2024年シーズンで9年目を迎えたハースF1チームと小松礼雄代表。第5戦は5年ぶりの開催となった中国GPで、今年最初のスプリントフォーマットのレースウィークを迎えた。土曜日はスプリント予選、レースともに振るわなかったが、今年はスプリント後にクルマのセットアップを変えられるようになり、日曜日のレースはその恩恵を受けてニコ・ヒュルケンベルグが入賞を果たした。
そしてそのヒュルケンベルグは、中国GP後に今年限りでハースを離れ、2025年よりキック・ザウバーへ移籍することを発表した。すでにドライバー市場が動き始めていることからもわかる通り、今年は動きも早く流動的で、ハースのドライバー選択も含めて目が離せない話題のひとつになるだろう。そんな中国GPの週末を小松代表が振り返ります。
小松礼雄ハースF1代表がヒュルケンベルグ後任のドライバー選定に言及。「最終決定権はジーンにあります」
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2024年F1第5戦中国GP
#20 ケビン・マグヌッセン スプリント予選12番手/スプリント10位/予選17番手/決勝16位
#27 ニコ・ヒュルケンベルグ スプリント予選13番手/スプリント19位/予選9番手/決勝10位
中国GPは5年ぶりの開催となりました。上海では今年最初のスプリントも行われましたが、個人的にはやはりセッションの順番が変わってよかったなと思います。昨年までのやり方(金曜午後に公式予選、土曜にスプリント・シュートアウトとスプリントレース、日曜にレース)だと、土曜にメインイベントとは関係のないスプリントを挟むので、日曜に2日前の予選で決まったグリッドからレースをスタートするというのに違和感がありました。みんな同じことを感じていたようで、セッション順の変更は、F1コミッションでも全会一致で簡単に決まりました。
特によかった点は、土曜午前のスプリントレースを終えた時点でパルクフェルメが解除され、クルマのセッティングを変えたりする作業ができるようになったことです。昨年までの規則では金曜の予選が始まった時点でパルクフェルメになっていたので、エンジニアやメカニックにとっても正直つまらなかったです。見ている方々には伝わりにくい部分もあるかもしれませんが、規則が変わって本当によかったですね。
たとえば今回はニコのスプリントの結果が悪かったのですが、その理由のひとつがクルマのセットアップでした。昨年までだったらこの間違ったセットアップのままレースを走らなければいけなかったのですが、今年はそれを変えることができたので、そのあとの予選で非常にいい結果に繋がりました。規則が変わったことで、スプリントではいろいろなことを試せるようにもなり、土曜の走行データをもとに日曜のレースに向けたセットアップ変更をすることができるので、やっている側としてはこちらの方がおもしろいです。
逆にルイス・ハミルトン(メルセデス)などはスプリントの結果をもとにセットアップを変更したものの、これを外してしまったようで、予選とレースでは振るいませんでした。どちらにせよスプリントとレースの結果が変わる要因が増えたことは歓迎すべきことだと思います。
ケビンはスプリントでは10位とまあまあの結果を出せたものの、スプリント予選では2台ともあまりいい結果を残せませんでした。SQ1では本来持っている速さを出せたと思いますが、セッション開始から数分で雨が降ってくることが予想されたSQ2では1周分だけのガソリンを積んでアタックしたにも関わらず、ふたりとも上手くまとめらず不本意な結果に終わりました。うちよりもガソリンを積んでいたキック・ザウバーとの差がコンマ4秒というのはちょっと大きすぎます。キック・ザウバーのレースペースはとてもいいし、うちよりも速いですが、予選ではほぼ同等レベルだと思っているので、このSQ2の結果は残念でした。
土曜午後の予選ではケビンが16番手と力を発揮できなかったものの、ニコはミスなくトップ5チームに次ぐ9番手を獲得しました。ケビンはQ1で重量計測に呼ばれて走行時間を失う不運もあり、路面がどんどん良くなっているQ1で1回しかアタックできず最後のアタックに望むこととなり、すべて出し切ることができませんでした。ちなみにケビンは、今回話題になった路面のペイントのような舗装に影響されているような感じもありましたが、チームとしては金曜、土曜ともに路面よりも風の影響が大きかったと思っています。日曜は風が止んだので、ふたりともいい感触で走ることができました。
ケビンは16番グリッドからどうにか入賞を狙うべく、ハードタイヤでレースをスタートすることに決めました。ケビンよりも前のグリッドからスタートするニコはミディアム→ハード→ハードで走ると決めていたので、もしケビンがソフトでスタートすると彼がピットインしたタイミングで彼の周りのクルマもピットインすることになり、ニコのレースにも影響を与えかねないので、ハードでスタートすることに。あの路面温度でタイヤがどう機能するのかも見ることができますし、それこそ鈴鹿のように1ストップで走り切る可能性を残すこともできたので、間違っていなかったと思います。
結局ケビンはニコよりも長く第1スティントを走り、1回目のピットストップを終えたニコが追いついたところで彼を前に出しました。もしバルテリ・ボッタス(キック・ザウバー)がケビンの後ろでスタックすればニコはマージンを取れると考えていたのですが、うちはバックストレート手前のコーナーでの立ち上がりで遅かったのですぐに抜かれてしまいました。その段階で最初のタイヤ交換を行い、角田裕毅(RB)との接触後にもう一度タイヤを変え、その後はセーフティカー(SC)もでなかったのでこの順位で終えることになりました。
ニコの方は先に書いた通り予選結果もよくて、Q3では9番手でしたが、セクター1ではフェラーリよりも速いラップだったんです。レースはミディアムでスタートし、隣の10番グリッドからスタートしたボッタスとの勝負でした。途中でボッタスに抜かれたので先にピットインしてアンダーカットにも成功し、彼がリタイアするまで前のポジションを走り続けることもできました。
ボッタスがストップしたことでSCが出た際も問題なく2回目のピットストップを行い、エステバン・オコン(アルピーヌ)やアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を後ろに抑えたまま10位で1ポイントを獲得することができたので、今回のレースオペレーションに関してはニコの方は完璧なレースでした。
ところで、みなさんご存知のとおり、先日ニコが来シーズンからキック・ザウバーに移籍すると発表しました。ニコは去年うちに来てからとてもいい仕事をしてくれているので、残念ではあります。今シーズン限りで契約が切れるドライバーが多いため、まだまだマーケットは流動的なので今の段階であまり多くを話すことはできないのですが、2025年に考えられるベストなドライバーラインアップで望めるように話しを進めています。
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