スカイライン六代目「R30」のハナシ
日産の6代目スカイライン、R30について、あなたはどんなイメージがあるだろうか?
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ある人には、ハコスカ以来10年ぶりに日産ワークスとしてサーキットレースにカムバックした、シルエットフォーミュラの姿。ある人にとっては、テレビドラマ「西部警察」の特別機動車両・RS-1。そしてケンメリGT-R以来絶えていた、DOHCエンジンの復活というのも、スカイラインファンには大事な要素だった。
そういう意味で、現行車で13代目になる長いスカイラインの歴史のなかでも、R30スカイラインはなかなかエポックメイキングな存在だ。
日産ファンの無念を晴らした名エンジンFJ20
R30がデビューしたのは1981年。俳優のポール・ニューマンが広告キャラクターを務めたので、「ニューマン・スカイライン」という愛称が広まった。
このR30の登場でまず日産ファン、スカイラインファンが喜んだのは、新開発のDOHCエンジン、FJ20エンジンを積んだ2000RSが出てきたこと。
ケンメリGT-R以外のC110と5代目のジャパン(C210)は、昭和53年排出ガス規制の影響でDOHCエンジン搭載車がなかった。そのことをライバルのトヨタは、「名ばかりのGT達は、道をあける」「ツインカムを語らずに、真のGTは語れない」と、2代目セリカのCMコピーで挑発! 悔しい思いをしていたスカイラインファンには、まさに待望のエンジンだった。
しかもこのFJ20は、DOHCの4バルブ。トヨタ自慢のツインカム軍団、2T-G、18R-G、5M-Gといったエンジンは、ツインカムといっても2バルブ……。スカイラインが4バルブ化で大きくトヨタのツインカムエンジンを引き離したのは、長年の溜飲が下がったところ。
ただしこのFJ20が直列4気筒で、かつGT-Rのアイデンティティである6気筒エンジンではなかった。そのため、GT-Rではなく「RS」というネーミングになったとされていて、GT-R復活を望んだ人は少々寂しい思いをした。だが2L NAで150psというのは、当時ピカイチの高性能。4バルブDOHCのおかげで、吹き上がりの良さは群を抜くものがあった。
また、またタイミングベルトはゴムのコッグドベルトではなく、ダブルローラーチェーンを採用。ラリーなど過酷な競技車での使用を考え、信頼性に余裕を持たせるためにタイミングチェーンとしているのも大きな特徴だ。
シャーシは、先代のジャパンからのキャリーオーバーだが、ダンパーは減衰力を2段階に調節できるアジャスタブルショックアブソーバを使っていた。ボディもCd値は0.37で、当時は空力に優れたボディと言われていた。
スカイラインから再び立ち昇った「炎」
レースでは1982年に、シルエットフォーミュラ(Gr.5)に「スカイライン スーパーシルエット」が参戦。全国のプリンスディーラーの営業マンがカンパしてこの挑戦を支え、PDC(プリンスディーラーズクラブ)のステッカーをボディに貼ったのはいまや伝説。「SKYLINE COME ON BACK TO THE CIRCUIT AGAIN」のロゴが誇らしかった。
コーナー手前で、マフラーからアフターファイアーを吹く、「スカイライン スーパーシルエット」の姿が、瞼に焼き付いているファンも多いはず。
また、アフターファイアーといえば、前記の西部警察のRS-1(ベースは初期型RSターボ)も、マフラーから火を噴いて急加速する設定。ちなみにRS-1仕様(?)のエアロパーツなどは、ディーラーオプションにもなっていた。 また、「スカイライン スーパーシルエット」とRS-1ともに、ボディカラーは、特徴的な赤/黒の2トーンカラー。RS-1のサイドには、当時流行った「4VALVE DOHC RS-TURBO」の金文字デカールが大きく貼られていた。
“じゃじゃ馬”個性きわだつ諸相
R30は、1983年2月にFJ20をターボ化した「2000ターボRS」を追加。190psにパワーアップされ、「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーが与えられる。
さらに1983年のマイナーチェンジで、薄型ヘッドランプ、ラジエーターグリルレスのデザインを採用。いわゆる「鉄仮面」と呼ばれる後期型になった。
そして1984年、インタークーラーターボとなった「2000ターボインタークーラーRS/RS-X」が投入される。これがいわゆる「ターボC」。 インタークーラーが与えられたことで、エンジンパワーはついに205ps(グロス値だが)の大台に! パワー優先のけっこう過激な仕様で、そのじゃじゃ馬ぶりに惚れ込んだユーザーも多かった。
R30は、1985年のフルモデルチェンジでR31(7thスカイライン)にバトンタッチするが、「走りのスカイライン」を復活させたという意味で、R30の果たした役割は非常に大きい。
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