GPSで追跡! トラックの中からFD
AUTOCAR JAPANでは、これまで3回にわたって、2022年5月1日夜に埼玉県内で盗まれたFDについて報じてきた。
【画像】愛車が盗難被害に【AさんのFDが帰ってくるまで】 全32枚
9月26日付の記事では2人の日本人(KM、YK)が窃盗の疑いで逮捕されたことを報じているが、このうちKMの第3回公判が12月23日におこなわれ、求刑懲役7年のところ懲役5年の判決が下された。
どんな事件だったのか? 詳しくは過去記事をお読みいただくとして、簡単に説明しておきたい。
被害に遭ったのは埼玉県に住むAさんで、2004年に購入した1999年式のマツダRX-7(以下、FD)を盗まれてしまった。
FDの盗難が増加していることで盗難防止の措置としてハンドルロック、タイヤロック、GPS装備の対策をしていたが5月1日夜、自宅から離れた場所にいたAさんはGPSからの発信で自宅駐車場に停めていたFDが移動されたことを知る。
Aさんはすぐに警察に連絡をしたが、最初に対応した所轄警察の担当者は、盗難届は受理したものの積極的に捜査をするそぶりはみせず、「見つけるのは難しいと思いますよ」と冷たく言い放ったという。
所轄署は捜査をしてくれない。頼りにならない。そう感じたAさんは、自力で探すことを決意。
旧車盗難は時間との戦いだ。短時間で解体されバラされてしまうと発見は非常に難しくなる。
そしてAさんは家族のクルマでGPSの発信履歴をたどって30時間以上、仲間たちの協力も得て捜索をおこない、ついに最後に発信があった場所を突き止めた。
茨城県境町にあるライオントレーディングという中古車販売/自動車解体会社の敷地内に停められたトラックが怪しいとにらんだ。
「あのトラックの中にあるのではないか?」警察にも相談したが「土地所有者の許可がなければ警察としても踏み込めない」という理由で朝まで待つことに。
そして翌朝、警察官や土地所有者、会社経営者など立ち合いのもと、トラックのリアゲートが開けられた。
予想どおりトラックの中からAさんのFDが姿を現した。
「所轄署は頼りない感じでしたが、埼玉県警本部の刑事さんは『絶対捕まえますからね!』という熱意ある対応をしてくださり非常に心強かったです」
そして盗難から約3か月経った8月のある日、Aさんのもとに検察庁からKMとYKの日本人2名が窃盗の疑いで逮捕されたという連絡があった。
県警本部刑事の「絶対捕まえますからね!」は見事、実現した。
前科6犯 窃盗団のリーダーだった
このたび懲役5年の判決が下されたのはKMの方である。
公判が最初におこなわれたのはYKで9月29日に筆者もさいたま地裁でおこなわれる初公判の傍聴に出向いた(KMはその時点で容疑を否認していた)。
なお、YKについてはAさんのFD窃盗のほかに覚せい剤取締法違反などの件もあるため判決が下されるのは来年1月12日の第3回公判以降となる模様。
KMもYKももちろん今回が初犯ではない。
KMに至っては2006年に1500台、約20億円という大規模な自動車窃盗事件のリーダーとして逮捕→収監歴がある。
自称中古車ブローカーのKMは「02年から仲間数人でトラックなど1500台を盗んだ」ことを供述。
埼玉、茨城、群馬、栃木、新潟の5県で自動車窃盗を重ねており、1台20~30万円で外国人などに転売していた。
KMは窃盗含む前科6犯、同じく前歴9件というすさまじい犯罪歴を有している。
一方のYKもこれまで複数の逮捕歴がある。
AさんのFD窃盗での第2回公判では群馬でレッカー車3台を4人で盗んだ件の追起訴、来年1月に予定されている第3回では覚せい剤での追起訴もおこなわれるという。
12月8日さいたま地裁でおこなわれた第2回公判ではKMに対して「(AさんのFD含む)3件5台のキーシリンダーをドリルで破壊するなどしてエンジンを始動して窃盗」した件で懲役7年が求刑された(さいたま地裁令和4年(わ)第648号事件など)
それから半月後の12月23日、第3回公判を傍聴したAさんからKMに対して懲役5年という判決が下されたと筆者に連絡があった。KMの弁護士によると控訴する意思はないという。
ちなみに、AさんのFDのほか4台は以下の内訳となる。
・4月26日犯行
普通貨物自動車(クレーン付トラック)
