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ジャガーCタイプのレプリカ エキュリー・エコッスLM-Cへ試乗 4.2L直6で304ps

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ジャガーCタイプのレプリカ エキュリー・エコッスLM-Cへ試乗 4.2L直6で304ps

オリジナルよりひと回り大きいLM-C

英国人作家、ジョージ・オーウェルが残した名言に「過去を支配できる者は、未来も支配できる」というものがある。らしくない始まりだが、クルマにも当てはまりそうだと思わされた。

【画像】エキュリー・エコッスLM-C フェラーリにコブラ 再現・復刻されるクラシック 全126枚

今回ご紹介するエキュリー・エコッスLM-Cは、見た目はそっくりだが、ジャガーCタイプではない。手掛けたのは、英国の名門レーシングチームの名前を冠した、エキュリー・エコッス社だ。

オリジナルのCタイプは、1953年のル・マン24時間レースで優勝を果たした。ジャガーは2022年に、そのコンティニュエーション・モデル、ほぼ完璧な復刻版を16台作ると発表している。そのクルマとは、まったくの別物。

ジャガーはCタイプのレプリカを制作した別の会社を、著作権の侵害で訴えた過去がある。だが、エキュリー・エコッス社とは良好な関係にあるようだ。その仕上がりを確かめれば、うなずける判断だといえるだろう。

一見すると、本物のCタイプと殆ど見分けがつかない。当時の写真と見比べても。だが実際は、LM-Cはひと回り大きいという。

エキュリー・エコッス社のクリス・ランドール氏によれば、実物より100mm長く、50mm幅が広いそうだ。プロポーションが瓜二つだから、説明されてもわかりにくい。

同社が寸法を大きくした理由は、クルマの目的がオリジナルと異なるため。Cタイプは生粋のレーシングカーだったが、LM-Cは公道走行が前提。そのおかげで、本来は居心地が悪いほどタイトな車内も、LM-Cでは大幅に改善されている。

ジャガーの4.2L直列6気筒で304ps

実際のオーナーは、筆者が試乗したような天気の日に、LM-Cへは乗らないだろう。写真では英国北部、スコットランドの晴れた風光明媚な自然が写っている。だがロンドンの北西、オックスフォードシャー郊外の道でのドライブとなった。雨がちの寒い日に。

少し大げさなレーシングヘルメットをかぶり、ゴーグルを着ける。雨風をしのいでくれるのは、切りっぱなしの小さな強化ガラスと、更に小さなディフレクターくらいだ。

見た目はCタイプに酷似するLM-Cだが、その内側は多くが異なる。シャシーはオリジナルを模したスチール製の鋼管フレームで、アルミニウム製のボディが被さっている。しかし各所が強化され、サスペンションの支持ポイントにも変更が加えられている。

エンジンは、本物と同じくジャガーXK用の直列6気筒エンジンが載る。しかし排気量は3.4Lではなく、4.2Lへ拡大されている。英国でナンバー取得が可能なように、燃料インジェクションや排出ガスの制御システムが、しっかり搭載されている。

最高出力は304ps。トランスミッションはトレメク社製の5速マニュアルで、リアタイヤを駆動する。車重は1000kg丁度ということだから、パワーウエイトレシオはかなりのものだ。

タイヤは幅185という細身のエイボン。冷たく濡れたアスファルトで、そのパワーを操るのだから、一筋縄ではいかない。電子的なセーフティネットも備わらない。初心者への敷居は高い。

アイドリングするエンジンは、荒々しいノイズを放つ。脈打つように回転数が上下し、時々著しく低くなる。

クルマとドライバーとの濃密な関係性

アクセルレスポンスは明らかにシャープ。クラッチは突然つながる。運転に慣れが必要なことは間違いない。最初は不安に感じたものの、いざ発信させてみると徐々に緊張が溶けていく。

トラクションが時々抜け、コーナーでは横方向の負荷がさほど高まることはない。これまで運転した多くのモデルと同様に、限界領域が掴みやすい。

パワーアシストのない、極めてダイレクトなステアリングには、フロントタイヤの動きが明確に伝わる。スリップアングルが増えていく様子も感じ取れる。

リアタイヤは、想像以上にグリップする。挑発的な操作をしない限り、テールエンドはフロントノーズを逆らうことなく追いかける。

アクセルペダルの踏み加減で、リアタイヤを乱すことも簡単。前後タイヤの状況を探るように、法的に許される速度域で運転を楽しめる。クルマとドライバーとの濃密な関係性を、堪能できる。

車内はCタイプより広いが、ドライバーにフィットする。内装は豪華に仕立てられ、Cタイプでは塗装された金属だったダッシュボードには、レザーが張られている。

ドライバーの正面には、大きなスピードメーターと、反時計回りに回るタコメーター。その隣に、当時の雰囲気を漂わせるタグ・ホイヤー社製のストップウォッチが2つ並ぶ。

大きなステアリングホイールはウッドリム。現代的な装備は、目立たないようにレイアウトされている。

価格は51万6000ポンド(約7998万円)

5速マニュアルのシフトレバーは、カチッとした動きと適度な重さを伴い好感触。ブレーキは前後ともにディスクで、一度強くペダルを踏めば、以降は効果的に制動力が立ち上がる。ドライビング体験は、1950年代のクラシックに期待する以上のものだ。

ヘルメットを通じても、4.2L直列6気筒は惚れ惚れするサウンドを放つ。トルクが太く、5800rpmのレッドラインまで回さずとも、幸福を感じる。

低い位置の小さなフロントガラスは、スピードが増すと雨つぶを効果的に上方へ流してくれる。もちろん、速度が低くなるとドライバーは濡れるのを避けられない。

LM-Cは、郊外への短時間のドライブを冒険に変えてくれる。もし選べるなら、雨がちの寒い天気ではなく、暖かく晴れた日に運転したいけれど。

普段の乗りやすさが、オリジナルとLM-Cとの最大の違い。フォルムはCタイプに準じているが、ナンバープレートを取得できる。日常の景色ですら、興奮するものになる。

エキュリー・エコッス社がLM-Cに設定した価格は、51万6000ポンド(約7998万円)。限定生産とはいえ、安いとはとても書けないが、正式なCタイプ・コンティニュエーションと比べればお手頃。向こうには、7桁ポンド(億単位)が付いている。

過去を上手に支配すれば、現在も支配できる。エキュリー・エコッス社の仕事は、それを証明しているようだ。

エキュリー・エコッスLM-C(英国仕様)のスペック

英国価格:51万6000ポンド(約7998万円)
全長:−
全幅:−
全高:−
最高速度:252km/h
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:1000kg
パワートレイン:直列6気筒4200cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:304ps/4940rpm
最大トルク:45.1kg-m/4450rpm
ギアボックス:5速マニュアル

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みんなのコメント

1件
  • 「過去を支配『した』」ではなく「過去を支配『できる』」としていることが肝。
    最初誤りかなと思ったが、どうやら違うようだ。
    「歴史『改ざん』できるほどの『権力者』」ということだろう。

    翻って記事の車に当てはめてみると・・・・・なんかよくわからん、ピント外れの比喩じゃなろうか、私の理解力不足か?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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