自動車メーカーが仕立てた入魂のコンプリートモデル
空前のアウトドアブームに乗っかって、手ごろなサイズのSUV、クロスオーバーモデルを手に入れたい。しかし、かつて愛したスポーツカーがもたらしてくれたスポーティな走りの世界も忘れ難い……そんなSUV×スポーティカーを望むユーザーにぜひともお薦めしたいのが、国産自動車メーカーが仕立てた入魂のワークスコンプリートSUVだ。
ニスモがイジるとなんでも激熱に変身! まさかの走りを実現した非スポーツ系コンプリートモデル10台
自身で素のSUVやクロスオーバーモデルを入手し、手を入れる方法もあるにはあるが、やはり国産自動車メーカーがモータースポーツ由来のエッセンスを存分に注入した純正コンプリートカーの完成度まで持っていくのは至難の業。チューニングショップの選定や予算など、ハードルはむしろ高いかもしれない。
日産ジュークNISMO
その筆頭が、今や日本市場から姿を消した日産ジュークのコンプリートカー、ジュークNISMOだ。日産のモータースポーツ部門、ニッサンモータースポーツインターナショナル(ニスモ)が手掛けた1台で、日本仕様は2013年2月に登場(欧州でも展開)。
16GT FOUR Type Vをベースに、バンパーのワイド化、ルーフスポイラーの装着を行うとともに、専用インテリア、ターボエンジンのチューニング、CVTのクロスレシオ化、18インチタイヤ&欧州チューニングの専用サスペンションを奢ったモデルである。レッドのドアミラーによって、ひと目でNISMOと分かる迫力さえあるエクステリアは、ノーマルジュークとは別物の存在感を示していた。
さらに、2014年11月に発表されたのがNISMO RSだ。1.6LターボエンジンはジュークNISMOの200psから214psまでパワーアップ。オールモード4×4-iと呼ばれる4WDシステムも専用化され、レッドのブレーキキャリパーがまぶしい。
専用インテリアもあって、乗り込んだ瞬間からアドレナリンが逆流するようなホットな気分になれるのも、NISMOならではの世界観と言っていい。RSといってもCVTだから誰もが乗りやすく、しかも抜群の速さを安心して楽しめるファンSUVに仕上げてあるのである。
現在買える中古車は新車の台数が少なかったことから、全国的に極めて希少だが100~200万円台が相場となっている。執筆時点で注目したのは、中古車としてもっとも高価格であろう、2019年型、走行1.9万キロ、235万5000円という個体だ。それも日産ではないが、国産自動車メーカーの認定中古車センターで販売されていた。
ホンダ・ヴェゼル モデューロX
対するホンダにも、いま絶賛人気のヴェゼルに、モデューロXというホンダアクセスによるコンプリートカーがある。
東京オートサロン2022でご覧になった人もいるはずだが、e:HEVモデルをベースに標準車では個性的なフロントグリルを専用デザイン化し、実効空力性能を高めるエアロパーツ(もちろん、ホンダの風洞実験室で開発)、専用の足まわり(ダンパーとスプリング)、ホイールまで専用開発&セッティングし、コンプリート化。結果、スタイリング同様、走りのテイストまでもが欧州プレミアムSUVに近い味付けとなっているようだ。発売は2022年夏と予想されている(現時点で詳細は不明)。
C-HR GR SPORT
そしてトヨタにも、ヤリスなどでもおなじみのGR SPORTがある。SUVラインアップとしてはC-HR、ランドクルーザーが揃う。比較的手ごろなC-HRの場合、GR SPORT専用のエクステリアのほか、19インチタイヤ、スポーツカーを思わせる専用インテリアを採用。さらに専用のチューニングサスペンション、ホワイトのブレーキキャリパーなどが奢られている。
ガソリンターボだけではなく、ヴェゼルのモデューロX同様にHVで乗れるところも強敵だ。なお、パワーユニットはかつてのジュークNISMOとは違い、ノーマルのままである。とはいえ、走り出した瞬間から、GR SPORTならではの走りのテイストが堪能できることは間違いない。
なお、スバルにはSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)部門があり、モータースポーツの世界からフィードバックされた技術、アイテムを盛り込んモデルがある。しかし、誰でも運転しやすいカタログモデルのSTIコンプリートカーを送り出し続けているが、残念ながら、コンプリートカーとして“調律”されたクルマはWRX S4、レヴォーグ、インプレッサのみ。SUVのXVやフォレスター、レガシイアウトバックには用意されていない……。
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