モダンな雰囲気に3500へ近いインテリア
カリビアン・ブルーのローバー2300を大切にする、クリス・パウエル氏。とても運転が楽しいと話す。
【画像】ローバーSD1シリーズ 同じスペン・キング氏が手掛けた初代レンジローバーも 全66枚
「エンジンは滑らかで粘り強く、パワーは充分。ギア比の設定も良いと思います。でも、オプションだったパワーステアリングがなく、駐車時は重くて大変ですが」
パウエルは、ローバーが想定した市場へ、2300は合致するように作られていたと考えている。しかし後期型のシリーズ2では改良を受け、シリーズ1ほど質素な内容ではなくなった。
それでも、より快適な走りを求める人のために、1つ上のローバー2600という選択肢も用意されていた。ランチア・ガンマ・ベルリーナやプジョー604 Tiと並んで、有能なサルーンの一角をなしていた。
新車当時、シリーズ1の2600の英国価格は5800ポンド。BMW 520iより手頃で、188km/hの最高速度を誇り、パイルカーペットが敷かれたゴージャスな車内が特長。マップライトなども備わり、2300より格上の内容が与えられていた。
ジョン・ハーパー氏がオーナーの2600は、1978年式。アボカド・グリーンに塗られた個体としては、現存する唯一だと考えられている。鮮やかなボディ色は、彼がこのクルマを選んだ動機にもなったらしい。
2600の車内は、2300より3500へだいぶ近い。モダンな雰囲気に、新車時のオーナーも満足できただろう。ウッドパネルのないダッシュボードは、ミニマリストを意識したデザインとして、SD1に共通していた。ステアリングホイールのパッドも個性的だ。
フラッグシップとなる最上級のローバー
ハーパーがこの2600のオーナーになったのは、14年前。しかし、新車時からファンだったと明かす。追加されているオプションは、パワーステアリングのみ。これまでに一度も、大々的なサビの修復や再塗装は行われていない。
「1970年代後半になると、クルマ好きは2600がスポーツセダンだと気付き始めました。軽量な2597ccの6気筒エンジンと、マニュアルの組み合わせを好んだんです。少数派というモデルの立ち位置は、わたしが好きな点でもあります」
そしてミダス・ゴールドのもう1台、弁護士や会社の取締役にピッタリなSD1シリーズが、V8-Sだ。1979年7月2日、ローバーは「最高とそれ以外との違い」を表現した上級モデルとして、このグレードを投入した。
SD1のフラッグシップとして良く効くエアコンを備え、北米市場への復帰を探る仕様でもあった。英国では、ヴォグゾール・ロイヤル(オペル・セネター)のオーナーを、振り向かせる狙いもあった。
「ユニークなスタイルと豪華な走行フィーリングとを完璧に融合させた、最上級のローバーを生み出しました」。と、新車時のパンフレットでは誇らしげに主張されていた。
毛足の長いパイルカーペットが敷かれ、ヘッドライト・ワイパーとスライディング・ルーフが自慢。メッシュのアルミホイールを履き、フロントノーズには、エナメル塗装されたカラフルなエンブレムがあしらわれた。
1040台のみが作られた最高のSD1
TSL 982のナンバーを付けたローバーV8-Sの所有者は、ティム・スペンサー氏。ボルグワーナー社製のATがチョイスされた例が多いなかで、5速MTが組まれた珍しい個体でもある。
インテリアには特別感が漂い、ラグジュアリーな雰囲気は4台のなかで1番。「ローバーは基本設計の高さに並ぶ、仕上げ水準も獲得しました」。と当時のモーター誌は評価している。
5ドアのファストバックボディは、やや保守的な上級市場では不利といえたが、そもそもブリティッシュ・レイランド社はV8-Sの生産数を限定していた。1980年9月に、3500ヴァンデンプラへバトンタッチするまで、1040台しか作られていない。
スペンサーのクルマは、その初期の生産モデル。英国のローバーSD1オーナーズクラブによると、残存する最も古いV8-Sだという。当初は、英国西部のマン島にあるディーラーで、デモ車両を務めていたようだ。
彼が購入したのは1997年。英国中部のラフバラーという町で発見した時は、すっかり疲れ切った状態だった。入手後にボディを修理し、欠損していたボディトリムを直し、輝かしい状態を取り戻している。
新車時のうたい文句のように、最高とそれ以外との違いも、しっかり確かめられる。スペンサーは、V8-Sがロング・クルージングに適していると話すが、5速MTもその走りにピッタリだ。
もはやブリティッシュ・レイランド社は存在しない。だが、これがブランド史の重要な1台に該当することは疑いようがない。
現在に再評価を受けるSD1の個性と存在感
1982年にローバーのSD1シリーズはフェイスリフトを受け、シリーズ2へアップデート。その4年後、1986年にはシリーズ2の生産も終了。ホンダ・レジェンドがベースとなる、ローバー800へ道を譲った。
今回の4台は、約45年前のショールームを賑わせた、ローバーを象徴するモデルたちだ。特異な存在として受け止められてきた過去もあるが、クラシックとして、新たな価値が生まれている。
野心的な意気込みで開発されたSD1シリーズには、欠点があったことも確かではある。しかし、退屈なモデルではなかったことは間違いない。
均質化が進むクルマにあって、唯一の個性と存在感を湛えている。1970年代における次の時代のモデルとして、再評価を受ける理由にもうなずけるのだった。
協力:英国自動車博物館、ローバーSD1クラブ
ローバーSD1シリーズ 4グレードのスペック
ローバー3500(1976~1986年/英国仕様)
英国価格:4750ポンド(1976年時)/1万2000ポンド(約186万円)以下(現在)
生産台数:10万7916台
全長:4698mm
全幅:1768mm
全高:1354mm
最高速度:197km/h
0-97km/h加速:9.0秒
燃費:8.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1363kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:157ps/5250rpm
最大トルク:27.3kg-m/2500rpm
ギアボックス:3速オートマティック
ローバー2300(1977~1986年/英国仕様)
英国価格:5342ポンド(1977年時)/8000ポンド(約124万円)以下(現在)
生産台数:4万2996台
全長:4698mm
全幅:1768mm
全高:1354mm
最高速度:183km/h
0-97km/h加速:11.5秒
燃費:9.0km/L
CO2排出量:−
車両重量:1315kg
パワートレイン:直列6気筒2350cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:124ps/5000rpm
最大トルク:18.4kg-m/4000rpm
ギアボックス:4速マニュアル
ローバー2600(1977~1986年/英国仕様)
英国価格:5800ポンド(1977年時)/1万ポンド(約155万円)以下(現在)
生産台数:10万8572台
全長:4698mm
全幅:1768mm
全高:1354mm
最高速度:189km/h
0-97km/h加速:10.7秒
燃費:9.2km/L
CO2排出量:−
車両重量:1351kg
パワートレイン:直列6気筒2597cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:138ps/5000rpm
最大トルク:20.8kg-m/3750rpm
ギアボックス:5速マニュアル
ローバーV8-S(1979~1980年/英国仕様)
英国価格:1万699ポンド(1979年時)/1万2500ポンド(約193万円)以下(現在)
生産台数:1040台
全長:4698mm
全幅:1768mm
全高:1382mm
最高速度:197km/h
0-97km/h加速:9.7秒
燃費:8.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1436kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:157ps/5250rpm
最大トルク:27.3kg-m/2500rpm
ギアボックス:5速マニュアル
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