■特殊な「日本の環境」でセッティングを実施
ヒョンデは2024年にスポーツブランド「N」を日本へ投入し、第一弾となるEVスポーツモデル「アイオニック5 N(IONIQ 5 N)」を発売します。
日本向けに専用開発した箇所も多いといいますが、どういう点を改良したのでしょうか。
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2022年2月に乗用車部門として日本国内へ再上陸を果たした韓国のヒョンデ(旧:ヒュンダイ)は、現在電動モデルをメインに展開しています。
このうち「アイオニック5(IONIQ 5)」はミディアムSUVタイプのEVで、2022年5月に発売。ヒョンデの主力モデルに位置します。
このアイオニック5をベースとしたスポーツモデルが、アイオニック5 Nです。Nブランドでは初のEVとなっています。
2023年11月に開催されたFIA世界ラリー選手権(WRC)日本大会「ラリージャパン」では、会場の豊田スタジアム(愛知県豊田市)においてNブランドの日本導入を明らかにするとともに、アイオニック5 Nを日本初公開しています。
エクステリアは専用カラー「パフォーマンスブルー」を設定したほか、専用リップスポイラー、リアスポイラーを装着。パフォーマンスを予感させるルックスに仕上げています。
ボディも強化され、溶接ポイントの追加や構造用接着剤の使用量アップにより、強力なパワートレインに耐えるよう、剛性が高められました。
パワートレインはフロント(222馬力)とリア(378馬力)にそれぞれモーターを搭載する4WDで、ブーストモードによりシステム最大出力は478kW(650馬力)・最大トルク740Nmを発揮。0-100km/h加速は3.4秒、最高速度は260km/hを誇ります。
さらに、走行性能を高める電子制御も多く取り込まれ、前後の可変トルク配分機能「Nトルク・ディストリビューション」や、最大0.6Gの回生ブレーキ「Nブレーキ・リジェン」、誰でもドリフト走行が可能な「トルクキックドリフト」などを採用。
また、ドライビングを盛り上げる演出として、「ICE(内燃機関エンジン)サウンド」や「ジェットファイター(戦闘機)」など、さまざまな種類の走行音を再生する「N アクティブサウンド +」機能も搭載しています。
■国内向けに施したセッティングとは?
そんなアイオニック5 Nですが、日本国内へ導入されるモデルは様々な改良がなされるといいます。ヒョンデモビリティジャパンの車両開発支援チーム シニアリサーチャーの宮野 達也氏は以下のように話します。
「日本は輸入車にとって特殊な環境で、ユーザーのこだわりも強いという特徴があります。
そういった日本のユーザーのために、日本向けモデルは現地で開発しようという流れになりました」
左側通行・右ハンドルの地域は、日本以外にもイギリスやオーストラリア、タイやマレーシアといった市場があります。
しかし、アイオニック5 Nは単に右ハンドル化するのではなく、微細なセッティングも変更しているといいます。
「右ハンドル市場はイギリスやオーストラリアがあります。しかし、実は日本のように現地の開発拠点は持っていません。
ヒョンデではオーストラリアやイギリス向け車を単に持ってくるのではなく、しっかり日本用にチューニングしました。
もちろん言語は日本語化していますし、ウインカーレバーも右に配置するなど、乗っても違和感なく仕上げています」(宮野氏)
日本の道路環境は、道は狭く平均車速も低いことが特徴です。そのうえ、夏は暑く冬は寒いといった気象の面でも過酷な環境となっています。
さらに、首都高などの都市高速道路ではジョイントが無数に設けられているなど、道路や舗装も海外にはない特徴を持っており、このような環境に適応させるため、ヒョンデは日本国内に開発センターを設けました。
加えて、スポーツモデルであるアイオニック5 Nにも、日本向けにセッティングを施したといいます。
「サーキットだけでなく、日本特有のワインディングを持つ公道でのテストを重ねました。
サーキットは国による違いは少ないのですが、公道では箱根ターンパイクをはじめ、ドライブを楽しめるワインディングが多くあります。実はこうした道路は海外にありそうで、実はないんですね。
特にターンパイクは日本でいちばん有名なワインディングロードで、クルマ好きだったら誰でも知っているような道です。そういうところでチェックしないとわからないことは多くありました」
アイオニック5 Nでは、電子制御サスペンションの減衰力を変更し、日本の道では硬く感じてしまうセッティングを、各モードで調整。
大きな凹凸を超えた際などには、自動で減衰力を抑制する動作にすることで、乗り心地や操縦性を改善しています。
さらに、N アクティブサウンド +では標準よりもバリエーションの多いエンジン音を設定したほか、音色やよりクルマの挙動に忠実になるように調整を施したと説明します。
日本のクルマ好きユーザーは、欧州ブランドの高性能車だけでなく、国産スポーツカーも当たり前の存在であり、そうした目の肥えた日本のクルマ好きユーザーに向けたものと捉えることもできます。
このような取り組みを通して日本向けに最適化を図ることで、Nブランドおよびヒョンデはさらなる知名度向上とイメージアップへとつなげていく狙いです。
※ ※ ※
アイオニック5 Nの価格などは現在発表されていませんが、2024年の早い時期に導入予定となっており、詳細情報は追って発表されるとみられます。
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いや、それでもイラネ