■どんなクルマ?
コナのライバルはジューク
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ヒュンダイ・コナは日産ジュークからシェアをかすめ取るべく開発されたコンパクトなSUVだ。われわれの面前に現れたそれは、まだプロトタイプだが、カモフラージュの類は一切なかった。
現在は、さまざまな仕向け地を想定して、最終的なチューニングを詰めている段階だ。
このクラスのクロスオーバーの例に漏れず、ターゲットは都市で生活するファミリー層だが、オフロードを意識したスタイリングで、四輪駆動も用意される。
試乗したのは、176psの1.6ℓガソリンターボに、4WDと7段DCTを組み合わせた仕様。発売時にはこのほかに、120psの1.0ℓユニットを積む2WDや、欧州市場向けの1.6ℓディーゼルも用意される見込みだ。
乗り心地とサスペンションのセッティングは、快適性と敏捷性を重視しているが、マーケットごとに最適化が図られるという。
「プログレッシブでパワフルなクルマ」
今回乗ったのは韓国仕様で、ヒュンダイのエンジニアによれば、特に俊敏さを強調した乗り味になっているという。
対して欧州向けは楽しさを追求し、ステアリングとリアサスペンションを調整して軽快な走りに仕立てられるようだ。
ジュークに比べるとロー&ワイドで、小型のファミリー向けSUVとしては適切なサイズだ。また、室内空間を稼ぐべく、フロア高はクラス水準より若干低いが、それでも着座位置はSUVらしく高めである。
ヒュンダイによれば、プログレッシブでパワフルなクルマを目指してデザインしたという。
その狙いを誰もが感じ取れるとは思えないが、彼らの自信が感じ取れるルックスではあり、ボディカラーにもよるが、写真より実物の方が見栄えはよい。
■どんな感じ?
このクルマの購入層ならば満足するはず
試乗会場は、南陽R&Dセンターの短いテストコース。まずは直線の往復、それからさまざまな路面をシミュレートした、バンピーなワインディングへと入った。
初期加速は良好だが、トランスミッションはシフトアップが遅く、どのギアでもエンジン回転が上がりすぎる。ただし、一旦速度が上がれば、エンジンはスムーズで静かなうえ、操作に従順だ。
もちろん、このクルマを購入するであろうユーザーは、直線加速に重きを置くことはないだろう。むしろ路面に凹凸の多い市街地での乗り心地やハンドリング、取り回しを重視するに違いない。
その点、路面不整の吸収ぶりは悪くない。時として安定感を失うこともあるが、背の高いクロスオーバーとしては覚悟の範疇に収まる。
ステアリングは軽く扱いやすいが、走りを楽しめるようなフィードバックは感じられない。このへんは、楽しさを追求するという欧州仕様では改善が図られるだろう。乗り心地は、概しておとなしく快適だった。
DCTは、コンフォートとスポーツの2モードが設定される。後者は、各段をより長くキープし、エンジンを高回転まで引っ張るプログラムだが、それによるパフォーマンス向上は感じられなかった。もっとも、距離も時間も短い試乗で、それぞれのモードの差を本格的にテストするのは難しいが。
ドライビングポジションはよく、視認性は全方位とも不満のないレベル。操作系はわかりやすい配置で、キャビンは広く快適に感じられた。助手席も十分なスペースがあり、そこに座った説明役のエンジニアも快適そうだった。
ただし、意欲的なエクステリアに比べ、インテリアのデザインはおもしろみがない。
■「買い」か?
値段次第で恐ろしい存在に
正直言って、おすすめできるかどうかは判断しかねる。
というのも、今回の試乗はテストコースでプロトタイプを走らせるという限定的なシチュエーションだったからだ。不整路面を再現したコースも用意されていたとはいえ、実際の市街地を走ってみるまで、真の裁定は下せない。
とはいうものの、このセグメントにヒュンダイが食い込めそうな兆しは感じられた。ハイパフォーマンスには程遠いが、レスポンスはよく、堂々たる乗り味で、この手のクルマのユーザーの要求は満たせるだろう。
欧州市場での成否は、進行中のチューニングと、1.0ℓターボ+MT仕様の出来栄え次第といったところ。そして、ヒュンダイが示唆するように£15,000(218万円)程度で販売されれば、ライバルたちにも無視できない存在になるかもしれない。
ヒュンダイ・コナ1.6 T-GDi プロトタイプ
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