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【WRC前提の3ドア】トヨタGRヤリス・プロトタイプ 新開発1.6L 3気筒ターボ 前編

掲載 更新 13
【WRC前提の3ドア】トヨタGRヤリス・プロトタイプ 新開発1.6L 3気筒ターボ 前編

トヨタ単独で生んだハイパフォーマンス・モデル

text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)

【画像】GRヤリス・プロトタイプとヤリス 全75枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


トヨタGRヤリスとは何か。思いがけないトヨタからの贈り物になりそうだ。

名前はヤリスだし、見た目もヤリスに見えるが、中身はまったく異なる。次期世界ラリー選手権へ出場するトヨタのラリーマシンだと想像できるかもしれないが、少量生産のホモロゲーション・スペシャルとも異なる。

ボディサイズはフォードフィエスタに近い。その内側は、一回り大きいホンダ・シビック・タイプR寄り。ヤリスGRMNの後継モデルにも思えるものの、生産台数は数万台規模らしい。

大きく膨らんだリアフェンダーなど派手なスタイリングをまとうが、基本コンセプトは「レス・イズ・モア(より少ない方がより良い)」。 徹底的な軽量化と高効率化にフォーカスされている。

トヨタGRヤリスは軽量な4輪駆動のホットハッチで、舗装路やサーキット、ラリーステージで速く走れることを目指している。開発コードはGR-4。2019年の世界ラリー選手権の最終ラウンド、ラリー・オーストラリアで発表される予定だったが、大規模な自然火災によりラリー自体も中止となっていた。

しかしこのGR-4は大きな意味を持つ存在だといえる。トヨタ社内で約20年ぶりに開発された、本物のハイパフォーマンス・モデルとなるのだ。GT86はスバルとの協働だったし、GRスープラはBMWとの協働だった。

トヨタ直轄のパフォーマンス部門、ガズーレーシング(GAZOO Racing)が、トヨタ・モータースポーツとトミ・マキネン・レーシングと手を組んで生まれた。ちなみにトミ・マキネン・レーシングは、トヨタが世界ラリー選手権でコラボレーションするパートナーでもある。

ラリーチームが要求したスタイリング

トヨタが高性能マシンの開発をするに当たって、効率性にもフォーカスたところが重要なポイント。GRヤリスの開発をリードしたのは、自ら「クレイジーなエンジニア」 だとする齋藤尚彦。トヨタがGRヤリスの開発を認めたことが信じがたい。

「夢は叶うものです」 と齋藤は熱く目を見開いて話す。

齋藤が率いるチームへ3年前に与えられた課題は、新しいヤリスのイメージを牽引できる高性能なラリーマシンを開発し、2021年のヤリスWRCのホモロゲーション取得につなげること。

この要求は、目前にあるGRヤリス・プロトタイプを見れば理解できる。ボディはプロテインを大量摂取して筋肉質になっているが、ヤリスだ。実際、近日発売予定のヤリスとの共通点も少なくない。

基本骨格は同じプラットフォームで、ホイールベース長も共有している。だがボディパネルは基本的に新しく、違いは一目瞭然。通常のヤリスは5ドアのみだが、GRヤリスは3ドア。ルーフラインは低く、大きなウイングとルーバーが備わる。リアフェンダーは大きく膨らみ、タイヤもかなり幅広。

これらのデザインは次期ラリーマシンのヤリスWRCと一致する必要がある。規定で、ボディ形状は量産車に準じなければいけないと決まっているのだ。

ラリーチームは、クルマの空力特性や車重、剛性など、多くの難しい要求を開発チームへと要求した。斎藤のチームはこれらの要求を盛り込んだ設計をした上で、トヨタからの承認も得る必要があった。トヨタが量産車メーカーであることを考えれば、一筋縄ではいかなかったことは想像に難くない。

指一本で曲がるほど薄いバンパー

「開発チームが3ドアの必要性を提案しましたが、新しいボディが必要となるため、当初の同意は得られませんでした。多くの競技を重ね、上層部と戦い実現できたのです」

車両の軽量化は重要な要素で、開発では天国にいるコーリン・チャップマンと心の中で相談したそうだ。GRヤリスのバンパーは、指一本で簡単に凹ませることができるほど薄いことを誇らしげに話す。

「当初は多くの議論を引き起こしました。指一本で曲がるようでは安普請に思われるかもしれませんが、軽量ボディのためならお客様は理解してくれると考えました」

斎藤がトヨタ上層部から勝ち取った、標準のヤリスとは異なる変更点を知るほど、開発費は安くなかったことが見えてくる。「お金勘定優先のクルマではないといえますね」 と斎藤は笑って話す。

軽量なボディの内側には、更に多くの特別が隠れている。最もわかりやすい違いは、3気筒1.6Lターボエンジンだろう。バランスを考えて、このクルマに合致する最大のユニットだという。

スバルWRX STIに搭載されている2.0Lターボユニットなど、ライバルモデルのエンジンも試してみたが、どれも重すぎると感じたそうだ。この1.6Lターボはまったくの新開発エンジンで、トヨタらしからず、ハイブリッド要素はまったくない。

ポルトガルのエストリル・サーキットでの試乗は後編にて。

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みんなのコメント

13件
  • 90年代が青春の私にとって3ドアハッチこそ若者の車。
    自分と彼女と荷物の3枚だけドアがあればよい。後席はあっても乗るのは野暮って奴ですよ。
    3ドアヤリス。大いに期待してます。
  • モータージャーナリストの方々が楽しいとか気持ちいいとか言っていますが、
    エンジンフィールが素晴らしい等のコメントが無い。

    三気筒エンジンゆえ、ネガを探せば、きりはないが。
    WRCで勝ための割り切りでしょうね。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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