BMWとの協業で誕生したトヨタスープラ。しかし、その一方で、トヨタはマツダとの協業で次期クラウンやマークX後継FRセダンにマツダが開発したFRプラットフォーム、直6を搭載するという情報が入ってきている。
こうした状況のなか、スープラ開発で生まれたBMWとの蜜月関係は微妙に暗雲が立ち込めているという。トヨタはBMWとの提携を解消するのか?
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それともスポーツモデルはBMWとの協業で継続して、セダン系はマツダとの協業で開発を進めていくのか? 今後のトヨタFR戦略の行方を追う!
文/ベストカー編集部
写真/ベストカー編集部
CGイラスト/ベストカー編集部
初出/ベストカー2020年2月20日号
【画像ギャラリー】大幅なパワーアップをはたした新型スープラRZの詳細写真
スープラ開発で蜜月のBMWとの関係が微妙に暗雲が立ち込めているという情報
トヨタとBMWの提携によって生まれたトヨタスープラ
プラットフォーム、パワートレインなどデザイン以外はスープラと共用するBMW Z4
2019年5月、トヨタがスープラを復活させた。この背景にはBMWとの協業があったことはトヨタからも公表されているので周知のことである。
このトヨタとBMWの関係性は、事実関係が明らかにされるまでは、「BMWが新型Z4を開発し、それに途中からトヨタが参画して、Z4とプラットフォームを共用する形で新型スープラの開発に漕ぎ着けた」と外部では考えられていた。
しかし事実は違っていた。
トヨタがBMWと接触した時点で、新型Z4の開発はスタートしてはいなかった。いや、それどころかトヨタ側は新型スープラ(となる)を開発するためにBMWとの協業をスタートさせたわけではなかった。
スープラの開発を指揮した多田哲哉チーフエンジニアは、一番最初、「なにもないところから、双方の話し合いというか、探り合いのなかからスポーツカーを新たに開発して行くことが企画として決まっていった」と言っていた。
BMWとしても、単独でZ4のようなスポーツモデルを開発することは難しい状況だったということだ。
たしかに事実として出来上がったスープラとZ4は基本となるシャシー、プラットフォーム、パワートレーンを共用している。
だが、特にプラットフォームは「どちらかのために開発された」ものではなく、BMWとトヨタがそれぞれ必要とする要件を出しあって、その中での最適値を求めていった結果のものなのだ。
エンジン、トランスミッションなど基本となるハード部分はBMWが開発、設計したものである。しかし、制御部分はトヨタがオリジナルに開発したものだ。BMW
Z4とは出力特性は明確に異なる。
「トヨタ側とBMWはまったく別々に開発を行っていました。BMW側からアレはダメだとか、ここはこうしろなどといった口出しなどはいっさいありません。もちろん、雑談程度に開発状況を相互に話すことはありましたが、お互いがお互いの開発に専念する体制でした」と多田CEは開発過程を説明する。
こうして出来上がったのが現在市販されているトヨタスープラであり、BMW Z4なのだ。多田CEは「スープラはバージョンアップしていくので楽しみにしてほしい」と明言している。
約48ps/約0.3kgmアップの改良版スープラRZを発表!
1000台限定で発表された北米仕様のA91エディション。3Lモデルをベースに開発された限定車
その言葉通り、トヨタは2020年2月13日、米国フロリダ州デイトナで、北米仕様のGRスープラRZ(3L、直6モデル)2021年モデルを発表した。
今回の改良では、エキゾーストマニホールドの構造変更や新ピストンの採用などにより、エンジンの圧縮比を変更。
最高出力を従来モデルの335hp(339.6ps)/5000~6500rpmから382hp(387.3ps)/5800~6500rpm(従来型比+14%)に向上させた。
最大トルクは365lb-ft(約494.9Nm、50.495kgm)/1600~4500rpmから368lb.ft.(約498.93Nm、50.894kgm)/1800~5000rpmに向上させた。
これは北米仕様の数値で約48ps/約0.3kgmアップしたということになるが、おそらく日本仕様でも同様の出力アップが図られるだろう。ちなみに現行スープラRZの日本仕様は340ps/51.0kgm。
これにより、0~60mph(約96km/h)加速は3.9秒と、従来モデルより0.2秒短縮している。
サテンブラックに塗られたリアルカーボンリアリップスポイラーや19インチのマッドブラックホイールを装着するA91エディション。搭載される3Lエンジンは約48ps/約0.3kgm向上した387.3ps/50.89kgmを発生する
またフロント部にブレースを追加してボディ剛性を強化するとともに、それに合わせてサスペンションを再チューニング。コーナリング中の安定性向上を図っている。
北米仕様2021年モデルの発表と同時に、これまで北米仕様にはラインナップされていなかった2Lモデル(255hp=258.5ps/295ib-ft=40.8kgm)と1000台限定のA91エディションも発表された。
A91エディションは3LのRZをベースにリアルカーボンのリアリップスポイラー、カーボン製のミラーキャップ、Cピラーのグラフィックス、19インチのマッドブラック鍛造ホイール+フロント255/35ZR19、リア275/35ZR19インチタイヤ、スープラのロゴが入ったブレンボ製のレッドキャリパーなどが装着されている。
さらにインテリアはブラックレザー&アルカンターラにブルーのステッチが入ったシートやドアトリムが装着されている。
ボディカラーはノクターナル(ブラック)とリフレクション(ブルー)の2つが用意され、リフレクションについてはA91エディション専用色。
レザーおよびアルカンターラのシートにブルーステッチが入るA91エディションのシート
さて、気になるのは改良を受けたスープラRZの日本仕様がどうなるかということ。日本仕様のスープラRZは2020年秋以降に発売されるとのこと。
アメリカでは秋にイヤーモデルが切り替わるため、2021年モデルとなる。尚、A91エディションの日本発売については未定。
このようにトヨタとBMWの関係性は良好なように感じる。しかし、必ずしもそうではない……、と懸念する声もトヨタ社内では囁かれている。
トヨタの開発現場に近い関係者は、
「スープラとZ4の開発では、最終的には相互理解に至ったと思いますが、BMWはドイツのトップクラスのメーカーとしてのプライドがあります。一部の開発陣からは、特にトヨタと組んでも得るものはない、という声も聞こえています。
一方トヨタ側でも、BMWはプライドばかりでまったくトヨタ側の言うことを聞こうとはしてくれないという、あきらめにも近い声を聞きます」と言う。
たしかにBMWとの協業が好調であれば、スープラ開発をきっかけに次なる企画が次々と立ち上がっても不思議はない。BMWの得意とするセダン系などは、トヨタとしても大きな知見を得ることになるはずだ。
北米仕様のスープラ2021年モデル。左から3.0プレミアム(アブソルートゼロというホワイトのボディカラー)、A91エディション(リフレクションと呼ばれるボディカラー)、2Lモデル(ニトロイエローというボディカラー)
トヨタが発表した北米仕様スープラの諸元表
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マツダが開発するFR、そして直6はどうなる?
