■DOHCエンジンを搭載したFRこそスポーツカーの証だった
エンジンの給排気バルブを、2本のカムシャフトで開閉するDOHC(ダブルオーバーヘッドカムシャフト)エンジンは、出力の増大と高回転化には欠かせない存在です。
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元々はレーシングカーやスポーツカーに搭載され、後に大衆車に広まって、いまでは軽トラックにも採用されているほど普及しています。
昭和時代にDOHCエンジンを搭載できたのは、スポーティモデルに限られていました。そこで、往年のDOHCエンジン搭載車で、かつFRレイアウトのモデルを5車種ピックアップして紹介します。
●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」
1970年に登場したトヨタ初代「セリカ」の「セリカ1600GT」に、まだ日本では一部のスポーツカーにしか搭載されていなかったDOHCエンジンを搭載し、世間一般にDOHC=高性能の象徴と認識させることに成功しました。
そして1972年には、小型大衆車だったカローラとスプリンターのクーペにDOHCエンジンを搭載した「カローラレビン/スプリンタートレノ」を設定。両車の車両型式がTE27型だったので、今でも「ニイナナ」と呼ばれて愛されています。
外観上での通常のカローラ/スプリンタークーペとの違いは、より太いタイヤが収められるオーバーフェンダーが装着されている点で、搭載されていたエンジンはセリカ1600GTと同じ1.6リッター直列4気筒DOHCの「2T-G型」です。
当時のプレミアムガソリンを使う有鉛ハイオク仕様の2T-G型は、最高出力115馬力を発揮。レギュラーガソリン仕様の2T-GR型でも110馬力で、約860kgの車体には十分すぎるパワーとなっており、スポーツドラインビングの愛好家たちからは「スカイラインやセリカより速い」と評され、高い人気を誇りました。
●ホンダ「S800」
ホンダの小型スポーツカー「S」シリーズの第3弾として1966年に登場した「S800」は、先代の「S600」が最高出力57馬力を8500rpmで発揮する超高回転型DOHCエンジンだったのに対し、排気量が800ccまで拡大されたことで最高出力を70馬力まで向上。
S600よりも中速トルクが増えたことで、より扱いやすい特性のエンジンに生まれ変わりました。
この小型直列4気筒DOHCエンジンは、レース用オートバイの開発でノウハウを持っていた、ホンダだからこそ開発できたといっても過言ではありません
また、S800の初期モデルは駆動方法もユニークで、4輪車では珍しいチェーン駆動を採用したFRでした。
チェーン駆動の影響により、アクセルのオン・オフで車体が独特の挙動を示しますが、これは「S500」から続いてきたSシリーズならではの特徴として、現在もチェーン駆動のモデルにこだわるファンもいるほどです。
●三菱「ギャランGTO MR」
1970年に、スタイリッシュな外観の2ドアファストバッククーペ、三菱「コルトギャランGTO」(以下、ギャランGTO)がデビューしました。
当時のアメリカンスポーツカーを小さくしたような印象のボディは、たちまち若者から絶大な支持を得ます。
発売当初に搭載されていたエンジンは1.6リッター直列4気筒SOHCのみでしたが、すぐにDOHCエンジンを搭載した「ギャランGTO MR」をラインナップに追加。
ギャランGTO MR専用の1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンは125馬力を発揮し、最高速度は公称200km/hを誇ります。
しかし1972年、排出ガス規制の強化により、ギャランGTO MRの生産を終了。わずかな販売期間と高価なモデルであったことから、いまではかなりの希少車です。
■見事に復活を遂げた日産のDOHCエンジンとは!?
●いすゞ「ジェミニZZ」
1971年、GM(ゼネラルモーターズ)の関連会社だったいすゞは、GM傘下のオペルが生産していた小型車「カデット」をベースに、「ベレット」の後継車に当たる初代「ジェミニ」を開発。1974年に発売しました。
当時のトヨタ「カローラ」や日産「サニー」よりもワンランク上の車格で、いすゞの主力車種となります。
そして、1979年にはスポーツカーの「117クーペ」用に開発された、最高出力130馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載した「ZZ(ダブルズィー)」シリーズを追加。
さらに1981年には、強化されたサスペンションやLSDを装備した「ZZ/R」を発売し、ファンからは「ベレットGTR」の再来と評されます。
リアバンパーの下から覗く斜めにカットされたデュアルマフラーがZZの特徴で、エキゾーストノートも低音が響くスポーティなサウンドでした。
1985年にFF化された2代目ジェミニが発売されますが、しばらくは初代も併売され、1987年に生産を終了します。
●日産「スカイラインRS」
1969年に発売された日産「スカイライン」の高性能モデルである初代「スカイラインGT-R」は、2リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、レースで勝つために開発されたモデルです。
しかし、排出ガス規制の強化により、1973年でGT-Rは消滅。1980年代になると、高性能車はターボエンジンが主流となります。
一方で、GT-RのイメージからスカイラインにDOHCエンジンを望む声は多く、その声に応えるように1981年に発売された6代目には、2リッター直列4気筒DOHCで最高出力150馬力を発揮する、「FJ20E型」エンジンを搭載した「スカイライン2000RS」が追加されました。
FJ20型は同じ2リッター直列4気筒DOHCのトヨタ「18R-G型」よりも近代的な設計がなされており、パワフルでピックアップも良く、RSシリーズは高い人気を誇りました。
※ ※ ※
昭和のころは、5速MT車やターボ装着車、DOHCエンジン搭載車は、外装にエンブレムやデカールが貼られ、その機能を主張していました。
現在、こうした装備はもはや当たり前の存在でとなっており、見かけることがあるのはハイブリッド車のエンブレムくらいです。
「自分のクルマはDOHCエンジンだぞ!」と主張することは、オーナーにとっても誇らしいことであった当時は、マイカーを持つということがいまよりも特別なことだったのでしょう。
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みんなのコメント
もっと遡れば、カークーラー、トルコンなども
ステッカー貼って自慢してた時代もあった。