最終目標は変わらず 進行ペースは調整が必要?
日産自動車は長期的な電動化目標を掲げているが、電気自動車(EV)に対する世界的な需要変動に対応するため、さまざまなパワートレインを「柔軟」に提供していく方針を示した。
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日産の内田誠CEOは5月7日、英フィナンシャル・タイムズ紙が主催するカンファレンス「フューチャー・オブ・ザ・カー2024」に登壇し、グローバルの業績と電動化の進捗状況について説明した。
日産は3月に新しい経営計画「The Arc」を発表したばかり。今後3年間で30車種の新型車を投入し、そのうち16車種を電動化することで、2026年までに電動車両の世界販売構成比を40%にするというものだ。
The Arcは不透明な市場環境に対応するための計画で、EVへの移行が遅れている市場でも足場を維持できると内田CEOは述べた。
「日産は常に、電動化はお客様の選択次第であるとお伝えしてきました」
「現在の(EV普及の)ペースが落ちていることは承知していますが、最終的な目標は同じです」
「ロードマップをいかに現状に柔軟に対応させ、前進させるかが鍵となります。それぞれの市場に合わせた電動化戦略を持たなければなりません。いかに柔軟に調整できるかが鍵になるでしょう」
「目標は変わりませんが、ロードマップのペースは柔軟に調整する必要があるかもしれません。お客様の需要に対して適切な製品を提供できるかどうかが問題であり、お客様の受容性と嗜好性を注意深くモニターする必要があります」
日産は最近、リーフの後継車となる新型EVと、アライアンス・パートナーであるルノーの新型5 Eテックをベースにしたマイクラ(日本のマーチに相当)の後継車の発売を予告している。
また内田CEOは、中国市場では新たなライバルと対峙し、現地のブランド認知を強化する必要があるとした。4月25日~5月4日の日程で開催された北京モーターショーでは複数のコンセプトモデルを公開しており、2026年までに5車種を発売する予定だ。
重要なのは、これらの新型車が(合弁パートナーである東風汽車と共同で) “中国で、中国のために” 開発され、中国市場の需要や嗜好に合わせてゼロから設計されるという点だ。
「かつては日本ですべてを設計し、それを米国、欧州、中国向けにアレンジするというのがグローバル企業の1つの形態としてありましたが、このスキームはもはや存在しないでしょう」
内田CEOは、中国で開発されたモデルがグローバル市場に輸出される可能性を否定せず、また日産の中国工場には現在「過剰生産能力」があることを認めた上で、主に中国を念頭に置いて開発されると強調した。
The Arc計画のもう1つの柱は、EVの生産コストを約30%削減し、競争力を高めることだ。
「コスト競争力を確保するためには、多様性の少ないプラットフォームで自動車を設計する必要があります」
内田CEOはまた、2028年に市販車へ導入予定の全固体電池についても触れ、同技術が「BEVの受容性という点で、将来のゲームチェンジャー」になる可能性があるとした。
「日産は、この技術を市場投入することに大きな自信を持っています」と述べ、今年中にパイロット工場を開設し、今後4年間で量産体制を整える計画を改めて表明した。
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参入しても悪貨は良貨を駆逐されるんだから