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新型インプレッサ試乗レポート グローバルCセグメントど真ん中で勝負

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新型インプレッサ試乗レポート グローバルCセグメントど真ん中で勝負

第5世代となる新型インプレッサは当サイトでもすでに11本もの関連記事を掲載し、「発売」や「予約開始」などのニュースまで含めると20本近くの記事をアップしている。これほどまでに1つの車種で記事掲載することも稀なケースだ。
<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>

最初は2015年の東京モーターショー、翌月のロサンゼルスモーターショーでローンチが始まり、翌年3月のニューヨークで北米仕様がワールドプレミアされた。その後7月に国内仕様が公表され、9月に国内仕様プロトタイプ試乗会がクローズドコースで開催されている。そこから約2か月後の10月25日に新型インプレッサが発売になった。

発売直後の10月27日、市販車となった新型インプレッサに早速試乗してきた。試乗ルートは東名高速と一般道で、試乗モデルはインプレッサスポーツ2.0i-S EyeSight AWD。18インチサイズを装着している。また一般道だけだが17インチモデルも試乗できた。1.6L搭載モデルは12月に発売予定なので、もうしばらく待つ必要がある。

新型インプレッサの詳細はこちらで詳解しているので、テクニカルな部分は読んで欲しい。では、早速、実車を見て、触って、乗ってみたレポートをしよう。

■Cセグメントというボディサイズ
最初に新型インプレッサのポジションを確認したい。ボディサイズはCセグメントど真ん中で全長4460mm(G4は4625mm)×全幅1775mm×全高1480mm。ホイールベースが2670mm。ちなみに国産Cセグメントにはマツダのアクセラがある。ハッチバックモデルは4470mm、1795mm、1470mm、2700mm。またトヨタ・プリウスは4540mm、1760mm、1470mm、2700mmとなっている。

一方Cセグメントのベンチマークとされるフォルクスワーゲン・ゴルフは4265mm、1800mm、1480mm、2635mm、ルノー・メガーヌは4325mm、1810mm、1460mm、2640mmだ。もちろん欧州ではフォード・フォーカスもCセグメントの代表格だが、日本フォードが撤退した今、国内では購入できない。

欧州車までサイズ比較に持ち出したのは、インプレッサがグローバルCセグメントのベンチマークを目指しているからだ。当然これまで通りメインマーケットは北米になるが、欧州へ打って出てより多くのユーザーを獲得したい狙いがある。ということで、こうした背景を持っていることを踏まえたレポートになる。

■デザイン
エクステリアはずいぶんと洗練され、妙なデザインだと感じることはなくなった。真横のスタイルはBMW3シリーズの小型版にも見えるし、フロント斜め前からの眺めはどことなくアウディのような感じにも見える。いや、ジャガーか。だから、反面スバルらしいと感じる、あるいは、誰がみても、どこから見ても「スバルのクルマだ」とわかるデザインを望みたい。

インテリアは素晴らしくグレードアップした。試乗車がトップグレードということもあるが、大きく上質感という方向へシフトしたことが分かる。ダッシュボードのウレタンもソフトで樹脂剥き出しではない。ドア内貼りもメタル部分やカーボン調のパネル、パワーウインドウのスイッチひとつにもシルバーが加飾されプレミアムモデルにある手法が取り入れられている。

ナビまわりは世代交代が遅れた。ナビそのものは最新世代だろうが、デジタルモニターが相変わらず3つあり、ナビ本体(ディーラーオプション)、ダッシュボード上のインフォメーション・モニター、2眼メーター中央にディスプレイが配され、あってもいいが、なくてもいい情報が満載されている。マニア相手のアイテムだから好きな人には満足度が高いが、グローバルCセグメントの量販車であるならユーザーが必要としている情報は何かを絞り込んで欲しい。

もちろん、近い将来インターネットの常時接続になれば、こうしたアイテムは淘汰されていくだろう。そのためには、ディーラーの売り上げの一部を占める「ディーラーオプションの高級ナビ」という既得権をどうにかする必要があるだろう。

