トヨタは最近、SUVラインナップを強化、拡大しているが、今後2~3年後の近未来ではさらに新しいコンセプトモデルを相次いで投入する見通しが濃厚になっている。
ヤリスクロスから始まり、すでに2020年7月にタイで発表されたカローラクロスが2021年秋に日本でも発売される。
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そして2020年12月に台湾で発表されたシエンタクロスオーバーの日本発売はあるのか? さらに話題沸騰中のクラウンクロスオーバーSUVは発売されるのか?
流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、トヨタのクロスオーバーSUVは今後どうなるのか、徹底解説する。
文/遠藤徹
写真/トヨタ
CGイラスト/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】日本未発売の新SUV「カローラクロス」内外装写真をずらり紹介!!
カローラクロスは2021年秋に登場!
2020年7月にタイで初公開されて発売された「カローラクロス」。日本では2021年秋の発売を予定している
パワートレーンは、1.8L、直4エンジン+モーターのハイブリッド(リダクション機構付きTHS II)と、1.8L、直4ダイナミックフォースエンジンの2本立て
トヨタは、セダンや5ドアハッチバックから派生させる「○○クロス」の名称を冠するクロスオーバーを今後、続々と登場させる。
これによってラグジュアリー、アッパーミディアム、ミディアム、コンパクトときめ細かいクラス分けで、最高潮の盛り上がりを見せるSUV市場のシェアをさらに拡大する構えだ。
ヤリスクロスに続いて、2021年秋の発売を予定しているカローラクロスは、カローラシリーズのマイナーチェンジと同時に行われる可能性がある。
カローラと同じプラットフォーム&基本コンポーネントを使い、ヤリスクロスをひと回り大きくしたようなSUVボディシェルで仕立てる。切れ長のヘッドライトや大きなフロントグリル、大きな膨らみを持たせた力強いフェンダーが特徴。
ボディの骨格はカローラシリーズと同じTNGAプラットフォームを採用。リアサスペンションはカローラセダンがマルチリンクを採用するのに対し、カローラクロスはトーションバーとなるが、柔らかいブッシュを採用し、快適な乗り心地を実現しているという。
パワーユニットは1.8Lガソリンと1.8Lハイブリッドの2本立てのラインナップだが、日本仕様は1.8Lハイブリッドのみになる可能性もある。
ここで注目したいのは同クラスとなるC-HRとの棲み分けである。C-HRがスタイリッシュなクーペSUVでシティ派の2WD中心の販売を目指しているのに対して、カローラクロスはオーソドックスな背の高いSUVで、4WDをメインとしたコンセプト。
ただカローラクロスは幅広いユーザー層をカバーするのでC-HRとユーザーが重なるケースもあるので、場合によってはC-HRのモデル廃止につながる可能性もある。
シエンタクロスの日本発売はあるのか?
2015年7月に登場した5ナンバーミニバン、シエンタ。ヘッドライトからバンパー、ボディサイド、リアバンパーに黒いガーニッシュが入るのがデザイン上のポイント
シエンタクロスオーバーは専用デザインのフロントスポイラー、バンパーデザイン、ドアトリム、サイドスカートを装着
テールゲートやリアスポイラーに傷つきにくいトリムを装着し、これまた専用開発のスポーツサスペンションを装備している
トヨタの台湾総代理店であるHeitaiMotorsは2020年12月7日、シエンタを改良。安全装備を充実させるとともにシエンタクロスオーバーを追加した。
カローラクロスが2020年7月にタイで発表され、1年後の2021年秋に日本にも導入される経緯を考えると、同様の対応になると予想する。日本ではホンダがフリード&フリードプラスにSUVテイストのクロスターを発売している。
同じスライド開閉ドアではスズキの軽スーパースペースワゴンの「スペーシアギア」があり、こちらは全シリーズの3分の1を占めるほどの好調な販売推移となっている。フロントマスク、内装、タイヤなど外観や使い勝手でさらにSUVテイスト色を強めたことが功を奏しているためといえるだろう。
現行シエンタの登場は2015年7月9日であり、いつ世代交代してもおかしくない状況にある。ただ2021年は多数の新型車が登場するので、おそらく次期シエンタの登場は2022年か2023年になる可能性が強い。
そうなると現行モデルのシエンタをリフレッシュさせる必要がある。そこで追加ラインナップされるのがシエンタクロスオーバーである。
ブラック仕上げのラジエターカバーや専用バンパー、傷が付きにくいブラック仕上げのドアトリムやサイドスカート、テールゲートトリム、シルバーの前後ロアスポイラーなどを装着したクロスオーバーSUV仕立てとなっている。
このシエンタクロスオーバーをラインナップに加えることで、販売を挽回させる狙いがある。発売は2021年夏と予想する。
クラウンクロスオーバーSUVはどうなる?
