空化し、リヤは軽量ビームを採用。フロントサブフレームは6点止めにするなど軽量化と剛性向上を図っている。
また、サスペンション、電動パワーステアリングは、標準仕様、RS仕様(ヨーロッパ向け)と2種類を設定。RS仕様は、ヨーロッパ各地で実際に走り込んで熟成し、コントロール性、しっかり感、安定感、フラットライドを重視した走りとし、ステアリングの手応えもしっかりさせている。
標準仕様はより軽いステアリング・フィールとしなやかな乗り心地を狙っている。このため、日本市場で装着されるタイヤはすべてブリヂストン・エコピアEP150(185/55R16)だが、標準モデル用とRSモデル用は構造違いの別タイヤとするなど凝った選択となっている。
電動パワーステアリングは、ECU一体型のブラシレスモーターに進化し、従来よりフリクションが低減され、滑らかな操舵フィーリングになっているという。
■エンジン&トランスミッション
エンジンは1.2L・4気筒、自然吸気のK12C型と、1.0L・3気筒、直噴ターボ(K10C型の2種類をラインアップ。前者はデュアルジェット・エンジン、後者はブースタージェット・エンジンだ。出力は91ps/118Nm。
K12C型は吸気VVT、ツインインジェクターで、仕様としては発電、駆動を受け持つISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を備えたマイルドハイブリッド仕様とベース仕様の2種類がラインアップされる。
RStに搭載されるダウンサイジング・コンセプトのK10C型はすでにバレーノに搭載されているが、これはハイオク仕様でスイフト用はレギュラーガス仕様という違いがある。出力はハイオク仕様が111ps/160Nmだが、スイフトのレギュラー仕様は102ps/150Nm。仕様の違いは、スイフトのユーザーはレギュラーガス仕様を好むためだという。このターボエンジンは、ウエストゲート・ノーマルオープン制御を採用している。
トランスミッションは5速MT、副変速機付きCVTと、RStは6速ATとなっている。ターボ・モデルが6速ATとなっているのはトルク容量が大きいからだ。
JC08モード燃費は、RStが20km/L、マイルド・ハイブリッド(FF)が27.4km/L、5MT(FF)が22.6km/L、CVT(FF)が24.0km/Lとなっている。
■運転支援技術
新型スイフトの運転支援システムは、メーカーオプションとして新たな単眼カメラとレーザーレーダーを一体化させた新ユニットを全車にセーフティパッケージとして設定している。単眼カメラは車線、クルマ、歩行者を中距離の範囲で検知し、レーザーレーダーは近距離の障害物を検知する役割を持っている。
これにより、自動ブレーキ機能、誤発進抑制制御(5速MT除く)、車線逸脱警報(60~100km/h)、ふらつき警報(60~100km/h)、先行車発進告知機能を作動させることができる。またセーフティパッケージ装備車にはアダプティブクルーズコントロール(作動域は40~100km/h)、フル・エアバッグ、オートライト・システムも装備される。
新型スイフトは当初予定されていた発売時期よりやや遅れての登場となったが、2017年はまたBセグメントは盛り上がる気配だ。さらに新型スイフトには「スイフト・スポーツ」の追加も予定されており、このスポーツモデルに対する期待も大きい。
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