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ラインナップの揃ったメルセデスSUVをまとめてみた(前編)

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ラインナップの揃ったメルセデスSUVをまとめてみた(前編)

コンパクトモデルのGLAとGLBの登場で、1つの完成をみたメルセデスのSUVラインナップ。ルーツとも言えるGクラスも人気の「メルセデスSUV」を、改めて総括してみよう。前編では、同じFFプラットフォームを用いつつも個性の異なる、コンパクト2モデルを取り上げる。

© Daimler AG筆頭はGクラス。1つの完成をみたラインナップ

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今年6月、新型GLA、そしてGLBが発表され、メルセデスのSUVのラインアップは1つの完成をみた。欧米に比べてSUV比率の低かった日本市場でもメルセデスの販売台数においてSUVの占める割合がおそらく3割に迫るとみられる。このタイミングであらためてメルセデスSUVというものを総括してみる。

そもそもメルセデスがSUVに着手したのは、1998年に発売したMクラス(現在のGLE)だった。主たるマーケットのアメリカでは、それまでトラックの荷台に屋根をつけたようなクロカン4WDが主流だったが、1980年代に入るとトラックベースではなく、乗用車と同じモノコックベースのSUVが登場する。それは悪路走破性よりも、オンロードでの快適性を重視したモデルへの需要の高まりを受けてのものだった。そうした動向にいち早く着目したメルセデスは、初の国外工場をアメリカに建設し、Mクラスの現地生産を開始。当初は品質面で苦労しながらも、それがメルセデスSUVヒストリーの始まりだった。

一方でメルセデスSUVのルーツといえば、Gクラスだ。こちらは最新モデルも乗用車ベースのモノコックではなく、ハシゴ型の強固なラダーフレームを採用しているいわゆるクロカンタイプだ。1979年に誕生したドイツ語でオフロードカーを意味する軍用車両“ゲレンデヴァーゲン”を民生転用する際、その頭文字をとって“Gクラス”と名付けられた。

実は2000年代前半、ハードなクロカンモデルの需要低下とともにGクラスの生産終了が検討されていた。その代替モデルとして2006年に登場したのがGLクラス(現在のGLS)だった。ところが日本をはじめアメリカなどでも、クロカン性能を求めてではなく、四角くて無骨なスタイリングを好み、ファッションアイテムの1つとして街乗りで使う需要が高まっていた。メルセデスは生産継続を決定。そして人気が再燃したGクラスは2018年に、フルモデルチェンジにも匹敵する改良を行い、ラダーフレームを採用しながらも弱点だった乗り心地を大幅に改善している。現在、日本でも納車待ちに長蛇の列が出来ている。

現在のラインナップは、Gクラスを筆頭にそのDNAを受け継ぎ、すべてのSUVモデルが“GL”+クラスで車名を構成している。GLAにはじまり、新たにコンパクトながら7人乗りのGLBを加え、GLC、GLE、GLSと多彩なモデルを用意している。さらにGLCとGLEには派生のクーペモデルを加え、すべてにハイパフォーマンスなAMGモデルが設定されている。また昨年国内でも電気自動車のSUV 、EQCがデビュー。そしてGLSをベースとした最上級モデルのメルセデス マイバッハ GLSというモデルも発表されている(国内導入は未定)。

© Mercedes-Benz AG2つの個性、FFプラットフォームのエントリーモデル

メルセデスSUVのエントリーモデルがGLAだ。初代はハッチバックのAクラスをそのまま背を高くしたようなクロスオーバーモデルだったが、2代目でもプラットフォーム(MFAII)はAクラスと共通ではあるものの、まったく別物のSUVスタイルになった。スタイリングは前後のオーバーハングを切り詰め、Aピラーをねかせ、リアにむかってなだらかに下降していくルーフラインと、最近流行のSUVクーペのようだ。

日本仕様のGLAのパワートレインは、2リッター4気筒ターボディーゼルに8速DCT、フルタイム4WDを組み合わせた「GLA 200d 4MATIC」をはじめ、先日、「GLA 35 4MATIC」そして「GLA 45 S 4MATIC+」という2種類のAMGモデルが追加された。GLA 200dのトルクゆたかなエンジンにも不満はないが、スタイリングと走行性能の両立という点でみれば、「GLA 35 4MATIC」という選択がグッドバランスかもしれない。

yoshitoyanagida一方でGLAと同じプラットフォームを用いながら、GLA比で、全長を210mm、ホイールベースを100mm伸ばし、全高を95mmあげて、広い室内空間を確保し、3列シート7人乗り仕様を実現したのがGLBだ。実は日本仕様では声高にアナウンスされてはいないが、本国では3列目シートは身長168cm以下の人が座ることを推奨している。身長178cmの男性でも少し無理をすれば座れなくはないのだけれど、これはスペースの問題だけではなく、衝突安全性を考慮しての推奨値というのがなんともメルセデスらしい。

エクステリアデザインは、クーペライクなGLAに対して、SUVらしく全体的にスクエアなフォルムになっている。ほぼ垂直に切り立ったフロントグリルやテールゲートなどは、どこかGクラスを彷彿とさせるもので、ヘッドライトやリアライトなども専用のデザインが施されている。

© Daimler AGパワートレインは、2リッター4気筒ガソリンターボに8速DCT、そしてフルタイム4WDを組み合わせた「GLB 250 4MATICスポーツ」と、GLAと同じ2リッター4気筒ターボディーゼルに8速DCT、で前輪を駆動する「GLB 200d」という2種類。AMGモデルは本国には「GLB 35 4MATIC」が設定されているが、いまのところ日本は未導入だ。

同一のFFベースのプラットフォームを採用するGLAとGLBで悩む人が多いのではないかと思っていたが、実際は特にGLBは指名買いのユーザーが多いという。特にジャーマンプレミアムブランドでこのサイズの3列シート7人乗り仕様は、BMW2シリーズグランツアラーしかなかった。本国のメルセデスの商品企画担当はあえてミニバンタイプは避けて、いま人気のあるSUVタイプを選んだと話していたが、そういったニーズにぴったりとハマったようだ。

後編ではFR車用プラットフォームを採用するCクラス、Eクラス、SクラスベースのGLC、GLE、GLSを検証してみる。

文・藤野太一 写真・柳田由人、メルセデス・ベンツ日本 編集・iconic

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