EVの補助金は最大90万円に
2025年度における電気自動車購入補助金「CEV補助金」の詳細、および車種ごとの具体的な補助金額が決定しました。果たして、2025年にコスパの高いEVはどれなのか、その補助金を含めたコストパフォーマンスを含めて解説します。
結局EV普及のネックは「価格」! 補助金を抜きにした価格が下がらないと売れない
まずCEV補助金は、安倍政権時から発足して10年以上継続して拠出されている電気自動車購入補助金です。安倍政権時は最大40万円程度の補助金額だったものの、脱炭素政策を強力に推進する方針を表明した菅政権下で最大80万円へと倍増。さらに岸田政権下では5万円ほど増額されて、最大85万円という規模感となりました。
そして令和7年度、つまり2025年4月1日以降に登録されたEVに対する補助金の要件と具体的な補助金額が公開されました。まず補助金要件は昨年度の要件が基本的に踏襲されるものの、いくつかの追加要件も存在します。これまでは、
・EV性能として電費性能や航続距離の長さ ・充電インフラ整備 ・車両整備の人材育成 ・サイバーセキュリティへの対応 ・ライフサイクル全体でのCO2排出量削減対策 ・災害時における外部電源の有無や災害連携協定
などが項目として存在したものの、さらに
・重要鉱物の安定調達に係るリスク低減のための取り組み ・調達先に対する支払い期間 ・車両や蓄電池の火災発生状況
などを追加。その上、GX推進に向けた鋼材の需要の喚起として、環境負荷を低減して製造された鋼材の導入の取り組みが評価された場合、さらに追加で最大5万円が上乗せ。よって最大90万円というEV購入補助金となりました。
そして、EVの車種ごとの補助金額について、主要なEVの補助金額を列挙していきましょう。
アウディQ4 e-tron:66万円 アウディQ6 e-tron:66万円(quattro/SQ6 e-tronは52.8万円) ジープ・アベンジャー:69万円 スバル・ソルテラ:88万円(ET-HSのみ66万円) テスラ・モデル3:87万円 テスラ・モデルY RWD(レガシー):67万円 テスラ・モデルY ロングレンジ/パフォーマンス(レガシー):87万円 トヨタbZ4X:90万円 日産アリア:89万円(NISMO B9 e-4ORCEのみ71.2万円) 日産リーフ:89万円 BMW i4:65万円(M50のみ52万円) BMW i5:52万円 BMW iX1/iX2/iX3:65万円 BYD ATTO 3:35万円 BYDドルフィン:35万円 BYDシール:45万円 BYDシールAWD:35万円 BYDシーライオン7:35万円 ヒョンデ・コナ:67万円 ヒョンデIONIO 5:67万円 フォルクスワーゲンID.4:66万円 ポルシェ・マカン:20万円 ポルシェ・マカン4/4S/ターボ:12万円 ポルシェ・タイカン:12万円 ボルボEX30:46万円 ボルボEX40/C40:36万円 MINI Cooper/Aceman/Countryman:65万円(Aceman Eのみ45万円) メルセデス・ベンツEQA/EQB:66万円 メルセデス・ベンツEQE:52.8万円 メルセデス・ベンツEQS:52.8万円 メルセデス・ベンツEQE SUV:36.8万円 メルセデス・ベンツEQS SUV:52.8万円 メルセデス・ベンツG580 with EQ Technology:36.8万円 レクサスRZ:90万円 レクサスUX300e:90万円 ロータス・エレトレ/エメヤ:12万円 ロールスロイス・スペクター:36万円 フィアット500e:57.4万円 日産サクラ:57.4万円 三菱eKクロスEV:56.8万円 ホンダN-VAN e::57.4万円
特筆するべき点として、まず中国BYDについて、ATTO 3とドルフィンは35万円と、昨年度と同じく低水準に留まりながら、シールはAWDグレードで35万円に減額。さらに最新のシーライオン7も35万円と、一部高級モデルを除いて最低水準に留まりました。
その一方で、韓国ヒョンデは、コナの最安モデルからIONIQ5 Nに至るまで67万円という補助金額となり、昨年度と比較しても大幅に増加した格好です。
また、個人的にはメルセデス・ベンツEQSやBMW i7、アウディQ8 e-tronなどの高級車にも52万円以上、ロールスロイス・スペクターという超高級車にも36万円の補助金を適用できるという点が気になります。すでに税抜き840万円以上の車両は2割引であるものの、やはり高級車に対する補助金はもっと縮小するべきであると感じます。
もっともコスパの高いEVはヒョンデ・インスター
それでは、CEV補助金を車両価格から差し引いた実質の購入金額と、EVにおいて重要な指標となる航続距離との相関関係を示したグラフから、どのEVがどれほどのコスト競争力を実現しているのかを比較していきたいと思います。縦軸が値段、横軸が航続距離を示しており、つまり右下に行けば行くほどコスト競争力が高いことを示します。
まず、コンパクトセグメントについて、インスターはまだ補助金額が発表されていないものの、概ねフィアット500eと同じく57.4万円の補助金額が適用可能となる見通しであり、その補助金額を適用しています。このとおりインスターは電費性能に優れているため、航続距離400km程度で実質250万円程度と、競合の追随を許さないコスト競争力の高さを実現し、BYDドルフィンのコスト競争力すらも上まわっています。
次に、このグラフはSUVセグメントの主要車種を比較したものです。このセグメントでもヒョンデのIONIQ5が競合の追随を許さない、圧倒的なコスト競争力を実現している様子が見て取れます。また、テスラ・モデルYも、モデルチェンジによる電費改善のおかげも相まって、日本国内で発売されている電動SUVとしてはコスト競争力の高い部類に該当します。
その一方で、日産アリアは競争力の低さが露呈しており、同等のコスト競争力でドイツ御三家のアウディQ4 e-tronが存在するような状況です。
最後にセダンセグメントについて、テスラ・モデル3とBYDシールが同等のコスト競争力を実現しています。とくに補助金額でテスラが優遇されている点を考慮に入れると、シールの車両価格がかなり安価に設定されているといえるでしょう。
そして全車種の実質の値段と航続距離との相関関係を比較すると、2025年度においてもっともコスパの高いEVはヒョンデ・インスターであることがわかります。航続距離1kmあたり6000円を切っており、史上最安といってもいいレベルでしょう。
また、テスラ・モデル3も航続距離あたりのコスト競争力に優れており、とくに2025年度からはRWDグレードも補助金が87万円に増額されたことによって、迷うことなくRWDグレードを購入するのがいいと思います。
いずれにしても、中韓勢やテスラのコスト競争力が非常に優れている一方、とくにEV販売トップの日産は、ここ数年におけるリーフとアリアの値上げによって、優遇されている補助金を加味しても、残念ながらコスト競争力ですでに勝負になっておらず、実際に販売台数が低迷しています。果たして新型リーフがどれほどのコスト競争力を実現してくるのかに注目でしょう。
また、2025年末にかけて投入されていく、ホンダN-ONEのEVバージョン、トヨタ連合の商用軽EV、スズキe VITARA、モデルYのコンパクトモデルとなるレッドウッド、なんといっても新型日産リーフの最新動向についても注目です。
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みんなのコメント
生産から廃車に至るまでのCO2排出量もガソリン車よりもひどいと、E見方のはずのV TIMESにまで書かれるほどひどく、隠していたこともバレてしまった。
そりゃ、誰も買わんわなあ。