■エンストや坂道発進時の後退も再現してるってホント!?
レクサスの欧州法人は2022年12月5日、同ブランドの今後の電動化について発表をおこない、そのなかで、電動スポーツカー「エレクトリファイドスポーツ」(コンセプトカー)の市販車にマニュアルトランスミッション(MT)を搭載する可能性を明らかにました。
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エレクトリファイドスポーツはバッテリー電動ドライブトレインを搭載した将来のスポーツカーに対するレクサスのビジョンを表現したモデルで、伝説のスーパーカー「LFA」の後継車といわれています。
流麗で美しいプロポーションと存在感のあるワイドで低く構えたスタンスが共存。レクサスの未来を象徴したといいます。
レクサスは「本格的なスポーツ性能を備えたバッテリーEV」と説明していますが、そのうえでMTを搭載する計画があるというのです。
レクサスの電動モデルのチーフエンジニアである渡辺剛氏のプレゼンテーションによると、「いつでも適切なトルクにシフトできるMTは、運転好きなドライバーにとっては何より魅力的なものです。そこで、マニュアルBEV(バッテリーEV)を作ろうと考えました」
BEVはトランスミッションを必要としませんが、あえてMTによって変速をおこなうというものです。
研究試作車としてレクサスのコンパクトSUV「UX300e」にMTを搭載。外から見ると普通のUX300eと何ひとつ違うところはなく、BEVなので静かなのですが、シフトノブとクラッチペダル、タコメーターを追加し、マニュアルBEVのプロトタイプを作製しました。
そして、クラッチを上手くつながないとエンストしたり、坂道発進で後退するほか、シフトチェンジにともなってエンジンサウンドも変化するなど、BEVであってもMT車の感覚を体験することができます。
唯一再現できなかったのは「ガソリンの匂い」とのことですが、それ以外の要素はMT車と同じというわけです。
そしてこのマニュアルBEVの走りあまりにも楽しいものになっていることから、現在本格的に開発を進めているといいます。
マニュアルBEVのシステムはソフトウェアをベースとしていることから、さまざまな運転感覚を再現することが可能。ドライバーの好みに合わせたドライビング体験ができると説明しており、BEV開発において新しい扉を開くシステムとなりそうです。
そして、エレクトリファイドスポーツをベースとした市販車では、MTのほか、電動パワートレインのダイナミックなポテンシャルを最適化する新システムとして「DIRECT4」も搭載。
フロントとリアのアクスルに伝達される駆動トルクを瞬時にバランスさせ、あらゆる走行状況下で最適なトラクション、リニアな加速、コーナリングと車両姿勢の向上を実現するレクサス独自の技術が採用されます。
さらに、ハンドルと前輪の機械的な接続をなくしたステアバイワイヤシステムとして「ワンモーショングリップ」を搭載。ハンドル操作の必要性をなくし、より簡単かつ正確に操作可能になることでドライビングエクスペリエンスが一新されるほか、低速域での俊敏性や高速走行時の安定性も向上するとされています。
また、ブレーキバイワイヤも搭載されるといいます。
※ ※ ※
エレクトリファイドスポーツは全固体電池の搭載を視野に入れており、一回の充電で700kmの走行が可能となるほか、0-100km/h加速は2秒程度を想定。LFAの3.6秒を上回る加速性能を備えるとことになりそうです。
市販車がいつ登場するか公表されませんでしたが、渡辺氏は「これはデザインコンセプトではなく、現実のものとなります」と明言。レクサスは、BEVスポーツカーにおいて操る楽しさを感じられるMT車を実現しようとしているようです。
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