連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ
モダンクラシックカーのイベント「オートモビルカウンシル 2021」が4月上旬に千葉・幕張メッセで開催された。昨年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言発布による2度の延期を経て、8月に開催された。実行委員会の粘り腰が功を奏し、日本の自動車メーカー5社とジャガーランドローバーやマクラーレン、ポルシェなど海外の自動車インポーターも参加してブースを設けていた。特に、創立100周年を迎えたマツダは記念碑的なクルマを10台近く持ち込み、盛大に祝っていた。
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しかし、今年は昨年8月の開催から時間が経っていないからか、あるいは、コロナ禍の悪影響なのか、日本の自動車メーカーのブースが設けられなかったのは寂しかった。しかしマツダは、ル・マン24時間レースに優勝した「787B」や「737C」「RX-7 254」など、同レースに出走したマシン3台を展示して、イベントに華を添えた。
日産は、4台のラリーカーを持ち込んだ。「ブルーバード1600SSS」(1970年)、「フェアレディZ」(1972年)、「バイオレットGT」(1982年)、「240RS」(1982年)だ。世界のラリーを戦って好成績を残し、日本のクルマの評判を広めることに大いに貢献した。それらの並びには、スバルの「インプレッサ555 WRC」(1998)と「インプレッサWRC」(2008)などのラリーカーが2台。今年のオートモビルカウンシルは自動車メーカーのブースこそ少なかったが、「時代を進めたラリーカーの戦闘美」というテーマ展示で来場者の眼を楽しませてくれた。
日産とスバルとほぼ同じ時代を戦っていたイタリアのラリーカーが、会場中央に4台展示されていた。ランチア「フルヴィアクーペ1.6HF」(1974年)、ランチア「ストラトス HF Gr.4」(1974年)、フィアット「アバルト131ラリー」(1977年)、ランチア「ラリー037 エヴォリューション2」(1983年)の4台だ。
「フルヴィアクーペ」のクラシックな佇まいをはじめ、ラリー専用に開発された「ストラトス」の特異な機能美、実用セダンを極限まで競技用に設え直した「131ラリー」、低く構えたボディーに大胆なマルティニストライプが描かれた「ラリー037」。各時代のクルマと、それぞれのラリーのレギュレーションに合わせて生み出されてきた造形とエンジニアリングの違いを較べながら鑑賞するのも、また趣があった。
マツダの「787B」に代表される純粋のレーシングカーとは違い、ほとんどのラリーカーは市販車をベースに仕立て上げられているので、ノーマル仕様からの改造具合を愛でるのも楽しい。また、クラシックカーの販売店もそれぞれが珠玉の一台とも呼べるクルマを展示し、販売していた。
ヨーロッパと日本のクルマがほとんどだったが、驚かされたのはトヨタ「2000GT」(1970年)に1億円の価格が付けられていたことだ。その正札を記録しておこうとカメラを向けた時には、なぜか価格欄が空欄のものと入れ替えられてしまっていた。その店は、他にも2200万円のR32型、日産「スカイラインGT-R」(1995年型)や880万円の日産「セドリック2800スペシャル」(1964年)などをはじめとして、コンディション極上の日本のクラシックカーを多数取り揃えていた。近年の日本のクラシックカーの高騰ぶりを体現していて、ただただ溜め息が漏れるばかりだった。
見ていた楽しかったのは、アバルトやザガートといったイタリアの小規模メーカーやカロッツェリアによってデザインされたクルマたちだ。フェラーリやランボルギーニ、マセラティなどほど大仰ではなく、可愛らしく、個性的なところが共感しやすい。また、ザガートに限らずカロッツェリアには作風があって、時代によってそれが移り変わっていくのを較べるのもこうしたイベントの大きな楽しみだろう。
例えば、1971年のランチア「フルヴィア ザガート」と1973年のアルファロメオ「ジュニア ザガート」が、たまたま同じ販売店のブースに並んでいた。ランチアとアルファロメオというメーカーの違いはあっても、2台は同時代のザガートによる小型スポーツカーは同じ作風による。リアクオーターからテールエンドへ絞り込まれていく造形は、この時代のザガートならではだ。
そうした共通点、あるいは違いなどを見付けながら会場を歩いていくと、時間はアッという間に過ぎていく。ゆっくり、ジックリと眺めて楽しむのが良いみたいだ。こうしたイベントは、展示台数が多ければいいというものでもないようだ。
オートモビルカウンシルは、「我が国に成熟した自動車文化を」の旗を掲げ続ける、と銘打っている通り、東京モーターショーを筆頭とする他のクルマ関連のイベントの中では異彩を放っている。モダンクラシックカーを軸にしているイベントは他にもあるけれども、大人っぽいというか、成熟しているというか、多面的なのだ。
今年の出展では、クルマ以外の業者が今までよりも充実していた。シャンパンのクリュッグとシングルモルトウイスキーのグレンモーレンジィのブースは展示の他にバーにもなっていて、珍しい酒が格安で提供されていた。事前に知っていたら、クルマを運転して来なかったのに!
ガレージメーカーがテーラーを兼ねている「FILO」や伊勢丹メンズ、ヴァルカナイズドロンドンなどのファッション、ブランパンの時計なども出展。2022年秋にオープンする富士スピードウェイホテルとモータースポーツビレッジ。現代アートのギャラリー。他にも、クルマに関連した書店や雑貨店、絵描きさんなど。
クルマにだけ凝ったって詰まらない。クラシックカーに注ぐのと同じくらいの情熱で自分にフィットした服を誂えたいし、アートピースからも刺激を受けて、うまい酒も飲みたい。ファッションはモノ造り、時計と酒はブランディング、アートはデザインと、みんなクルマに関連している。スタンスを幅広く取ってクルマを楽しみたい人には、今年も「オートモビルカウンシル」は大いに楽しめたイベントだっただろう。コロナに負けずに、来年以降も続けて開催してもらいたい。続けていけば、きっと定着すると思う。
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◆関連情報
https://automobile-council.com/events/ac2021/
文/金子浩久(モータージャーナリスト)
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