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【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル

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【ホンダ新型フリードに試乗】 設計思想に見える優しさも 異例のロングセラーを続けるモデル

最近では異例のロングセラー

現行のホンダ・フリードが発売されたのは2016年。つまり今年で8年目を迎える。5ナンバーサイズ、1.5Lクラスのミニバンという、数を売る車種としては、最近では異例のロングセラーだ。

【画像】ホンダ新型フリード「市販予定車」へ試乗の様子をみる 全78枚

理由のひとつに、モデル末期になっても売れ続けていたことがあるのは明らかだろう。2023年の登録車の年間台数でもベスト10に入っていた。

ではそんな売れ筋を、なぜモデルチェンジすることになったのか。栃木県のテストコースでプロトタイプ(市販予定車)を取材して、パワートレイン、デザイン、キャラクターの3点が大きく変わったと感じた。

パワートレインはハイブリッドが、フィットやヴェゼルにも搭載されている、1.5L直列4気筒エンジンに発電用と走行用の2つのモーターを結合させ、低速ではモーター、高速ではエンジン主体で走るe:HEVに切り替わった。

シビックやステップワゴンなどには、同じe:HEVの2L版が積まれているので、国内向けのホンダのハイブリッド車ではフリードだけが、7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)を用いた方式だった。なので変更は予想できたことだ。

最高出力と最大トルクは、エンジンが106ps/13kg-m、モーターが123ps/25.8kg-mで、フィットと同じだ。

やはり1.5L直列4気筒のガソリン車は、直噴方式からポート噴射方式になった。これも現行フィットやヴェゼルと同じ流れだ。118ps/14.5kg-mという数字もフィットやヴェゼルと一致する。CVTはヴェゼルと同じギア比だという。

時代に逆行しているようにも思えるポート噴射への変更は、フリードのキャラクターを考えれば高性能は必要とされず、逆に直噴独特の音を抑え、コストダウンにも寄与するなどの理由を挙げていた。

シンプルでスマートなフォルム

すでに公開されていたデザインは、フィットやステップワゴンに似た、シンプルでスマートなフォルムに感心した。

人気車種だったのでデザインの一新は悩んだと思うが、一新したパワートレインに合わせて見た目でも新しさをアピールしたという。

シートでは特に3列目に気を配ったとのこと。大人も座れるイスでありながら、現行型より小さく軽く仕上げており、これなら楽に格納できると思った。

3つ目として挙げたキャラクターは、ステップワゴン同様エアーと呼ぶことになった標準ボディと、現行型の途中で加わったクロスターのコントラストが明確になった。新型クロスターはフェンダーアーチも追加しており、全幅が25mm広がって3ナンバーになる。インテリアではシートのオレンジステッチが効果的だ。

乗車定員はエアーが3列シートの6人乗りと7人乗り、クロスターは2列の5人乗りと3列の6人乗りが用意される。

車いす仕様車と助手席リフトアップシート仕様車は、福祉車両のハードルを下げたいという気持ちからクロスターがベースになり、前者はレジャー用途にも使ってもらおうという気持ちから、スロープというグレード名になった。

プラットフォームは現行型から引き継いだ。変えないことで熟成にかけられるパワーを増やすことができたとのこと。2740mmのホイールベースはそのままだが、全長はパワーユニット一新のため45mm伸びて4310mmになった。全高は1755mmだ。

タイヤサイズは現行型と共通。フリードのユーザーは子育て世代が多く、クルマに使えるお金に限りがあるうえに、スタッドレスタイヤが必要な地域も多く、新型に乗り換えてもホイールが使えるようにしたという、優しい言葉が返ってきた。

走りの違いを提示するホンダらしさ

では走りはどうか。取材会では現行型のハイブリッド、新型エアーのハイブリッド、新型クロスターのガソリン車という順で乗った。

現行型のハイブリッドシステムはDCTを使っているためもあって、変速しながらの加速が小気味よく、減速したいときに選ぶSレンジはギアを落として回転を上げるという仕掛けなのでスポーティではあるが、耳障りに感じることもあった。

それに比べると新型は、低中速では基本的にモーターで走るので、圧倒的に静か。変速がないのでシームレスでもある。とりわけ減速時に使うBレンジは、エンジンは回さず、回生ブレーキを強める方式となったようで、静かさが際立っていた。

フリクションロスや剛性バランスに気を配ったというプラットフォームは、明確な違いを感じた。乗り心地は荒さがなくしっとりしているのに、操舵に対する反応はカチっとしていて、操る楽しさが感じられる。

当日は雨模様だったが、現行型ではトラクションが抜けがちだった上りコーナー立ち上がりも、しっかり接地して加速していった。

最後に乗ったクロスターのガソリン車は、軽やかなエンジンサウンドが印象的。ホンダらしさを重視するなら、こちらもありだと思った。

車両重量はハイブリッド車より約100kg軽いそうで、乗り心地は路面の感触をはっきり伝えるようになり、コーナーでは軽快感が目立つ。ただし水たまりでの安定感は、ハイブリッド車のほうが上だった。

ガソリン車とハイブリッド車の走り味をそろえてくるクルマは多い。しかし新型フリードでは、重量差をあえてキャラクターの違いとして表現したとのこと。

実用性重視のコンパクトなミニバンで、走りの違いを提示してくるのはホンダらしいと思った。

判明している新型フリードのスペック

全長×全幅×全高:4310×1695(1725)×1755mm(値はクロスター)
駆動方式:FF/4WD
使用燃料:ガソリン
タイヤサイズ:185/65R15(フロント)185/65R15(リア)

・ハイブリッド
エンジン最高出力/最大トルク:106ps/13kg-m
モーター:123ps/25.8kg-m

・ガソリン
エンジン最高出力/最大トルク:118ps/14.5kg-m

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みんなのコメント

6件
  • sky********
    真横からみると、デカくなったなー感
    じわじわデカくなって、初代ステップワゴン4600とご先祖様モビリオ4000の中間まで来てたか。
  • ike********
    i -DCDはリコール連発のうえ、外注したためにホンダがいくら言っても改善が進まず、そして最後にいろは坂でやらかした問題HVシステム。早くやめたかったんでしょう。
    ほぼ国内だけで海外向けには採用しなかったのがギリセーフだった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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