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“過激”がウレシい──新型アウディRS3試乗記

掲載 15
“過激”がウレシい──新型アウディRS3試乗記

アウディ「A3」の超高性能版である「RS3」にサトータケシがサーキットで試乗した。最新ホットハッチの魅力とは?

RS専用の内外装

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この夏にドイツ本国で発表されたアウディA3シリーズの最高性能版、アウディRS3がいよいよニッポン上陸。富士スピードウェイにて、セダン版に試乗する機会を得た。

“いかにもアウディらしいルックスに仕上げたな”というのが初対面の印象である。なにがアウディらしいかといえば、RS専用デザインの前後バンパーやオーバーフェンダーでスゴみを演出しつつ、ぎりぎりのところで抑えを効かせて上品さを保つバランス感覚だ。

「キャラミグリーン」という専用色は、ドイツ人が好む明るいグリーン。このアマガエルのような色が挿し色として使われるインテリアは、アウディA3と基本的にはおなじレイアウトで、スイッチ類がタッチスクリーンに取って代わったことからすっきりとした眺めになっている。

レザーのスポーツシートの掛け心地は抜群で、拘束されている窮屈な感じはないのに、すっぽり包まれているという安心感がある。試乗中、高速コーナーで高い横Gがかかったときに、安心感に絶大なる信頼感がくわわった。

今や希少な直列5気筒

エンジンを始動すると、アイドリングで重低音の効いたエグゾーストノートが響く。アウディRS3が搭載するのは、いまや希少になった直列5気筒ターボエンジンなのだ。

直列4気筒エンジンより効率的にパワーアップできる直5エンジンは、クワトロ(アウディ独自の4駆システム)とともに1980年代のWRC(世界ラリー選手権)を席巻したこのブランドの2枚看板。“技術による前進”を標榜するアウディを象徴するテクノロジーのひとつだ。

ただしエンジンのダウンサイジング化に伴い、5気筒を積むのはこのRS3と「TT RS」の2モデルだけになった。アウディやラリーのファンだけでなく、クルマ好きだったらボンネットの下に収まったこの直5のありがたみがおわかりいただけるだろう。心の中で両手をあわせてから、アクセルペダルを踏み込む。

ピットレーンをゆっくり加速すると、低回転域からトルキーで、回転マナーも洗練されていることがわかる。500Nmというぶっといトルクを2250rpmから発生するから、発進加速は余裕の左うちわだ。

ところが、ピットレーンから本線に入ってアクセルペダルを踏みつけると、事態は一変する。独特のビートを刻みながら5気筒エンジンがソリッドに回転を上げ、硬質なエグゾーストノートが車内に満ちる。

踏んだ瞬間にバチンと跳ね返ってくる4気筒とも違う、シュンとスムーズにまわる6気筒とも違う5気筒のフィーリングは、どこかメタリックで、機械っぽい。

3500rpmを超えるあたりからメカメカしい傾向に拍車がかかり、排気音もただ甲高くなるだけでなく、金属質のズシンとくる音が通奏低音のように鳴っている。イタリアのスポーツカーのフォーンという華やかな音がオーケストラだとすれば、アウディRS3の音はジャーマン・ロックだ。

スポーツ濃度が高いクルマ

エンジンのプレゼンスに目を奪われがちになるけれど、富士スピードウェイ後半のテクニカルなパートでは、すばらしくよく曲がることがわかる。手のひらに吸い付くようなスウェードのハンドルを切ると、待ってましたとばかりにインを向く。

クルマの教科書には、後輪をプッシュする4駆はコーナーで外側にふくらみがち、つまりアンダーステアが出ると書いてある。けれどもアウディは、後輪の左右のトルク配分を可変にするという技術で、この常識を覆したのだ。

ただし操っているドライバーは、“外輪の駆動力を増幅して曲がりやすくしている”なんていう複雑な仕組みが作動しているなんてことは微塵も感じない。思いのまま、自然に動くクルマとの一体感をひたすら味わえる。RS3は鋭利なナイフのようにコーナーを切り刻む。

この日は、RS3のほかに「R8」、「RS e-tron GT」といったさまざまなRSモデルも用意されていた。いずれもアウディのモータースポーツ活動を統括するとともに、そこで得た知見を注ぎ込んで特別なモデルを開発するクワトロ社が手掛けたモデル。いわば、アウディのスポーティネスを煮詰めて濾過した、蒸留酒のようにスポーツ濃度が高いクルマたちだ。

こうした“兄さん”たちと比べても、RS3の魅力は色褪せなかった。むしろ、エンジンパワーを余さず使い切る清々しさや、思い通りに振り回せるサイズ感など、こっちのほうがいいじゃん、と思える点も多数ある。

サイズやエンジンパワーを小さくしたのではなく、ぎゅぎゅっと凝縮して濃度を高めた、という印象だ。

そしてRSモデルを何台か乗り比べてみると、パワートレーンもサイズも異なるけれど、共通していることも見えてきた。それは、理詰めのクルマづくりを突き詰めていくと、そこに独自の官能性が生まれるということだ。究極の数式が数学者を感動させるように、青い炎のほうが高温であるように、アウディのRSはクールにエモい。

唯一無二の存在だ。

文・サトータケシ

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みんなのコメント

15件
  • キチコメ・キモコメお断り。
  • > ドイツ人が好む明るいグリーン

    ウソつけ!
    コロナ前にはしょっちゅうドイツ出張してたが、こんなキモい色のクルマ見たことないよ!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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