アウディ「A6」がフルモデルチェンジし、セダンとステーションワゴン、ふたつのボディが同時に販売開始された。日本にはまず3.0リッターV型6気筒搭載モデルのみの導入となる8代目は、乗るとかなり気持いい操縦感覚で、すぐ好きになれるモデルだった。
今回試乗がかなったのは、3.0リッターV型6気筒エンジンにモーター(48ボルト駆動)を組み合わせたマイルド・ハイブリッド・システムを搭載するA6 Sedan 55 TFSI quattroおよびA6 Avant 55 TFSI quattroだ。
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【主要諸元(Sedan 55 TFSI quattro S line)】全長×全幅×全高:4950mm×1885mm×1430mm、ホイールベース:2925mm、車両重量:1880kg、乗車定員:5名、エンジン:2994ccV型6気筒DOHCターボ(340ps/5200~6400rpm、500Nm/1370~4500rpm)、トランスミッション:7AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:245/45R19、価格:1006万円(OP含まず)。タイヤサイズは245/45R19。スタイリング・コンセプトは、アウディ・ファミリーのアイデンティティを重視したもので、2018年に日本へ導入された「A8」、「A7スポーツバック」に連なるイメージが強い。
基本プラットフォームはA8およびA7スポーツバックと共用で、ホイールベースはセダン、ステーションワゴン共に2925mmだ。全長はA7スポーツバックよりA6(両ボディ)が25mm短く4950mmになる。
A6はセダンのほか、「アヴァント」と呼ぶステーションワゴンもラインナップする。アウディはA6のセグメントを「アッパー・ミドルクラス」というが、ボディといい、1000万円に迫る車両価格といい、常識でいえばりっぱなプレスティッジカーだ。リアシートもたっぷりとレッグルームがあり、居心地はかなりよい。
リアシートはセンターアームレスト付き。リアウインドウ用の電動サンシェード付き。リアシートもフロントシートとおなじく、左右独立して温度調整が可能。特等席は運転席もちろん、リアシートよりもっといい席がある。運転席だ。1968年の初代「100」にはじまり、このシリーズがドライバーのために作られてきた伝統にのっとっている。新型もドライバーズカーとしてかなりいい出来だ。
シート表皮はレザー。フロントシートは電動調整式だ。ナチュラルなステアリング・フィールを持ち、アクセルペダルへのレスポンスのよい加速が楽しめる。ちょい乗りしただけで、クルマ好きなら「いいね!」と、思える資質を持ったクルマだ。
駆動方式は4WDのみ。250kW(340ps)の最高出力と500Nmの最大トルクという数値から期待できるパワフルな感覚をしっかり持ち、広い速度域で中間加速にすぐれる。アクセルペダルを軽く踏み込むと、スーっと前に出ていく。
搭載するエンジンは2994ccV型6気筒DOHCターボ(340ps/5200~6400rpm、500Nm/1370~4500rpm)。トランスミッションは7ATのみ。加速はスムーズだ。その様は、抽象的にいうと、“品がいい”と、あらわしたくなる。わざとらしいスポーティさを前面に押しだしていないのだ。セダンあるいはステーションワゴンという伝統的なボディのA6によく合っている、
ドライビングの気持よさに不可欠なレーン・チェンジのスムーズさも特筆ものだ。空力ボディとともに、48ボルトの補助バッテリーを使った後輪操舵機構の「オールホイールステアリング」、「ダンピングコントロールサスペンション」、「ダイナミックステアリング」を統合した「ドライビングパッケージ」(38万円のオプション)のおかげもあるだろう。
オプションで4輪操舵システムも選べる。メーターパネルはフルデジタル。ナビゲーション・マップも表示出来る。高速では前輪と同位相に後輪が切れてスムーズな動きを、低速では逆位相で小まわりが効くようにするオールホイールステアリングは、日本ではひと足さきにA8とA7スポーツバックで導入ずみである。体験したひとは効果をよく知っているはずだ。
たとえばレーンチェンジでは、後輪に適切な角度をつけるとともに、ステアリングレシオが変わり、かつサスペンション・システムもダンピングレートを瞬時に変化させてスムーズな動きをサポートするという。
後輪操舵システム装着車の最小回転半径は5.2m(標準モデルは5.7m)。ステアリングはSライン専用デザイン。クワトロの優位性電子制御技術を、スムーズなドライビングのために活用しているのは、4輪駆動の「クワトロシステム」もおなじだ。
たとえば負荷の少ない高速域では、後輪への動力伝達はおこなわれない。しかし、フロントに搭載するカメラなどを使い、前方路面に4輪駆動を必要とする状況を検知した場合、瞬時にクラッチがつながり後輪にも適切なトルクが配分される。
日本法人のアウディジャパンは、「オンデマンド型の4WDシステムは、往々にしてトルクが伝達されていない車輪のスリップを検知してから4WDになるものが多いです。しかし、安全面からすると、0.5秒先の状況を常に先読みし、0.2秒でクワトロシステムを作動させるアウディのシステムのほうが明らかに有効です」とのこと。
アヴァントの車両重量は1930kg。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などの運転支援系システム・スウィッチはレバータイプ。アヴァントのリアシートも、装備などはセダンに準ずる。トノーカバーは、ラゲッジの開閉にあわせ、自動で上下する。トノーカバーは、ラゲッジの開閉にあわせ、自動で上下する。荷崩れ防止用のネットも標準。通常時のラゲッジルーム容量は565リッター。リアシートのバックレストは40:20:40の分割可倒式。リアシートのバックレストは、ラゲッジルーム内のレバーを操作すれば倒せる。ラゲッジルームのフロア下には小物入れもある。セダンもステーションワゴンも、ボディは伝統的であるが、けっして古くさくない。エッジの効いたボディに、大型のエアダム一体型バンパー、それに薄型のマトリックスヘッドライトを組み合わせた結果、A6は確実に新しく見える。
インテリアも同様で、とりわけ新世代アウディの大きなセリングポイントといえる「MMIタッチレスポンス」のダブル・モニタースクリーンが目を引く。ふたつのモニターで、空調やインフォテインメントシステムが操作出来る。
インパネ上部にインフォテインメント用モニターを大胆に配したインテリア。インパネはふたつのモニターで構成される。上段はナビゲーションシステム。後段のモニターでエアコンなどを操作する。セダンのラゲッジルーム容量は530リッター。セダンのリアシート・バックレストも分割可倒式。さらに「アウディコネクト」というサービスに加入すれば、オペレーターとの対話によって、ナビゲーション検索などをよりスムーズにできる。
新型A6の価格は「A6 Sedan 55 TFSI quattro」が920万円(S lineは1006万円)、ステーションワゴンの「A6 Avant 55 TFSI quattro」は955万円(同1041万円)。追って4気筒ターボ・エンジンやディーゼル・エンジン搭載モデルもラインナップにくわわる。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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