アストンマーティンは先週末、F1第21戦サンパウロGPで厳しい戦いを強いられ、ランス・ストロールとフェルナンド・アロンソの両ドライバーのマシンがほぼ制御不能な状態になるという、技術的な問題に苦しんだ。レース前のストロールのスピンから、アロンソが不安定で難しい走りをして14位となったことまで、雨の激しいレースはチームにとって試練となった。これらの原因は、チーム代表のマイク・クラックがレース後に明らかにしたように、最終的に不運な要因の組み合わせであったことが突き止められた。
ストロールのトラブルはレースが始まる前から始まっていた。フォーメーションラップの最中に、突然後輪がロックし、ストロールはウォールに激突した。その直後にグラベルでスタックしたことで、ストロールのレースは終了した。
バウンシングによるひどい痛みに苦しんだアロンソ「頑張ってくれたメカニック、母国の洪水被災者を思って走り切った」
アロンソにとっても、この日は同様に困難な1日だった。アロンソはチーム無線を通じて、マシンが激しいバウンシングあるいは“ポーパシング”を起こしたり、リヤがロックし続けたりすることに不満を述べ、あまりの不快感に諦めそうになったほどだった。完走しようと決意したアロンソは最後まで力を尽くしたが、アロンソとしては珍しく、苦しいペースでレースを終えた。
レース後のチームの調査結果について語ったクラックは、日曜午前の雨の予選セッション中に両ドライバーがクラッシュし、アストンマーティンがインテルラゴスで使用する予定だった鈴鹿仕様のフロアが損傷したことが、逆境の始まりになったと説明した。スペアパーツがなかったため、チームはハンガリーGPで初めて導入された古いフロアに戻さざるを得なかった。スプリントの週末のルールでは、チームは部品不足の場合、ペナルティを受けることなくこの変更を行うことが許可されているが、アストンマーティンはAMR24の機械的なセットアップを変更することはできなかった。
「日曜日のレース中、両ドライバーともドライブするのが非常に難しいマシンと戦っていたのは明らかだった」とクラックは語った。
「週末以降の分析では、このことを説明するいくつかの要因が明らかになった」
アストンマーティンが直面した技術的な課題は、フロア設計の計画外の変更が直接の原因だった。以前のフロアの空力プロファイルは異なっていたため、パルクフェルメで確定された機械的なセットアップとは適合していなかったのだ。その結果、マシンの空力バランスと機械的なセットアップが一致せずに非常に不安定になり、リヤが過度にロックしたり、バウンシングしたりする傾向があった。これは、悪天候によってすでに問題のあった、悪名高いインテルラゴスの凹凸のあるコースで特に問題となった。
「予選で両車が事故を起こしたため、トリプルヘッダー終了時の在庫状況により、多くの部品を異なる仕様に交換する必要があった」
「これはスプリントイベントの規則で許可されており、イベント前にFIAに不足分と交換オプションを申告する必要がある」
しかしこのレギュレーションにより、新しいフロアに合わせてサスペンションやその他のセットアップパラメータを調整するチームの能力も制限されることになり、事実上、マシンは不安定さを増した危険な状態となった。
「マシンの機械的なセットアップを変更することは許可されていない。つまり、マシンのセットアップをチェックしたり調整したりすることができず、空力的な動作とパフォーマンスに悪影響を及ぼしていた」
すでに厳しい状況が重なり、アストンマーティンの苦しい戦いはさらに深刻になった。
「危険なウエットコンディションに信じられないほど凹凸のある路面が加われば、両ドライバーにとって不利な状況だったことがわかるだろう」
「どちらのマシンもホイールロックの影響を受けやすかった。ランスとフェルナンドの両方に問題を引き起こした原因がそれであることが、データからわかる」
アストンマーティンは、フロア開発について厳しいシーズンを過ごしてきた。当初オースティンでアップグレードを導入したが、期待通りのパフォーマンス向上は得られなかった。チームはメキシコではよりよい結果が得られることを期待して鈴鹿のフロアに戻したが、ブラジルでのクラッシュにより、さらに古い構成に戻らざるを得なくなった。
現在、アストンマーティンは、今後のラスベガスとカタールでのレースに向けてブダペスト仕様のフロアに戻すことを検討している。そこではマシンの高速性能がふたたび試されることになる。
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