現行の15代目クラウン。2020年に一部改良を実施し、予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の機能を向上。モデルチェンジは予定されておらず、2022年ごろまで継続生産される模様
2020年11月、中日新聞が次期クラウンのSUV化を報じて話題になった(CGイラストはベストカーが製作したもの)
こちらはFFのプラットフォームをベースにした新型クロスオーバーのイメージ(CGイラストはベストカーが製作)。GA-KプラットフォームはRAV4やハリアーなどのSUVに使われている
2020年11月、中日新聞が「セダン型クラウンは現行型で終了し、次期型はSUVになる」という趣旨の報道をしたことで、「次期型クラウンはSUVへ」との情報が世間を駆け巡った。
現在入っている情報をまとめると、情報が錯綜しており、次期クラウンのセダン型プラットフォームの開発は凍結しているとは断定できていない。さまざまな情報を総合していくと、以下のことが見えてきた。
・クラウンクラスをカバーする、プレミアムクラスのクロスオーバーモデルの新規開発は進行している。これはFFのGA-Kプラットフォームをベースにしたもの。
・現行型クラウンのビッグマイチェン企画が進んでいる。
・クラウンクラスの大型サルーンのピュアEVが開発中。
つまり、セダン型の現行クラウンのフルモデルチェンジは凍結されているものの、ビッグチェンジにより継続生産され、これとは別に大型クロスオーバーが2022年をめどに投入され、「クラウン〇〇〇」とサブネームを与えられる可能性が高いということが見えてくる。
セダンの需要は一定数以上あり、法人の経営者を中心に根強い需要が存在するため、トヨタとしてはこれを一気になくすことはできない。
FCVの新型MIRAIや、今後登場するピュアEVサルーンが将来的にはこの需要を担っていくことになろうが、まだ時間がかかる。現行モデルをビッグマイナーチェンジし、継続販売される可能性が高い。
レクサス版のヤリスクロスが登場するという話も
現行レクサスの最小SUVはUXだが、さらにこの下のクラスがレクサス版ヤリスクロスということになる
ヤリスクロスのボディサイズは全長4180×全幅1765×全高1590mm。レクサス版はこれよりもやや大きなサイズで登場する見込み
大ヒットを続けているヤリスクロスのレクサス版が登場するという話も出ている。現在、ヤリスクロスは1.5LのガソリンNAと同ハイブリッドを搭載しているが、これを1.8LガソリンNA&同ハイブリッドに変更し、エクステリアもサイズアップし、差別化を図るという情報も入ってきている。
レクサスはこのレクサス版ヤリスクロスを登場させると、SUVのフルラインナップ体制が完成することになる。予想発売時期は2022~2023年と見ている。
証言:首都圏トヨペット営業担当者
「クラウンクロスはランドクルーザー300&ランドクルーザープラドとハリアーの中間に位置づけられ、ハリアーの上級シフトやクラウンユーザーからの代替えが期待できるので、発売されれば人気がでると予想している。
カローラクロスはすでにメーカーからの通達で今夏に発売されることが決まっている。C-HRと同クラスでユーザーが重なるので、生き残りが難しくなるかも知れない。ヤリスクロスが発売になってから、急に売れ行きが悪くなっている」。
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