2023年のNASCARカップシリーズにて、初開催のシカゴ・ストリート戦で世界に衝撃を与えるデビューウインを飾ったRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが、来季2024年に向けトラックハウス・レーシングとの契約締結を発表。これで豪州3冠を誇るチャンピオンは、晴れて北米転向とNASCAR本格挑戦への足場を整えるとともに、来季はカップ、エクスフィニティ、そしてクラフツマン・トラック・シリーズと3大ナショナルシリーズの組み合わせでフル参戦することが決まった。
同チームの国際ゲスト招聘枠『PROJECT91』でシリーズ初参戦を叶えた34歳のSVGは、誰もが初体験となった未知の市街地トラックにて“Next-Gen”規定の91号車シボレー・カマロZL1をドライブし、初日FP最速から予選3番手を記録。
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ウエットからダンプのストリート、日没75周の短縮決戦とカップでは初モノ尽くしとなった決勝でも、一時は18番手にまで後退しながらチェイス・エリオットやカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らレギュラー陣をオーバーテイクし、レギュラー陣を圧倒する強さでデビューウインを飾った。
さらに8月11~13日には、まずインディアナ州ブラウンズバーグにある0.686マイルのショートトラック(インディアナポリス・レースウェイパーク/IRP)に赴くと、同地で開催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズの第17戦『Tスポーツ200』に参戦。
ここでニース・モータースポーツが用意した41号車シボレー・シルバラードRSTをドライブして念願のオーバルデビューを果たすと、同じくインディアナポリス・モータースピードウェイ(IMS)のロードコースで争われるNASCARカップシリーズ第24戦『ベライゾン200・アット・ザ・ブリックヤード』では、元F1王者ジェンソン・バトン(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)や今季ル・マン24時間に“ガレージ56”プロジェクトから参戦したマイク・ロッケンフェラー(レガシー・モータークラブ/シボレー・カマロ)、そして67号車『Toyota Genuine Parts Camry TRD』のステアリングを握った小林可夢偉(23XIレーシング/トヨタ・カムリ)らと対峙し、世界的スターを上回りトップ10に喰い込む活躍を演じた。
その世界的知名度急騰と自身の願望を認められたSVGは、RSCでともに戦った所属先のトリプルエイト・レースエンジニアリングと、2023年限りでの「早期契約解除」で合意。後任として、こちらもエレバス・モータースポーツとの早期契約解除となった初代TCRオーストラリア王者、ウィル・ブラウンの加入が正式発表されていた。
■NASCARへの冒険はキャリアの中で最大の挑戦
オーストラリア大陸では2016年からこの強豪チームに移籍し、通算67勝と3回のチャンピオンシップ獲得の金字塔を打ち立てたSVGは、WRC世界ラリー選手権のWRC2クラス表彰台や、コロナ禍で実施されたWorldRX世界ラリークロス選手権のeSportシリーズでも存在感を発揮。バサースト12時間を中心としたGT3でも『勝てるドライバー』であることを示し、これまで多彩なカテゴリーで才能を発揮してきた。
2024年スケジュールの正確な詳細は追って発表予定としたものの、来季は北米でロス・チャスティンやダニエル・スアレスの僚友を務めるSVGは「この発表は僕にとって非常に多くの意味を持つ」と、改めてその意気込みを語った。
「僕自身、ここオーストラリアで達成したことを誇りに思っているが、自分のキャリアにおける新たな章と、それがもたらす機会に興奮している」と続けたヴァン・ギズバーゲン。
「これまで僕のキャリアに貢献してくれたすべての人々……とくにトリプルエイト・レースエンジニアリングにとても感謝している。いくつかのハイライトを共有して、今季を終えることを楽しみにしているよ」と、今週末に迫ったRSC第9戦『ペンライトオイル・サンダウン500』を念頭に続けたSVG。
「そして新たな挑戦のときが来た。NASCARへの冒険は僕のキャリアの中で最大の挑戦となるし、そのことを本当に楽しみにしている。僕にチャンスを与え、この機会を生み出してくれたジャスティン・マークス(トラックハウス・レーシング代表)とチームの皆に感謝したい。アメリカに到着してシーズンが始まる現実に興奮しているよ」
そのトリプルエイトとの早期契約解除を受け、当時よりスタードライバーとの契約に「一生懸命取り組んでいる」と明かしていたマークス代表は「これはシェーンにとって非常に大きな挑戦となるだろうが、我々全員が見てきたように、彼は素晴らしいドライバーだ」と契約成立の喜びを語った。
「来季は彼をオーバルのトラックレース、スーパースピードウェイ、1.5マイルトラックなど、これまでキャリアで経験したことのないものすべてに順応させることになるだろう。明らかに学習プロセスになるだろうが、シェーンは非常に良いパフォーマンスを発揮すると信じている」
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