■世界初公開に先駆けて試乗! 豊田社長の「ワォ」と驚く! 新型「RZ」はどんなクルマなのか?
トヨタのカーボンニュートラルへの対応は「選択肢を狭めない」と全方位戦略を掲げていますが、そのなかで電動化リッチな方針を掲げるのがプレミアムブランドであるレクサスです。
2004年にハイブリッドモデル「RX400h」を投入以降、さまざまなカテゴリーに電動化モデルをラインナップし、2021年4月に累計200万台を達成しています。
その流れはより勢いを増し、2030年にすべてのカテゴリーにBEVをラインナップ、2035年にBEV100%を目指すと発表しています。
【画像】これが斬新ハンドルだ! 新型「RZ」は何が凄い? レクサス「初」を実車で見る!(32枚)
すでにコンパクトSUV「UX」をベースにしたBEV「UX300e」を投入済みですが、本命となるモデルが登場しました。
それがレクサス初のBEV専用車「RZ」です。
筆者(山本シンヤ)は世界初公開に先駆け、プロトタイプにドイツ・ニュルブルクリンクを模したトヨタ下山テストコース・第3周回路で試乗してきました。
ちなみに2021年12月におこなわれたバッテリーEV戦略に関する説明会のなかで流された映像では、豊田章男社長がレクサスの佐藤恒治プレジデント共にRZの試作車に乗り、ある操作をしたときに「ワォ!!」と歓声を上げました。このとき、筆者は「RZの何に対して驚いたのか?」に興味がありました。
まず、多くの人が気になるのが、同じBEVであるトヨタ「bZ4X」とその姉妹車であるスバル「ソルテラ」との関係性でしょう。
プラットフォームのe-TNGA、パワートレインのeアクスルといった主要部品は共用していますが、それ以外の構成部品、制御系、味付けはレクサス独自です。
さらに新型bZ4X/新型ソルテラは新組織であるZEVファクトリーが開発を担当していますが、RZはレクサスインターナショナルと開発形態も完全に異なります。
エクステリアはパッと見は「NX」のクーペ版のように見えますが、全体的なプロポーションや面の構成などを含めてNXよりもスマートな印象です。
特徴的なのはスピンドルボディのコンセプトを反映されたグリルレスのフロントマスク、シンプルでクリーンな水平基調のデザイン、BEVのレイアウトを活かしたタイヤの四隅配置などが効いています。
ちなみにタイヤは前後異形でフロント235、リア255サイズとなっています。これはデザイン性だけでなく、レクサスが求める運動性能を実現のための機能部品という位置づけです。
ちなみにリアのホイールは純正とは思えないワイドリムでタイヤも引っ張り気味ですが、これは接地面積をできるだけ稼ぐためだそうです。
インテリアはNXとの共通性は高いデザインとなっていますが、コクピット感を強めたセンターコンソール周りのレイアウト、スッキリした造形のメーター周り、ダイヤル式のシフトノブなどの採用により、レクサスの世界観を崩さずに先進性がプラスされています。
ちなみにドライブモードのセレクトはNXのようなダイヤル式ではなくモニター内で操作します。
これはアップデートの対応を考慮した判断だといいます。考え方に関しては納得ですが、直感操作ができないので操作性は今ひとつです。せっかくの大画面を活かして、分割表示ができると嬉しいです。
クーペスタイルですが2850mmのロングホイールベースを活かした足元スペースや解放感を高めるパノラマルーフ(シェードレスで眩しさとUV光線をカットするガラスを採用)なども相まって、見た目以上に広々した室内空間に仕上がっています。
パワートレインは前後独立モーターの「ツインモーターAWD」のみの設定で、FF駆動はラインナップせず。システム出力は230kW(フロント:150kW/リア:80kW)と新型bZ4X/新型ソルテラより高出力化されています。バッテリーは新型bZ4X/新型ソルテラと同じ71.4kWhで、航続距離は約450kmと発表されています。
■新型「RZ」の走りはどうのか? 「楽」に「速く」走れる?