シートデザインやレザーシートの見た目の装備はいいのだが、肝心のドライビングポジションに関し、ホールド性なのか、クッション性なのかわからないがぴったりと収まらない。走りはじめにシート合わせをしても、しばらく走行して身体が弛緩すると、ポジションがずれていることに気づく。ルームミラーを合わせ直すという行動をとることで気づかされた。もっと細かくはサイサポートも欲しいが、国内では不要か?アウトバーンを160km/hで巡航2時間という場面を想定すると、もう少し弛緩した状態でのホールド性が欲しい。

■パワートレーン
試乗車は2.0Lの自然吸気。FB型だが直噴になるなど80%程度が新設計になっているという、いわば新エンジンだ。市街地、高速での走行は滑らで静か。かつてのボクサーサウンドは消えている。滑らかに回転する上質で静粛性の高いエンジンへと進化したと思う。

特に高速では静かなのだが、CVTのネガが気になる。クローズドコースでの試乗ではステップ式のギミックで、そのネガを感じる場面はなかったものの、一般的な走行シーンでは顔を出した。CVT嫌いの欧州で受け入れられるか?疑問が残る。

静かなエンジンは低回転時のパンチ、トルク感が薄い。世の多くはダウンサイジングになっているので、過給器を搭載しているモデルがほとんど。あるいは低回転トルクの太いディーゼルエンジンを搭載している。そのイメージに引きずられてしまうためか、2.0L NAの低回転時はどうしてもパンチが足りなく感じてしまう。

日常使いの中でダラ~っと弛緩した状態で運転し、何かの状況でアクセルを踏み込むといった状況になると、レスポンスや加速感がもうひとつ欲しいところだ。また、アクセルを少し踏んだだけでグッと加速したり、ブレーキに足を乗せただけでキュッと効く、という制御を取り入れたこともレポートしておく。エンジニアに聞けば、日本のユーザー指向を意識してのもので、ディーラーからの反響、イコール、ユーザーの声だ。おそらく、こうした試乗記を読む人や、クルマをよく知る読者からは不満が出るかもしれない。

■シャシー&ボディ
乗り心地が素晴らしい。18インチ、17インチの各タイヤサイズで試乗したがどちらも文句ない。とくに18インチはアドバンV105というスポーツラジアルを標準装着し、アドバンブランドの中でもSタイヤのすぐ下に位置するトップグレードのスポーツラジアルタイヤ。それでも乗り心地がよく、しっとりとした上質感があるのだ。

シャシー性能では操縦安定性も含め欧州車と勝負できるレベルであり、魅力たっぷり。さらに剛性感の高さを感じるボディも安心感につながる。フロントウインドウからの視界の良さも手伝って、思い通りに動くクルマの挙動と侵入してくる騒音の低さ、乗り心地の上質さなどは国産車でライバル不在と言っていいだろう。

これはSGPという新しいプラットフォームの採用も影響していることは言うまでもない。このSGPを使った次期XVやフォレスターなどにも期待が膨らむ。

■アイサイトVer3
新型インプレッサはアイサイトバージョン3と歩行者保護エアバッグが全車に標準装備されている。スバルが考える安全のグローバル基準としての装備だ。もちろん、衝突テストも含めて重要視している部分でもある。しかも2016年12月に発売される1.6Lのエントリーモデルは192万円(税込み)で、従来のエントリーモデル208万円より16万円安い。それなのにアイサイト、歩行者保護エアバッグが装備されている、というのは大きな魅力だ。

高速道路では自動追従を起動した状態で走行中、ウインカーを出すと加速しながら車線変更ができる。これはストレスがなく、自分で運転しているように走れる。これまでの自動追従では、目の前の車両がいなくなってから、少しのタイムラグがあって加速を開始するのが普通。だから、車線変更の場面で、前走車に近づきウインカーを出しながら追い越し車線に出ても、しばらくは追い越し加速をしないのが普通だ。これができているのは、ボルボ、メルセデスあたりだろうか。BMWはダメだ。アウディ、レクサスは確認していない。

というように、プレミアムモデルですら、この状況なのでかなり賢いシステムを大衆車に標準装備したというわけだ。

さて、こうしてオーバーオールに眺めてみると国内や北米では、人気となる要素を満たしていると感じる。だが、これを欧州に展開したときに次なる課題に対応が必要だろうという印象が残った。そしてグローバルCセグメントでトップを取るには、まだ、壁があるものの手の届くところにいると感じた試乗だった。


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