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少年時代の夢がかなった!! ラリーに勝つために生まれたルノーのモンスターマシンを買う!!

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少年時代の夢がかなった!! ラリーに勝つために生まれたルノーのモンスターマシンを買う!!

 数あるモータースポーツカテゴリーの中で、市販車をベースにしたものは、そのオーナーになれるという意味でも人気が高い。

 かつてのラリーマシンは、ハイパフォーマンスな少量生産のモデルをベースとしていたが、その中でも異彩を放っていたのが、ルノー5ターボ2だろう。

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 今回はそのベースマシンを徹底取材した!

文・写真/池之平昌信

[gallink]

■ラリーのウンチクなんか全部ふっとばす存在感

ルノー5(サンク)ターボ2 1983年モデル

 公道を普通に走れる市販車のランエボやインプレッサWRXがなぜ特別だったのか? 「ラリーの出場権を得るためのホモロゲ(公認)モデルだから」というウンチクを聞いたことがある方は多いだろう。

 WRC(世界ラリー選手権)で勝つためにはベースとなる市販車のデキが大きくモノをいう。

 そのために市販車も毎年のように改良を重ねて発売されていたし、ラリー競技の現場からフィードバックされたチューンも市販車に生かされるという相乗効果で市販モデルの魅力が増す、という好循環だった。そして時代によっては市販車と競技車両との関係が近く濃密だったころもあるのだ。

 取材当日このルノー5(サンク)ターボ2の前に立ってみると驚いた。

 永らく続いたFIA(世界自動車連盟)の「グループ4」規定末期のホモロゲモデルであること、「連続する24ヶ月間に400台以上製造された車両」という規定を満たすためのものであること、といったマニアックなラリーウンチクなんかは吹っ飛ぶのだ。

 モンテカルロ、コルシカ等々のWRC取材経験があり、本物の競技車両をさんざん見てきた筆者ですら、このマシンのオーラに圧倒された。雑誌や映像では伝わりにくい「存在感」みたいなモノにやられたのだ。このマシンのオーナー栗原篤さん(49歳)にそう話すとニヤリと笑った。

 「道の駅みたいなとこに行くと、人だかりができますからねー。老若男女、なんせバイク乗りの人まで話しかけてきますよ」

 確かに腰を抜かしそうな外見なのだが、爆音もしないし、かわいさというか、フランス車の気品もある佇まい。ギラギラしてないのに、凄さはビンビン伝わってくる。見たこともないマシンだし、そりゃみんな気になって寄ってくるのも当然だろう。

■少年の日の夢が現実に

オーナーの栗原篤さん(右)とメカニックの尾上忠則さん(左)

 栗原さんと5ターボの出会いは古い。

 「小学6年の時の床屋さんの待合席で見たカーグラフィック誌の記事に衝撃を受けたんですよ。それからずっと5ターボのことが頭から離れませんでした。

 30才を過ぎたころ、一念発起して起業して、寝る間も惜しんで働きまくってフェラーリ! とかも買ったんですが、どうにも5ターボのことが忘れられず、資料集めから始めました。

 売り出し情報があると日本各地に見に行き、10台くらいはみましたかね。あまり程度が良くないクルマばかりでしたが、この個体(83年型)に出会えたのが4年ほど前。

 新車から日本にいて、ガレージに8年ほど眠っていたらしいです。おかげで程度極上。約900万円!でしたが、即決しました。夢が叶ったんです」

 そう語る栗原さんの眼は確かに少年のように輝いている。だがそれで終わりではないところがただモノではない。

 「メンテナンスを頼んでいる尾上さん(メカニック)のおかげもあって、何の問題もなく完調です。ただ、どうしても、サンク愛が止まらなくて。

 スペアホイール(2セット)やデカール(各種)、前後バンパー、ヘッドランプ(10個)、テールランプ(10個)、マフラー(2本)、シート、ミニカー(各色)…E-BAYとかの通販サイトで見つけるとすぐ買っちゃうんですよね」

 メンテをしているメカニックはその愛情をどう受け止めているのだろうか? 整備性も含め冷静中立な判断のできる敏腕メカにハナシを聞いた。

 「まあ、それはもう好きなんだから仕方ないでしょう! いろんなスーパーカーも診てきたけど、これは市販車であって市販車じゃないね。無理やり? ミッドシップにしてるクルマだけあって、やっつけ感があちこちにあるし。

 けどまあそれがホモロゲマシンの魅力でもあるのかな。ラリー競技車両そのものはまた違う造りになってるんだと思うよ。オイルフィルターひとつ外すのもたいへん。よって整備性は極悪かな、ハハハ」

■周囲の人々を幸せな気分にさせる武闘派

オーナー栗原さんの華麗なハンドルさばき

 WRCツール・ド・コルスをイメージした山中でのワインディンロード撮影を終え、最後に助手席に乗せてもらった。

 1400ccターボとは思えないほどの加速感がある。昔の自動車雑誌的な表現でいえば、「4000回転を超えたころからブーストがいっきにかかり、シートに背中が押し付けられるような加速を味わうことが可能だ」といったところだろうか。

 乗り心地も悪くないし、コーナーをヒラリヒラリ、スイスイとかわしていく印象だ。これなら普段でもけっこう乗れるのでは?

 「以前、奥さんを乗せて買い物に行ったんですが、車内がガソリン臭いからもうイヤだ、と言われましたよー」

 そうか、乗り手を選ぶとしたらそこだったか! けど栗原さんは少年時代へのタイムトラベルを楽しむかのように運転している。その姿を見て、尾上メカニックも自分も奥様も! 微笑んで幸せな気分になる。素敵なオーナーとクルマ、空気の澄んだ美しい山道。

 武闘派ラリーマシンの取材のはずが、なぜか癒されちゃって不思議な気分になった一日でした。メルシーボクゥ。

[gallink]

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みんなのコメント

2件
  • 古い車だけど5ターボに限れば、まだ部品が豊富に残っているから所有意欲を掻き立てるよね。
    でも、日本国内では5ターボをマトモに修理が出来る整備士は殆ど居ない。
    整備士さんが紹介されてるけど、この人は?
  • 昔はそう言う喜び有りましたね。
    今は市販車で300馬力なんてゴロゴロしてるし、それ以上って使わない、、、
    有る意味贅沢な悩みだけど、
    車やバイクってノーマルが一番って思う時代、残念です。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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