少し時代を先取りしすぎた、当時の流行に乗り切れなかったなど、短命に終わってしまう迷車は少なくない。しかし、時代が変わると迷車が名車として復活することもある。トヨタでも生まれてくる時代を少し間違ったクルマは多い。令和の今なら売れるのにと思うトヨタ車をピックアップしながら、当時の売れなかった理由と今ならどう売るかを考えていく。
文/佐々木亘、写真/TOYOTA
ブレイドをレクサスブランドで!? ラウムをルーミーの兄貴分に!? チョイ足しで再販すればヒットするかもなトヨタ車5選
■3ナンバーの多い今ならistも売れるかも!?
2007年に登場した2代目ist(NCP110・ZSP110型/全長3930×全幅1725×全高
1525mm)
売れ行きの良かった初代(NCP60型)からバトンを引き継ぎ、2007年に登場した2代目ist。
コンパクトSUVのテイストは初代から受け継ぎながらも、北米市場も意識した車作りとなり、ボディサイズは大きく拡幅した。
当時は5ナンバーサイズが当たり前だったコンパクトカー市場で、全長は4mを切るものの、全幅1725mmという3ナンバーサイズになったことが、ist失速の大きな理由であろう。
3ナンバー車が当たり前の今ならば、コンパクトで使い勝手のいいサイズであり、プチSUVテイストなデザインもウケそうだ。
内装は質感が高く、心臓部に1.5Lエンジンと1.8Lエンジンを備え、アクティブコントロール4WDを採用するなど、当時としても走りの性能に抜かりはない。
復活するならBEVの高級コンパクトとしてはどうだろう。トヨタの小さな高級車のポジションがistには似合う。
■5ナンバーハッチバック以上の広さを持つOpaはいかが
2000年に登場したOpa(全長4250×全幅1695×全高1525mm)
2000年に登場したOpaは、2700mmのロングホイールベースと前後オーバーハングを大きく切り詰めたデザインによって、室内長2025mmを確保する5ナンバーハッチバックとして登場した。
しかし当時は空前のミニバンの大ブーム期。室内の広さでミニバンに劣り、わずか1代限りで幕を下ろすことになる。
5ナンバーハッチバックながら驚きの居住性を持つOpaは、ステーションワゴンとして充分に使える存在。デザインにも、どこかフランス車的な雰囲気があり、今でも古さを感じないのが魅力の一つだ。
今ならカローラスポーツ以上カローラツーリング以下のポジションに入り、オールマイティなワゴンとして売り出せば、人気が出るだろう。
■もしヴォルツにガソリンMT仕様とHEVを加えたら売れるかも?
ヴォルツは、トヨタとGMが共同開発し、2002年に導入された(全長4365×全幅1775×全高1615mm)
トヨタとGMが共同開発したモデル。2002年に導入されるも、販売不振でわずか1年9カ月で終売となる。
王道のスポーツSUVで、内外装ともにデザインはいい。トランスミッションにはMTも用意するなど、走りへのこだわりも強かったが、流行りのデザインではなく、敬遠された節がある。
今ならデザインはそのままに、ガソリンMT仕様とHEVを加えて、C-HRの穴を埋める存在にもなりそうな予感。ヴォルツは登場する時代が20年早かった。
■ブレイド今でも根強いファンがいるので復活を
2006年に登場したブレイド。ショートプレミアムというトヨタの新ジャンルとして誕生した(全長 4260×全幅1760×全高1515mm)
2006年に登場した、ショートプレミアムというトヨタの新ジャンルに挑戦したブレイド。ターゲットはVWのゴルフであり、今でも根強いファンがいる。
しかし、同時期に発売されていたオーリスとフロアパンや内装の一部を共用し、独自のプレミアムに振り切れなかったのが敗因の一つ。オーリスとの姉妹関係が無ければ、プレミアムハッチとしての訴求力は高まっただろう。
CT200hがなき今、レクサスへブレイドのようなクルマを入れたら面白そうだ。HEVにこだわらず、当時のブレイドマスターのようにV6の3.5Lエンジンを搭載した「F」を冠するモデルであってもいい。
ブレイドは、ショートプレミアムをそのままに、レクサスでの復活が期待できるクルマの一つだ。
■ラウムはルーミーと並列販売したら売れるかも?
2003年にフルモデルチェンジし誕生した2代目ラウム(NCZ20型)。ユニバーサルデザインとしてこだわりすぎた点があった
2003年にフルモデルチェンジし、2011年まで販売が続けられたラウム。長期間販売されたクルマだが、2代目モデルは初代ほどのインパクトを残せなかった。
コンパクトカーながらも両側スライドドアを持ち、助手席側はセンターピラー内臓のパノラマオープンドアを採用する。ウォークスルーやリアシートがダブルフォールディングで倒せるなど、仕事にも充分使えそうな良いクルマだった。
しかし、ユニバーサルデザインにこだわりすぎて、クルマのデザインはイマイチな面もある。楕円形のステアリングなども反応はイマイチで、モデルチェンジ後は尻つぼみで幕引きとなった。
今ならルーミーと並列で販売し、ハイト過ぎないスライドドア搭載車を売りにしてはどうだろう。立体駐車場にも余裕で入り、使い勝手のいいラウムを、ルーミーより少し安く出せれば、人気は出るはずだ。
今回紹介したクルマたちは、いずれも2000年代の初頭に登場している。トヨタの短命車は、出てくる時期を15年から20年ほど間違えたクルマが多い。
ブームに乗れず失速したクルマが多いが、短命に終わらせるのはもったいないクルマばかりである。
過去の迷車(名車)たちが行ってきた挑戦が無駄ではなかったということを、新型車が証明してくれるはずだ。今後もトヨタのクルマ作りに期待したい。
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