運営元:旧車王
著者 :林哲也
私が所有するアウディ・初代TTは、2002(平成14)年製。オーナーであるライター・林も2002年生まれ。
すなわち、私と初代TTの関係性は“同い年”であるといえます。
今回のテーマは、「同い年の愛車のすゝめ」。ちょっとだけ愛車語りをしながら、私と初代TTの関係性についてご紹介したいと思います。
セルフ・オーナーインタビューみたいな感じで少し照れ臭さもありますが、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
■私と初代TTの年式的な結びつき私が所有する初代TTは、FF(前輪駆動方式)に5MTを組み合わせた「1.8T」というグレードです。
発売当初の初代TTは、四輪駆動の「1.8Tクワトロ(6MT・225馬力)」のみのグレード展開。
「1.8T(5MT・180馬力)」は2001年1月に追加された、所謂廉価版のモデルでした。
MTを組み合わせた「1.8T」の日本における発売期間は比較的短く、2002年11月には、6速トルコンATモデルの登場に伴いカタログから姿を消しました。
私の初代TT 1.8Tも、先述の2年弱の発売期間の間に生産されました。
記録によれば、初年度登録は2002年7月。シートベルトの生産は2002年4月だったので、4月か5月あたりに生産されたと推測されます。
初夏にかけて、日本に上陸したのでしょう。
シートベルトの付け根にはベルトの生産年月が書いてあります。
クルマが生産された年月を簡単に推測できる手段のひとつです。
初代TTのシートベルトには「MADE IN HUNGARY」との記載も。
そうそう、アウディTTってドイツではなくハンガリーで作られているんですよね。
ハンガリー北西部にあるジュール(Győr)という工場で生産されています。
初代TTを手に入れてからしばらくは、てっきりドイツのインゴルシュタットで生産されたと思い込んでいました。
ハンガリー製と知って衝撃を受けた記憶があります。
…話を戻しましょう。
私の初代TTは2002年の春に生産されたわけですが、オーナーである私は2002年3月に生まれました。
所謂「2001年生まれの代の早生まれ」なので、初代TTとの関係性は、正確には「学年違いの同い年」ということになるでしょう。
私が愛車を手に入れた際の決め手は、年式とボディカラー(ステッペングラス・パールエフェクトというきれいな緑色)の2点でした。
私にとって「愛車が同い年であること」は、愛車との関係性を築くうえで最も大切な要素のひとつであるといっても過言ではありません。
■ネオ・ネオクラシックとの豊かな暮らし私の愛車、2002年式初代TTは、昨年度に晴れて(?)20年落ちになりました。
現在は「旧車」のオーナーとして旧車王ヒストリアの記事を執筆しているわけですが、当のオーナーはあまり初代TTのことを「古いクルマ」と認識していない気がします。
旧車王では「新車から10年以上経過したクルマ」を旧車と定義しているようなので、私(と私の周囲の友人たち)の感覚が異常なだけなのかもしれませんが…。
傍から見たら十分古いのでしょう。
初代TTは21世紀のクルマ。
まだまだ元気に走るし、消耗品の交換などの事前整備さえ怠らなければ、道端で三角表示板を広げてレッカーを待つ機会はそう多くないはずです。
ちなみに私の場合、自身が金欠大学生であるが故に、冷却系の消耗品が限界を迎えてしまい、ロードサービスのお世話になったことがあります(2年弱の所有期間の中でたった2回です)。
少し話が脱線してしまいました。
私は、初代TTは“ネオ・ネオクラシック”なクルマであると認識しています。
1990年代後半から2000年代前半にかけて、曲線を効果的に用いた、従来とはまったく異なるデザインを纏ったクルマが急増しました。
国産車ではトヨタ・WiLL Viやホンダ・初代インサイト、輸入車では初代TTやルノー・アヴァンタイムなどをはじめとした、エキセントリックなデザインのクルマたち。
大きくラウンドした面構成は、従来の角ばった(所謂“ネオクラシック”なクルマの)自動車デザインとは大きく異なるものだったといえるでしょう。
21世紀の到来を目前にして数多く誕生した未来感に溢れたクルマは、20年余りが経った現在においても、未だにアヴァンギャルドだと感じます。
この1980年代~1990年代のクルマ(現在のネオクラシックカー)の「定石」からの脱出を図った2000年前後のクルマ、これらを“ネオ・ネオクラシックカー”と私は捉えています。 前置きが長くなりましたが、私と“ネオ・ネオクラシック”との暮らしはとても豊かで、刺激に満ちたものです。
私にとって初代TTの“ネオ・ネオクラシック”なデザインやテクノロジーは決して「懐かしい」と感じるようなものではなく、すべてが新しい発見の連続なのです。
それもそのはず、私にとって初代TTとは、まさに産声を上げた瞬間に発売されていたクルマです。
当然、私の幼少期の記憶の中に、当時のアウディ・ディーラーに並ぶ初代TTの姿はありません。
