話題の軽EV「日産 サクラ」は本当に“実質100万円台”なのか？ 購入前に確認しておきたいことまとめ

5月に発表された「日産 サクラ」は、補助金を活用することで従来の軽自動車と同等の価格帯で購入することができるなど、EVが大きく普及するための強力な推進役となることが期待されているモデルです。ただ、実際にEVを購入するとなると、充電器の設置や補助金の申請など、これまでのクルマには必要なかったことも考えなければなりません。そこで今回は、サクラを購入する際に注意すべきポイントについてまとめてみました。

「実質100万円台！」と言われる日産 サクラ
これまでのEVは従来のガソリン車に比べて高価格であることが多く、誰もが手の届くようなものではありませんでした。しかし、サクラとその兄弟車である「三菱 eKクロス EV」が登場したことで、そうしたイメージが一新されるかもしれません。

サクラは、一見すると一般的な軽自動車のようなスタイリングをもっています。実際、車両の寸法は一般的な軽自動車とほぼ同じであり、EVという印象は受けません。

そんなサクラには「S」、「X」、「G」という3つのグレードが用意されています。いずれも搭載されるバッテリーやモーターは同じであるため、グレードごとに航続距離や運動性能の差はなく、装備面での違いが中心となっています。

車両価格は「S」が233万3100円、「X」が239万9100円、そして「G」が294万300円となっており、「G」」が飛び抜けて高価であることがわかります。




一般的な軽自動車が150万円～200万円程度であることを考えると、割高感が否めないサクラですが、条件が揃えば最大100万円程度の補助金を得ることができるため、「実質100万円台」といったセールストークが販売現場では飛び交っているようです。

補助金総額100万円は東京都の話。予算の上限にも注意
しかし、注意しなければならないのは、サクラの車両価格はあくまで233万3100円～294万300円であり、補助金は“後から振り込まれる”ものであるという点です。つまり、現金一括で購入する場合には、補助金を考慮する前に金額を販売店のおさめ、その上で後日補助金が振り込まれるということになります。

補助金の申請自体は、販売店が代行してくれる場合がほとんどです。そのため、書類の記入方法などについてはそれほど心配する必要はありませんが、EVを購入すれば必ず補助金が得られるわけではありません。

まず、補助金には大きくわけて「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金（CEV補助金）」と各自治体による補助金があります。CEV補助金は、一般的には「国の補助金」と呼ばれるものです。

サクラの場合、CEV補助金は55万円、各自治体による補助金は、その自治体ごとに金額に差があり、最も金額が大きい東京都では45万円となります。

全国の自治体の中でも、東京都の補助額はトップクラスとなっています。基本的に、都市部ほど補助額が高い傾向がありますが、公式サイトなどで紹介されている補助額のほとんどが、「CEV補助金＋東京都の補助金」で計算されているため、都内在住でない場合には注意が必要です。

また、CEV補助金や各自治体の補助金には、予算による上限があります。もし年度の途中で予算上限を超えた場合には、補助を受けられない可能性もあるため、購入時の予算状況をしっかりと確認する必要があります。




補助金の“4年縛り”や、充電設備の費用にも注意
さらに、補助金の交付条件として、一定期間売却をしてはならないというものがあります。乗用車および軽自動車の場合は4年間と規定されており、この間に売却をしたり廃車にしたりしてしまうと、残りの期間に応じて補助金を返還しなければなりません。もちろん、不正に売却を行った場合は、全額返還することになります。

もし、自宅に充電設備がない場合には、設備工事を行う必要もあります。工事に掛かる費用は住宅の構造などによっても異なりますが、おおむね10万円程度は見ておいたほうが良さそうです。一部の自治体では、充電設備の設置に対して補助が出る場合もあるので、事前に調べておくと良いかもしれません。

オプション次第で350万円に。事前にしっかり見積りを
「実質100万円台」と言われるサクラですが、上級グレードの「G」（294万300円）をベースに、ボディカラーに有料色（7万7000円）を設定したり、駐車支援システムの「プロパイロットパーキング」（5万5000円）を装着したりすると、車両価格は310万円を超えることになります。また、充電ケーブル（5万5000円）も必要です。

その上で、ドライブレコーダーや、フロアマットやドアバイザー、コーティングなどのディーラーオプション、そして自宅への充電設備の設置などを含めると、サクラの乗り出し価格は350万円ほどになります。自動車税や自動車重量税は発生しないことを差し引いても、決して安い金額ではありません。

ここから、CEV補助金（55万円）や自治体からの補助金（東京都の場合45万円）が後日振り込まれることで実質250万円程度となりますが、条件がそろわなければ、かなり割高に感じるかもしれません。

サクラに限った話ではありませんが、EVの購入を検討する際には、上記のようなことに注意した上で、ファイナンスプランを考えるようにしましょう。




文：ピーコックブルー
写真：
1～5枚目：日産 サクラ
6～7枚目：三菱 eKクロス EV

Comments

全てが高めに設定しているように感じますね!
価格設定が補助金ありで作られているような…
補助金が無くなった途端に価格改定しそうですよね！

５５万円マイナスしてオプション付けなければれば２００万円を切る乗り出し価格にはなるんでしょうかね。そうなれば今回日産は噓をついていない。ただ、普通にオプション付けていくとほとんどの人が２００万円は超えるでしょうね。（東京都民を除いて）したがって、実質１００万円台というのは誇張しすぎだと思う。
それでも既存の軽自動車と比べて高いといってもこのくらいなら良いと思います。航続距離に心配ある人、自宅で充電できない人は買うべきじゃないですけど。
で、充電設備の整備を進めていく件についての嘘はいまだに説明してくれないんでしょうか日産さん。