次期クラウンはマツダとトヨタがタッグを組んで開発したFRプラットフォームと直6を搭載すると言われている (CGイラストはベストカーが製作したもの)
さらにマークXクラスの4ドアサルーンは、マツダが開発を進めるFRプラットフォーム、直6エンジンを共同開発して採用するとの情報があり、BMWとの関係との棲み分けが気になる (CGイラストはベストカーが製作したもの)
トヨタを軸とした提携関係はどんどんその幅を広げている。スバルとは資本提携を強化し、次期型86/BRZの共同開発の継続、さらにこれとは別の「最高に気持ちの良いAWDモデルの共同開発」も明確にしている。
またマツダとも資本提携を結んでおり、これがマツダが中長期計画の中で明言しているFRプラットフォームの開発、さらに直列6気筒ガソリン&ディーゼルエンジンの開発にもリンクする。
すでにお伝えしているように、スクープ班が掴んでいる情報では、FRプラットフォーム、直6エンジンともにマツダ単独での展開ではなく、トヨタとの共同開発があればこその開発資源投資なのだという。
マツダの年間グローバル販売規模は160万台程度だ。DセグメントFRサルーンを開発しても、マツダブランド単独で開発コストに見合った収益を上げることは難しい。
そこで提携しているトヨタとの連携だ。クラウンクラス、さらに生産を終了するマークXのポジションに新規投入するスポーツセダンなどに活かしていくことで新型プラットフォーム、パワートレーンを開発することの説明はつく。
このFRコンポーネンツを活用すれば、スープラに匹敵するスポーツモデルの開発も実現可能だ。
そうなるとBMWとの関係性はどうなっていくのか!? スポーツモデルはBMWとの協業で継続し、セダン系はマツダとの協業で開発を進めていくのか!?
正直、これでは効率が悪い。前出のトヨタ関係者の話から判断すれば、BMWとの関係性よりも、今後はマツダとの関係性を強化していくことになるのだろうか!?
一方で、クラウンクラスの基幹モデルだけに、トヨタオリジナルのTNGAプラットフォーム、V6、直4を主軸としたパワートレーンという線も否定はできない。
現行型でIS Fが復活する!
IS Fはレクサス初の「F」モデルとして先代型ISをベースに開発されたが、2013年のISフルモデルチェンジ以降、現行型では設定されず、4ドア「F」はGS Fに引き継がれていた。しかし、よりコンパクトな4ドア「F」を求める声も多く、現行型ISをベースにIS Fの再投入が決定、来年にもデビュー予定 (CGイラストはベストカーが製作したもの)
Fモデルらしく迫力のあるボディフォルムが特徴(CGイラストはベストカーが製作したもの)
と、スクープ班が情報を掴めば掴むほど混迷を強く感じるトヨタのFR戦略だが、さらに新たな情報としてレクサスIS F復活の情報をつかんだ。
現行型ISのデビューは2013年5月なので間もなく7年が経過する。2016年10月に大がかりなマイチェンを実施して現在に至る。
フルモデルチェンジの噂は絶えないが、今年2度目のビッグマイナーチェンジが予定されており、少なくとも今後3年以上フルモデルチェンジの計画はないことが判明した。
IS Fは前型ISのバリエーションとして初の「F」モデルとして登場したが、現行型には設定されず、セダンの「F」はひとつ大きなGSFに引き継がれた。
しかしISサイズの「F」モデルを求める声は大きく、マイチェンとは別に、新たにIS Fを投入するというのが最新の情報だ。
パワートレーンは他の「F」モデルと同じV8、4968ccNAで最高出力481ps、最大トルク54.6kgmを発揮。8速ATが組み合わされるというもの。この新型IS Fの投入により、GS Fがラインナップから消滅することになる。
今後もトヨタのFR戦略を引き続き追っていくので、新たな情報が入り次第お伝えしていくことにしよう。
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みんなのコメント
せいぜいにわかウケすることしか書けないくせに。
既視感半端なく、微妙に古臭くダサいんだよな