物心がついた幼少期には、今でいう“ネオ・ネオクラシック”なクルマは数年落ちで、新規性に乏しいクルマだと捉えられていたことでしょう。
20歳になって、自身が生まれた時のことをさまざまな資料を通じて辿ってみると、幼少期に当然のように接していた自動車デザイン・自動車テクノロジーが、実は非常に新規性と先進性に富んだ、挑戦的なものであったことに気が付きました。
インターネットで当時のブログ記事を漁ってみたり、古書店で当時のカーグラフィックやTipoを探してしてみたり、オークションアプリで当時の新車カタログを落札して情報収集をしてみたりするうちに、自身の「クルマ好きの原点ともいえる幼少期の記憶」の解像度がどんどん上がってくるのです。
このような知的好奇心が満たされるような「オタ活(=オタク的活動)」に出会ったことは、私の今後のモビリティライフに大きな影響を与えたといえるでしょう。
自身と歳が近いクルマに惹かれ、いざ初代TTを所有してみて2年弱が経過した今でさえも、さまざまな「気付き」の連続です。
1/1のプラモデルを前にして、自身の最古の記憶と、自身が知り得ない古の情報を辿りながら、愛車の隅々に投影された設計思想を紐解くオーナー体験、なんとも贅沢で刺激的なものだなァと思っています。
さまざまな地にドライブに赴き、幾度も洗車を重ね、基礎的な日常整備を繰り返す日々の営みのなかで、愛車のことをより深く知り、愛車と自身が生まれた時代背景をも理解するモビリティライフ。
成人してから再会した幼馴染と接するような、懐かしくてストーリー性のある暮らしは、同い年のクルマと接する醍醐味でしょう。私の“ネオ・ネオクラシック”、最高の相棒です。
■自身の成長と愛車のエイジングを共に楽しむ生活の在り方私は21歳の大学生。世間的に見たら(特に自動車メディアの世界においては)、まだまだ「若い」と捉えられて当たり前ともいえる年齢です。
けれども私と同様に、製造されてから21年“しか”経過していない私の初代TTは、すでに「旧車」として扱われ、「古いクルマ乗ってるね!」といわれることも少なくありません。
なんだか不思議ですが、20歳の猫が「長寿」といわれるのと同じような感覚だと思っています。
ちなみに、20歳の猫は人間年齢で96歳らしいです。
クルマが使われる期間の平均年数はたったの13年(!)とのことなので、私の初代TTはご長寿さんということなのでしょう。
いつも酷使してゴメンネ、高齢なのに。
私のはじめての愛車であり、最高の相棒でもある、同い年の初代TT。
これからずっと、私が墓に入るまで所有していたいと願ってやまないのですが、クルマと人間では平均寿命があまりにも違います。
イレギュラーが発生しない限り、私よりも先に初代TTがお釈迦になるということは、誰から見ても明らかでしょう。
けれども、クルマはあくまでも人間が造り出した工業製品です。
すなわち、生殺与奪の権は人間にあるのです。
クルマの寿命は人間がコントロールすることができる、ということですね。
現に、幾度にも及ぶ移植手術を受け、今もなお公道を走り続けるヒストリックカーはこの世に何台も存在しています。
しかしながら、オーナーの財布の中身が尽きた場合や、移植するドナーが見つからない場合、愛車を健康な状態で保つのは非常に困難になるでしょう。
放置車両となって「寝たきり」になってしまうことは、私としては何としても避けたい。
そのためには、現在付いている部品を温存するのが最大の近道だと考えています。
オイル管理をしっかりとして、早め早めに整備工場に足を運び、愛車の弱点を知り、今後の治療(整備)計画をしっかりと立てることが、今の私にできる最大の延命術だと考えています。
そして、財布の中身を温存しておくこともとっても大事。
些細なリフレッシュに気を取られて、突然の大規模故障に対応できなくなってしまったら元も子もありません。
そのためには、意外にも「細かいことは気にしないスキル」が重要だと私は信じています。
私の初代TTも、細かいところを見たら随所に“オンボロ”が垣間見えます。
ドット欠けが著しいデンターディスプレイに、動きが怪しい燃料メーター。
外気温計もおかしな温度を指しています。もちろん、これらはすべて正常に作動するに越したことはありません。
けれども、今の私にとっては、初代TTに末永く乗るために、程々に貯蓄をしながら必要な箇所をリフレッシュしていくことが求められているのです。
私も、20歳を超えてから脂っこい食べ物が苦手になってきました。
今までよりも肺活量も落ちていて、息を切らして電車に駆け込むことが増えました。
人間もクルマも、歳をとったら少しずつ劣化していくものなのですね。
愛車にも完璧を求めることなく、程々に適当に、都合の悪いところは見て見ぬふりをしながら、一緒に老いていきたいなァなんて思っています。
同い年の愛車とともに過ごす毎日、なかなか良いモノですよ。オススメです。
[画像/Adobe Stock、TOYOTA、HONDA、RENAULT・撮影/ライター 林 哲也]
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