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【まだ手に届くアナログ体験】ポルシェ911(964型) 英国版中古車ガイド ATも悪くない

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【まだ手に届くアナログ体験】ポルシェ911(964型) 英国版中古車ガイド ATも悪くない

市街地走行が多いならティプトロもあり

text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)

【画像】ポルシェ911 964型と最新992型を比較 全78枚

translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)


ポルシェ911に批判があるとすれば、50年ほど大きく変わらないデザインや、フォルクスワーゲン・ビートルとの解けない深い結び付きかもしれない。しかし実際のところ、1989年に発表された964以降、そんな批判は当てはまらないものになっている。

911は代を重ねるごとに、デザインを一新してきた。大胆とはいいにくいにしても。今回取り上げる964型の911が発表された当時、25年前の911と比較して85%の部分が新設計だとポルシェは主張している。

ボディと一体のバンパーや電動で可動するリアスポイラーなど、目新しい要素も少なくなかった。インテリアも上質さを高めていた。

さらに964では、時代遅れになっていたリアのトーションビーム式サスペンションを廃止。コイルスプリングを獲得し、パワーステアリングやアンチロック・ブレーキなども標準装備されている。

エンジンにも大幅に手が加えられ、先代で3.2Lだったフラット6は、3.6Lにまで排気量を拡大。ベースグレードでも250psを獲得した。MTを選べば車重は1400kg以下に収まり、充分なパワーを備えていたといえる。

後輪駆動でのみ選択が可能だった、ATのティプトロニックも登場。車重は100kg、0-100km/h加速は0.7秒、MTの964からプラスされていたものの、動的性能の魅力に大きな遜色はなかった。

発表当初はティプトロニックに否定的な見方もあったが、都市部を走行する機会が多いなら、いま探す価値はあるだろう。近年の試乗レポートには、想像以上に滑らかだったという内容も多い。

男の子の気持ちをさらったターボS

パワーでテールを振り回せるクラシック911なら、トップグレードのターボ。1992年までは前世代の3.3Lユニットを改良し、ターボを結合。381psを引き出している。強化されたターボSも登場し、当時最も話題を呼んだパフォーマンス・モデルの1台になった。

当時の男の子の気持ちをわしづかみにした、ポルシェ911ターボS。子供部屋にポスターを貼ったという読者もいただろう。現在でもヒーロー像は薄れておらず、高い中古車価格へ反映している。

1992年までのターボSでも、英国では最低11万ポンド(1584万円)はする。1993年の1年間限り製造された、3.6Lエンジンを載せた911ターボ3.6なら、さらにその数倍は覚悟しておきたい。

最も珍しい964型の911といえば、ファクトリーレーサーの公道モデルといえる、カレラRS。今もコレクターの厳重なガレージに、ひっそり保管されていることだろう。

ターボと同じワイドなリアフェンダーで武装し、車重は155kgを減量。1990年代のポルシェ911としても、頂点を飾る1台といっていい。今なら、最低でも14万ポンド(2016万円)は用意しておきたい。

標準の964カレラなら、まだ手の届きやすい価格にある。ティプトロニックで後輪駆動のカブリオレは、英国では3万5000ポンド(504万円)前後で購入できる。

964型は、最後の空冷となった993型の1つ前のモデル。電子技術の採用も少なく、はるかに濃いアナログなドライビング体験を提供してくれる。オールドスクールな興奮と、信頼性や耐久性を兼ね備えた911をご希望なら、964型は理想的な1台になるだろう。

不具合を起こしやすいポイント

ボディ

オリジナル状態の964の方が価値は高い。ターボやRS風のボディキットが付いているカレラは、選ばない方が良いだろう。

フロントガラスやリアガラスの底辺は錆びやすいものの、それ以前の911より耐久性はある。ポルシェで施されたアンダーシールは効果的だったが、新車時のままなら一度剥がして再処理してもいい。特にフェンダーの内側は。

カブリオレの場合、フード周りの劣化で雨漏りすることがある。修理は高額になりがちだ。

エンジン

ロッカーカバーやタイミングチェーン・カバーからのオイル滲みは想定内。しかし一定の量が漏れ続けている場合、エンジンのリビルトや再シールが必要になるだろう。

2基のディストリビューターは、切れることもあるベルトでリンクされている。ここに不具合が起きると、内部損傷を招くことも。予めベルトの確認はしておきたい。

エンジンヘッドのスタッドボルトの状態にも注意。折れると、高額の修理費につながる可能性がある。

サスペンションとステアリング

角の丸い乗り心地は高い評価を得ていたが、現代の911と比較すれば硬く感じられるだろう。振動が大きい場合、ブッシュ類が寿命かもしれない。あるいは、ダンパー交換が必要かも。

フロント側の車高は高めだったこともあり、多くのクルマは車高が落とされ、ハンドリングを改善させている。パワーステアリングはリザーバーとポンプの間のゴム製シールから漏れる場合がある。ユニットを外したら、すべてのOリングを交換したい。

電装系

ABSの不具合は四輪駆動の964では一般的。高価なコントロールユニットの交換を決断する前に、トランスミッション・トンネル内にある加速度計の接続や、配線の状態を確認した方がいい。

エアコンの不具合も一般的。コントロールユニットは高価なので、予め試乗で送風温度を確かめておきたい。

専門家の意見を聞いてみる

アドリアン・クロフォード ウイリアムズ・クロフォード代表

「964を探すなら、事前にしっかり情報を集めて、直近の整備記録などを中心に確認しておきたいですね。定期的なメンテナンス以上の、賢明なアップグレードは良い状態を示すサインでもあります」

「多くの人が、最低限のメンテナンスだけで乗っているようです。それでも、整備記録は充分として売りに出されます。最近の主要な整備内容から、販売店が964のことを理解しているかどうかも確かめた方が良いでしょう」

英国ではいくら払うべき?

3万ポンド(732万円)~4万9999ポンド(719万円)

初期の964カレラ2が英国では見つかる。クーペやカブリオレが選べるが、走行距離は長め。ティプトロニックも含まれる。

6万ポンド(720万円)~6万9999ポンド(1007万円)

状態の良いカレラ4が中心。中にはターボ風に改造したものや、タルガトップも含まれる。

7万ポンド(1008万円)~8万9999ポンド(1295万円)

走行距離の短いカブリオレやRSが英国では出てくる。中にはアップグレードが施されたものも。

9万ポンド(1296万円)以上

ターボや3.8L RSエディション、かなり珍しいスピードスターなどが英国では見つかる。限定のターボS リヒトバーなら、140万ポンド(2億160万円)に達する場合も。

知っておくべきこと

964型ポルシェ911の中古部品は見つけにくく、修理費を節約することは難しい。ボディパネルの状態をよく確かめて、再塗装が必要かどうかも予め検討しておきたい。電装系や可動部分が不完全なら、リスクを犯してまで手を出さない方が良いだろう。

英国で掘り出し物を発見

ポルシェ911カレラ2(964型) 登録:1990年 走行:22万3600km 価格:5万8990ポンド(849万円)

執筆時に英国で発見した、走行距離の一番長い初期の964。自分で整備をこなせるようなポルシェ911ファン以外、嫌煙対象のクルマではある。だが販売店は、徹底的な整備を進行中だという。

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みんなのコメント

5件
  • 少し前ならTIpなら500万ぐらいで買えたのに、もっと前は300万かな。
    今となってはTIpでも1000万の大台になりそうな勢い
  • 355から964への乗り換え検討です
    355の飛び抜け感は素晴らしい
    964の実用性はありがたい
    悩む〜
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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