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総工費10億円! 交差点のADAS試験ができる最新施設オープン! より“賢い”クルマの開発が加速する!

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総工費10億円! 交差点のADAS試験ができる最新施設オープン! より“賢い”クルマの開発が加速する!

■「自動車アセスメント」って一体ナニ?

 衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)や、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置など、事故を防いだり、または事故による乗員へのダメージを軽減したりするクルマの機能は、近年目覚ましく発達しています

【画像】交差点での出合い頭事故のテスト可能! 10億円かけた最新ADAS試験場がスゴイ!

 こうした予防安全にかかわる技術がさらに高度化していくのは、ほぼ間違いないといえるでしょう。

 なぜならば、「自動車アセスメント」で新しい試験項目が採用されるからです。

 そして、新しい試験項目に対応するために、国内最大級の最新型試験施設も完成しました。

 こうした最新技術が「セーフティ・サポートカー(サポカー)」にも採用される日が遠くないでしょう。

「アセスメント」は「評価」という意味ですが、自動車アセスメントでは大きくふたつの目的があります。

 ひとつは、ユーザーがより安全なクルマを選ぶための指標としての評価、もうひとつは、メーカーに対して安全なクルマの開発を促進してもらうための評価になります。

 第三者機関(日本の場合、独立行政法人自動車事故対策機構)が、さまざまな評価試験項目の採点結果によって、総合評価を☆印の数で示すやり方です。

 そもそも、自動車アセスメントは、事故で衝突した後に乗員へのダメージを可能な限り減らすための衝突安全性能という考え方から始まりました。ダミー人形を使った衝突試験の映像で、エアバッグが激しく開く様子を見たことがある人も多いはずです。

 こうした、“ぶつかった後の安全”に加えて、2010年代に入ってから“ぶつからないようにするための安全”である予防安全性能に関する新技術を導入するクルマが続々と登場するようになります。

 日本車では、スバルの「アイサイト」、また欧米ではボルボやGMなどがイスラエルのベンチャー企業の技術を採用するなどして、まずは自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)を標準装備するモデルが徐々に増えていきました。

 背景にあるのは、画像認識技術の進化です。

 関連する部品としては、半導体の演算性能が向上し、そうした半導体の量産効果によるコストダウンなどによって、まずは自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)性能の高度化が進み、さらに自動運転技術の進化につながっていきました。

 こうした動きと並行するように、自動車アセスメントも予防安全の技術に対する評価項目を設定するようになります。

 その項目は夜間の歩行者保護や自転車保護に及ぶなど、メーカーにとっては自動車アセスメントで高得点を取るためのハードルが段階的に高まっているのです。

■サポカーもさらに賢くなる!

 技術進化と自動車アセスメントの相互作用によって、予防安全の技術は発達しているのですが、自動車アセスメントの観点で見ると、欧州のEuro NCAP(ニュー・カー・アセスメント・プログラム)が世界市場をリードする形が続いています。

 日本のJNCAPは先行するEuro NCAPの動きを見据えながら、日本の交通環境や道路事情にあった形で試験項目を日本向けに最適化する流れになっています。

 そうした自動車アセスメントの進化を踏まて、日本の自動車メーカー各社は、ADAS(先進運転支援システム)に特化した独自のテストコースや実験設備を相次いで導入。

 さらにもう一歩進んだ施設として、一般社団法人日本自動車研究所(JARI)が茨城県の城里テストセンターに新設したADAS試験場を、報道陣や自動車業界関係者に披露をしました。

 JARIは、自動車メーカー各社にまだ大規模なテストコースやテスト施設がなかった1960年代後半に立ち上がり、自動車部品メーカーを含めて活用できる場として、日本の自動車開発を支えてきた公的な機関です。

 現在は茨城県城里町とつくば市に施設がありますが、今回新設したADAS試験場は城里テストセンターの高速周回路の内側の敷地です。もともと悪路試験場があった場所に、全舗装面積3万平米の「交差点評価のための扇型走路」を総工費10億円かけて建設したのです。

 最大の特徴は、500mと300mの直線路が交差する試験が可能なことです。

 交差点での試験では、時速60kmから80kmを想定しています。

 これは、Euro NCAPで2023年から、交差点での右方出合い頭の事故で試験車の速度が最大時速60kmになることや、右折時直進二輪車事故で二輪車の速度が時速30kmから60kmに設定されることなどを考慮した道路設計です。

 今回は、試験器などを手がける3社(日本電計、ヒューマネティクス、エアブラウン)によるさまざまなデモンストレーションがおこなわれ、二輪車試験車が時速100kmで500mの直線路を走行する様子などを披露しました。

 自動車メーカーや自動車部品メーカーなどの数百人の関係者が、デモンストレーションの様子を注意深く見守っているのが印象的でした。

 ADAS試験場のお披露目会が開催されたことでもわかるように、日本国内向けの量産車の予防安全に関する技術は、2023年以降にさらに高度化することになるでしょう。つまり、サポカーの安全性もさらに高まるということです。

 サポカーは、2010年代後半に全国各地で大規模な事故が目立つようになった高齢ドライバーへの対応を踏まえて、国が掲げた最新の予防安全技術を持つクルマに対する”概念”です。

 自動車メーカーはそれぞれサポカーを製造していますが、予防安全技術やADASについては、各社が独自の開発思想と研究開発に基づく技術を持っています。

 そのうえで、実際の事故に対してどのような性能があるのかを、第三者機関が自動車アセスメントによって評価することでサポカー全体の技術の底上げとなり、その結果として高齢ドライバーのみならず、すべてのユーザーがより安全な運転ができる環境づくりが可能になるといえるでしょう。

 ただし、予防安全技術やADASは、あくまでも「もしもの場合のバックアップ」であり、ドライバー自身が日頃から安全運転を徹底しなければならないことは、いうまでもありません。

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