・5月17日犯行
大型特殊自動車(クレーン、レッキング装置付)
中型貨物自動車(クレーン、ローダー付)
準中型特殊自動車(クレーン、レッキング装置付)
FD盗んだ犯人は何を語る? 公判の様子
AさんのFDを盗んだ犯人、KMには懲役5年の刑が言い渡されているが、公判でのKMの様子はどうだったのか。
被告人質問がおこなわれた第2回公判(12月8日)の様子をAさんが語ってくれた。
「KMは次回が判決言い渡しとなりました。求刑は懲役7年です。今回は被告人質問がありました」
「要点をまとめますと……
・最小限以外はすべて黙秘or覚えていない。言い逃れできない事象のみしか答えない。
・誰の指示で盗んだのか、誰に売ったか、誰から金を受け取ったのか。YKやほかの共犯者との関係、盗むに至った経緯、今回計5台売った利益……これらすべて黙秘でした」
「弁償についても話していましたが、『現時点では弁償できない』とのことで、『出所して働いて弁償したい。出所したら60代半ばの年齢となるが、知人や息子のツテで働かせてもらいたいと思っている』」
「出所後の支払いは現在の弁護士を通じて被害者に支払うことを考えており、『これから弁護士と相談したい』とのことでした」
「FDが見つかった敷地を所有するライオントレーディングやハルクンジャパンとの繋がりは明かされませんでした」
そして第3回公判(12月23日)では求刑7年に対して5年の懲役刑が言い渡された。
7年から5年に減軽された理由は以下。
・反省の意思を示している
・1台が被害者へ還付されている(AさんのFD)
・弁済の意思を示している
これらを情状酌量として減軽されたと考えられる。
「常習犯」に「反省」はあるのか……
「判決言渡後、傍聴に来ていたKMの仲間たちと(7年から5年になって)『良かったねー!』などと笑顔で話していました」
「わたしが傍聴席からKMの方を向いて立ってKMをにらんでいると、(何だ~お前は!)みたいな顔してにらみ返してきましたよ。これで反省の意思があるなんて到底思えませんね。それに、FDが戻ってきたことにKMは関係していませんし、情状酌量で7年→5年に減軽する意味もわからないですね」(Aさん)
このたび5台の車両盗難で有罪となり懲役5年の刑が確定したKMもそうだが、自動車窃盗犯は常習犯がほとんどだ。
また、自動車窃盗で有罪となるような人物は日本人の場合とくに、これまで何かしらの罪を犯していることが多い。だからこそ逮捕されやすいともいえる。
ちなみに、KMは2021年10月に何度目かの懲役刑を終えて出所している。
2020年2月1日に確定した「窃盗罪」の刑執行が終わったからだ。
その窃盗罪では懲役3年4か月という判決が下されており、確定した2020年2月1日からの3年4か月となると、本来の刑期が終わるのは2023年6月1日となる。
3年4か月の中には未決拘留期間(起訴後)も含むがさすがに年単位で短縮されることはないので仮釈放によって刑期が短縮された可能性が高いと考えられる。
一般的に有期刑では法律上、刑期の3分の1以上を終え、受刑者に悔悟の情、更生の意欲、再犯のおそれがないことが認められると、仮釈放になる場合が少なくない。
近年の「仮釈放率」はおおむね50%-60%で推移している。
KMの場合、出所して約半年後にAさんのFDを含む5台の車両窃盗をおこなっている。
今回に限らず、過去、何度も窃盗の再犯を重ねている中で、なぜ仮釈放が認められるのか?
詳細は不明ではあるが、少なくとも本来の刑期が終わるまで収監されていればAさんのFDが盗まれることもなかっただろう。
自動車窃盗はそもそも検挙率が低く、全国平均で4割強、茨城や埼玉などの多発地域では2~3割にとどまる。
クルマが戻ってくることは少なく、犯人が逮捕されたとしても与えられる刑罰は緩くて軽い。
このような中、車両盗難厳罰化に向けての動きも進んでいる。
12月19日には「車両盗難厳罰化を推進する会」が1万6000以上の署名を警察庁、国交省、財務省などの6省庁に提出している。その時の各省庁の対応や今後の対策についてはまた別途記事にする予定だ。
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誰が考えても出てきたら直ぐヤルよね