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ロータリーエンジンいつ復活? 唯一量産に成功したマツダがREをやめた理由

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ロータリーエンジンいつ復活? 唯一量産に成功したマツダがREをやめた理由

■マツダのロータリーエンジン搭載車は2012年以降途絶えたまま

 1967年に、当時の東洋工業(現マツダ)は世界初の量産ロータリーエンジンを搭載した「コスモスポーツ」を発売しました。その後、さまざまなマツダ車にロータリーエンジン(RE)が搭載されましたが、2019年現在の市販車には搭載されていません。

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 なぜ、マツダのロータリーエンジン搭載車は姿を消してしまったのでしょうか。

 ロータリーエンジンとは、ハウジング内でローター(回転子)を回して動力を得る内燃機関です。ロータリーエンジンはコンパクトで、従来のエンジンに比べて70%ほどのサイズといわれています。サイズは小さくても高出力を出すことができ、部品点数も少ないなどスポーツカーなどには最適なエンジンでした。

 マツダのロータリーエンジン車は、前述のコスモスポーツを販売したのち、「ファミリア」や「サバンナ」、「カペラ」といったコンパクトサイズからミドルサイズまでのクルマに設定。また、マイクロバスや海外向けのピックアップトラックにもロータリーエンジン搭載車が存在していました。

 その後、1973年の第1次オイルショックを機に、世の中は「環境性能」を意識するようになります。そうすると、ロータリーエンジンの燃焼室形状が原因とされる不完全燃焼による燃費の悪さや、エンジンオイルを燃焼することによる排出ガス対策の難しさなどが広まり、急速に商品力を失っていきます。
 
 しかしマツダは、ロータリーエンジン搭載車の開発を辞めることはせず、満を持して1978年3月に発売したのが、「サバンナRX-7(SA22C型)」です。このモデルは、ロータリーエンジンをフロントミッドシップに搭載した2+2座のクーペスタイルが特徴のピュアスポーツでした。後に、ターボ仕様なども追加され日本を始め北米でも人気のモデルとなります。

 その後、RX-7はFC型、FD型に引き継がれ、唯一ロータリーエンジンを積んだピュアスポーツモデルとして市場に残り続けます。

 RX-7(FD型)に搭載されたロータリーエンジンは、最終的に最高出力280馬力/最大トルク32.0kgmを発揮するほどになりましたが、当時はすでに日本および北米でのスポーツカー需要の低迷や、ターボ過給ロータリーエンジンの環境対応の難しさなどで、2002年8月にRX-7の歴史は幕を閉じます。

 その翌年、2003年3月には次世代ロータリーエンジンを搭載した「RX-8」が登場します。搭載エンジンの型式はFD型に搭載した13B型と同じですが、ポートやハウジングを含め、ほとんど新設計となる自然吸気型13B-MSP型エンジンを搭載し、最高出力250馬力、最大トルク22.0kgmを発生させていました。

 過去3世代のRX-7の後部座席は、「ワンマイルシート」と揶揄されるような補助席的なもので、乗員の長距離移動には不向きでしたが、RX-8はメインマーケットである北米を睨んだ当時の親会社フォードの意向で、大人4人が乗れるパッケージが求められました。

 しかし、4ドアにすると車体が大きくなり重量も増し、ロータリースポーツの旨味である「軽快さ」を失ってしまいますが、前後ドアに「フリースタイルドア」と呼称した観音開き構造を採用することで対策しています

 そして、2010年5月、遂にRX-8も欧州排ガス規制ユーロ5に適合できずに、欧州での販売終了を決定。日本とアメリカでの販売は継続されましたが、環境対応の難しさから2012年をもって「RX-8」を生産終了。その後、マツダのロータリーエンジン搭載車は途絶えたままです。

■ロータリーエンジンの復活はあるのか?

 2015年11月に開催された「東京モーターショー」に、ロータリーエンジン(SKYACTIV-R)搭載のスポーツカーのコンセプトモデル「RX-VISION」がマツダブースに展示されました。

 発表された情報には、全長4389mm×全幅1925mm×1160mm、ホイールベースは2700mmと記載されており、現実的なサイズ感のコンセプトモデルでした。

 モーターショーのプレスカンファレンスで、当時のマツダ社長 小飼雅道氏は、「マツダはロータリーエンジンの研究・開発を継続しています。『SKYACTIV-R』というエンジンの名称については、SKYACTIV技術の開発時と同様に、『常識を打破する志と最新技術をもって課題解決に取り組む』という意味が込められています」と、マツダがロータリーエンジンを放棄していないという決意を述べています。

 日本のスポーツカーを代表する1台となったピュアスポーツ「RX-7」が、SKYACTIV技術を得てようやく復活となるのかと期待が高まるなか、2016年3月にマツダはロータリーエンジンに関する特許を出願しました。

 その出願内容には、ロータリーエンジンの水素燃料に関する特許が含まれています。これは排ガス規制をクリアするために水素ロータリーエンジンの研究・開発が進められていたものです。

 また、2018年のマツダ技術説明会では、レンジエクステンダー用の発電エンジンとしての活用も示唆されました。同説明会において、代表取締役社長兼CEOの丸本明氏は「ロータリーエンジンを発電システムとして使用し、『いつでも行きたいところに、自由にい行ける』というクルマの持つ価値を、EVにおいても実現してまいります。」と述べています。

 さらに補足する形で、代表取締役副社長の藤原清志氏は「ロータリーレンジエクステンダーユニットをベースにして、ジェネレーターやバッテリー、燃料タンクの組み合わせを変えることで、プラグインハイブリッド、シリーズハイブリッドなどを共通の車両パッケージで提供、つまり、『マルチxEV』の提供が可能となります」とコメントしました。

※ ※ ※

 純粋なEVでは、充電インフラや航続距離などに不安を残している現状ですが、マツダとトヨタの協業から、水素を燃料とするロータリーエンジンを使ったシリーズハイブリッド車、プラグインハイブリッド、レンジエクステンダーなど多様な電動車が生まれる可能性は十分に考えられます。

 ロータリーエンジンレンジエクステンダーの市場投入時期について2020年以降ともいわれていますが、RX-VISIONにロータリーエンジンが搭載されて発売される日もそう遠くないかもしれません。

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