この記事をまとめると
■2023年にはEVのジープがローンチされる予定になっている
いま日本でバカ売れの「ジープ」! なかでもタフっぷり全開の「ラングラー」ってどんなクルマ?
■低回転から最大トルクを発揮するモーターの特性はオフローダー向きだ
■一方、新型ランクルは異なる使命を持つため、電動化しなかったのにも納得できる
低回転高トルクのEVはじつはオフローダー向き
世界的な電動化の流れに合わせて、ジープもプラグインハイブリッド車に続き、電気自動車(EV)を送り出そうとしている。2022年3月に発表された、ステランティスの2030年に向けた戦略計画のなかで最高経営責任者(CEO)カルロス・タバレス氏が公開したもので、具体的な車名は明かさなかったものの、2023年初めにまず欧州で発売し、その後、世界中のマーケットに展開していく予定だという。
ジープと言えば第二次世界大戦中の 1941年に設計されたウィリスMB以来、動力源はずっとガソリンあるいはディーゼルのエンジンであり続けてきた。80年以上の長い歴史を持つだけに、ジープ=エンジンで動く乗り物というイメージを多くの人が持っていることだろう。
しかし、かつて日本でも大ヒットしたチェロキーXJ型を所有したひとりとして言わせてもらうと、ジープにおいてパワーユニットのプライオリティはさほど高くはないと思っている。
オフロードで大事なのは、粘り強いトルクをじんわり出してくれること。これが実現できるなら、モーターでも全然問題ない。むしろEVのほうが、走行時に排気ガスを出さないので自然保護につながるし、超低回転で最大トルクを出すモーターの特性はオフロード向きだ。
ランクルには安心してロングランできる性能が必須だ
気になるのはそのトルクをじんわり出せるかどうかだが、e-POWERを含めた日産の電動化車両を雪道などでドライブしたことがある人なら、電子制御のおかげでそれが実現できることを知っているだろう。
ではなぜ、日本のオフローダーの雄であるトヨタ・ランドクルーザー(ランクル)は、2021年に発表された現行型300系でも電動化とは無縁なのか。理由はこのクルマの設計思想にある、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」というメッセージに込められている。
つまり、ラングラーとランクルとでは、走るフィールドが違う。ラングラーは伝統的に、ロックセクションなどを踏破していく瞬発力が求められるのに対し、ランクルには荒野を縦断し目的地に辿り着く持久力が求められる。
しかも、現在のラングラーはレジャービークルとしての色が濃いのに対し、ランクルは未開の地に踏み入れるためのツールであり、安心してロングランを敢行できる内燃機関のほうが信頼できる。ラングラーならOKのEVが、ランクルには不向きであることは、この説明で理解してもらえるだろう。
ただランクルと似たような使命を持って生まれながら、行動範囲が狭く、軽自動車ゆえエンジンでのトルクアップに限界があるスズキ・ジムニーは、EVもアリだと思っている。
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