ターボはそもそも本来捨てるエネルギーを利用している
昔ながらのクルマ好きにとって、ターボ=ハイパワーであり、すなわち燃費が悪くなるデバイスというイメージがある人が多いことだろう。しかし、ダウンサイジングターボは省燃費につながるテクノロジーとして喧伝されている。果たして、ターボエンジンは燃費にプラスなのか、マイナスなのか、あらためて仕組みと効能を整理してみよう。
ターボチャージャーというのは、エンジンの排気を利用して吸気を増やす装置といえる。より正確にいえば、排気の熱エネルギーによってコンプレッサーを回し、吸気の圧力を高めることでシリンダーが吸い込む気体を増やすというものだ。同じ排気量でも多くの空気(酸素)を押し込むことができるため、より多くの燃料を燃やすことができ、パワーアップにつながる。そのため同排気量のNA(自然吸気)エンジンと比べると燃費的にはマイナスとなりがちだ。
しかし、そもそも捨てている熱エネルギーを回収して、利用しているわけだから、システム全体として見たときの効率は向上している。じつは最初期のターボエンジン(日本でいうと日産の6気筒・L20型ターボエンジン)では、そうした効率の良さをアピールしていた。現実的には小さい排気量で大きなパワーを得るための技術だったが、行政機関の認可を得るためには効率の良さを建前とする必要があったのだろう……。
排気量が小さいほうがポンピングロスを低減できる
さて、同じ排気量で比べるとパワーアップにつながるため、燃費性能的には不利になるターボエンジンだが、その素性としての高効率を活かすのがダウンサイジングターボと言われているものだ。ターゲットとなる最大トルクに対して、NAエンジン(自然吸気エンジン)とターボエンジンそれぞれで達成しようとするとターボエンジンのほうが小排気量で済むため、ダウンサイジングとなるのだ。
たとえば、車重や加速性能などの要件から250N・m程度の最大トルクが必要な場合、NAエンジンでは2.4~2.5リッター程度の排気量が必要となるが、ターボであれば1.5~1.6リッターで十分なトルクを発生することができる。同程度の最大トルクを出しているとして、排気で捨てているエネルギーを利用できるターボエンジンのほうが、全体としての効率に優れる。そのためダウンサイジングターボが省燃費エンジンとして評価されるようになってきた。
また、ガソリンエンジンについていえばスロットルバルブを全開にしているほうが「ポンピングロス」を低減できるため効率面で有利だ。傾向として排気量を小さくしておいたほうがポンピングロスの低減には効果がある。
EGR(排気再循環)や吸気バルブのタイミングなどによる高膨張比サイクルとすることもポンピングロスの低減には効いてくる。EGRは排気の一部を吸気系統に合流させて、再びシリンダー内に送り込むというもので、吸気量を増やしながら酸素は少ない(燃料を減らせる)という技術だが、ここでもターボによる過給と組み合わせることで、十分な出力を確保しながら、EGRを増やすといったことが可能になる。
街乗りではダウンサイジングターボが不利な点も
さらに、傾向としてエンジン回転数を落としておいたほうがスロットルバルブは大きく開けるのでポンピングロスの低減には有利。そこで、多段でステップ比の大きなトランスミッションと組み合わせることで、アクセル開度を大きくしやすくして、パワートレイン全体として効率を上げるようにしている。
アクセルについても、ペダル操作を電気信号に変換して、スロットルバルブに伝えるDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)が広く普及したことも、ダウンサイジングターボには有利に働いた。多段ATやCVTとDBWの制御を巧みに利用することで、可能な限りロスを減らしたことが、ダウンサイジングターボの燃費性能につながっている。
とはいえ、ダウンサイジングターボには良いことばかりではない。ポンピングロスの低減につながるのはアクセル開度が大きなシチュエーションだが、テストコースやエンジンベンチで限界域をテストしているのならまだしも、一般公道ではアクセルを全開にするようなことはほとんどない。全開時と比べるとゆっくりと加速して、速度を微調整するためにアクセルのオン/オフを繰り返すといった状況がほとんどだ。
そうしたシチュエーションでの過渡特性については、ダウンサイジングターボは出来のいいNAエンジンには敵わない。リアルワールドにおいてはダウンサイジングターボのメリットを引き出しづらいシーンもあり、そのために同程度の最大トルクで比較したときに、NAエンジンのほうが実際の燃費では有利と主張しているメーカーもある。
なお、リアルワールドの燃費でいうと、軽自動車同士で比較すると高速巡行についてはNAエンジンよりターボエンジンのほうが燃費性能において有利な傾向にある。とくにスライドドアで重く、空気抵抗の大きな車種ではそうした傾向は顕著だ。
実際、日産デイズルークス、三菱eKスペースのカタログ値を見ると、NAエンジン車が22.0km/Lなのに対して、ターボエンジン車は22.2km/Lと数字上でも省燃費になっていたりするほどだ。軽自動車の場合、ダウンサイジングターボとはいえないが、小排気量ターボの良さを引き出した結果がカタログ値にも現れた一例といえるだろう。
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