新規設計のプラットフォームにキレのあるデザインを纏った初代フォーカス
さる2023年11月04日(土)、静岡県浜松市の浜名湖ガーデンパーク南ロータリーにて開催されたヨーロッパフォードミーティング2023。このイベントはその名の通り、ヨーロッパフォード車オーナー及びOBのためのイベントで、オーナーが情報交換したり親睦を深めだりするのがその趣旨だ。イベントには約50台の新旧ヨーロッパ・フォードと熱心なオーナーが全国から駆けつけたが、中でも最も遠方からの参加者が今回ご紹介する初代「フォーカス」の上田晴久さんだ。
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ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞
ヨーロッパフォードの基幹車種であるフォード「エスコート」の後継モデルとして初代フォーカスがデビューしたのは1998年のこと。それまでの日本におけるヨーロッパフォードの立ち位置と言えば、「コルチナ・ロータス」や「エスコートRSコスワース」、「シエラRSコスワース」、「RS200」といったモータースポーツ用ホモロゲーション・モデルがごく一部のマニアから熱烈な支持を得る反面、一般ユーザー向けの量販モデルは”ぼくとつで質実だが華やかさに欠ける”という印象もあった。
そんな印象を刷新したのがこの初代フォーカスだ。新規設計のプラットフォームにキレのあるデザインを纏った初代フォーカスは、それまで欧州Dセグメントのメートル原器ともいわれたVW「ゴルフ」と同等かそれ以上の出来栄えだという高い評価を受け、1999年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、数々の賞にも輝いた。
「このフォーカスは2000年式で、実は2台目です。VW ゴルフから乗り換えた最初のフォーカスは事故で手放したのですが、このクルマに代わる存在が考えられなかったものですから」
と語ってくれたのはオーナーの上田晴久さん。
「新車価格もリーズナブルでしたし」
とおっしゃる通り、当時の戦略的な価格設定も話題だった。私事で恐縮だが実は筆者も初代フォーカスを2台乗り継いだ経験があり、上田さんの気持ちはとてもよくわかる。特に何かが突出しているわけではないが、どれだけ長く乗り続けても気になる点・嫌になる要素が全く出てこないという、ある意味で完璧な実用車だったのだ。フォーカス一族の生産台数が一時はVW ゴルフを超えて世界一になった時期もあるといわれるが、それも納得なのである。
上田晴久さんのフォーカスはスターターストシルバーと呼ばれるボディカラーのギア・グレード。当時もっともよく見かけた仕様といえよう。
他にかわりのきかないクルマ
「札幌を出発して、フェリーで新潟まで。その後は陸路を自走して浜松までやってきました」
というイベント遠来賞。ホイールをフィエスタのものに交換している以外は、新車当時からのオリジナル・コンディションをよく保っている。新車以来23年も乗り続けていれば、それなりの傷みも出てくるのでは?
「エンジンのタイミングベルトなどは早めの交換を心がけています。リアの足まわりのベアリングにガタが出て交換したり、ステアリングラックもやはりガタが出て交換したり、経年劣化にまつわるそれなりの症状は出てきますが、地元のショップさんが色々と面倒を見てくれるので助かっています」
上田晴久さんから伺ったマイナートラブルは、どれも筆者も心当たりがあるものばかり。妙な連帯感すら感じてしまったインタビュー。
「当時は北海道でもそれなりに見かけた初代フォーカスですが、少なくとも札幌ではこれが最後の1台かもしれません。しつこく乗り続けていることについて家族はあきれているようですが、自分にとっては他にかわりのきかないクルマですから、これからも大事に乗り続けたいと思います」
と語る上田晴久さん。走行距離は9万キロとまだまだこれから。元オーナーとしても大いにエールをお送りします!
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