プラットフォームはe-TNGAをベースにレクサス独自の構造やブレースなどによる補強、レーザースクリューウェルディング/構造用接着剤/レーザーピニング溶接などの接合技術が盛り込まれています。
それに加えて、サスペンションには周波数感応アブソーバー(FRDII)、タイヤは前後異形で20インチ仕様はフロント235/リア255を装着。
このように基本素性を高めたうえで、ツインモーターAWDの特性を活かした4輪駆動力システム「DIRCT4」を採用しています。
具体的には車輪速センサー/加速度センサー/舵角センサーなどの情報を用いて、前後輪の駆動力配分を100:0から0:100までシームレスかつ綿密におこなえるといいます。
さらにステア系も新たな挑戦がおこなわれており、ステアリング操作を電気信号に置き換えてタイヤを動かす「ステアバイワイヤー」を設定。
ステアリング操舵角を約+-150度に設定することで、ステアリングを持ち替える必要のない運転を可能に。
そのため、ステアリング形状は円形ではなく操縦かんのような独特な形状となっています。ただ、今回の試乗車には未装着、従来ステアリングの仕様のみの試乗となりました。
では、走りはどうでしょうか? アクセルを踏むと新型bZ4X/新型ソルテラよりも力強さを感じますが、プレミアム系のBEVによくありがちなモリモリ湧き出るパワー感や凄い加速ではなく、余計なピッチングもなく滑らかにスーッと加速していつのまに速度が出ているというフィーリングです。
そういう意味では、レクサスの「スッキリと奥深く」の世界観に合った加速だと思います。
ノーマルモードはこれでいいと思いますが、スポーツモードではモーター制御の自在性や出力の出しやすさを活かした“アメージング”な特性を持たせても良かったのかなと。
ステア系は軽い操舵力で超滑らかだが直結感が高く正確無比な操作が可能です。
驚きはハンドリングで、目線が高く2トン近い車両重量のSUVながら、まるでスポーツカーのように路面に張り付いているかのように曲がります。
イメージ的には姿勢変化は最小限でコーナーの曲率に合わせて4つのタイヤのグリップ力が最適になるようにコントロールして旋回しているような感じで、とにかくアンダーステア知らずのコーナリングです。
この辺りは下半身が強靭、上半身はしなやかという車体構造を活かした剛性バランスや力の連続性の良さ、ストロークすることに特化できたサスペンションといった基本素性に加えて、DIRECT4による駆動力制御が効いているのでしょう。
ちなみにターンインはフロント寄り、コーナリング中はタイヤの接地荷重に合わせて可変、コーナー脱出時はリア寄りになっているそうです。
それも機械に強制的に曲げられているのはなく、より自然に、よりシームレスなので、まるで自分の運転が上手くなったかと錯覚してしまうくらいです。
タイヤは決してグリップ重視の銘柄ではありませんが、スポーツタイヤを履いているかのような安心感といったらいいでしょうか。
トヨタ下山テストコースは通常の道では考えられない三次元的な入力が入るうえに、先が見えないコーナーやコーナー途中で曲率が変わるコーナーなど、“だまし”要素が数多くありますが、そんな過酷なコースにも関わらず「楽」に「速く」走れました。
※ ※ ※
ちなみにRZを試乗した後に別のレクサスで同じペースで走らせてみると、常にタイヤはスキール音が鳴りっぱなし、そしてクルマを車線内に収めるだけで精一杯というドライビングした。
つまり、トヨタ下山テストコースをサラッと走ることができたRZのコーナリング性能は、実は驚くほどのレベルだということを改めて実感しました。
つまり、豊田社長の「ワォ」は、これまでのクルマでは実現できなかった「ドライバーの意図に忠実な走り」と「驚きのコーナリング」だったと、試乗して解りました。
2021年12月の記者会見での筆者の質問に対して「より安全、よりFun to Driveなクルマができるという期待値、私のようなジェントルマンドライバーが、プロドライバー同じように走れるクルマが、このプラットフォームによって作れる可能性が出てきた」という答えのひとつがRZというわけです。
■“攻め”の姿勢「Fスポーツ」は「イマ」はない?
このような走りを備えたRZですが、レクサスのもっとも大事な静粛性/乗り心地も抜かりなしです。
「BEVだから静かなのは当たり前」と思われがちですが、インバーター音や風切り音、タイヤノイズなども見事に抑えられており、例えるならば「初代LSの再来」といっても過言ではないレベルです。
乗り心地も車体により減衰効果とFSDIIの味付けの良さ、さらには電動パワートレインを活かした姿勢制御なども相まって、バネ下はよく動くのにバネ上はフラットなままです。
路面の凹凸を超える際のアタリ優しさや振動収束の良さも、レクサスのなかではトップレベルといっていいと思います。正直にいうと、これならAVS(電子制御ダンパー)はいらないなと思ったくらいでした。
ただ、ここまで走りがいいと欲がでてきます。RZはノーマル仕様のみの設定で、ほかのレクサスモデルのようにFスポーツの設定はありません。
開発者にその疑問を聞くと「基本を磨くために、まずはノーマルのみです」と答えてくれました。
その気持ちはよく解るし正論だと思いますが、プレミアムブランドは“真面目”だけではダメです。
とくにBEVの普及をトヨタが担うのなら、レクサスはもう少し“攻め”の姿勢があってもいいと思います。
つまり、クルマ好きから「馬鹿だよね~」といわれることも必要です。その辺りに関してジャーマン3(メルセデスベンツ・BMW・アウディ)はよく解っており、まさに「無駄を楽しむ」モデルもシッカリ用意されています。
現状のシステムを活かすなら、出力をさらに引き上げ(組み合わせ上はフロント150kW/リア150kWが可能)、加速もコーナリングもRC Fにも負けないパフォーマンスを備えたRZ Fスポーツなど、「BEVとスポーツは両立できる」を形として表現したモデルとかいいかもしれません。
※ ※ ※
昨今各社からBEVが登場していますが、現時点では航続距離、充電時間、充電インフラなど内燃機関と同じとはいきません。
そんななかでBEVを選んでもらうには、内燃機関では得られない「プラスα」が重要だと考えます。
そういう意味ではRZの個性は、巷のBEVに多い「凄い加速」ではなく、モーターの緻密な制御を活かした駆動力コントロールを活かした異次元のコーナリングです。
つまり、BEVになったことで“レクサスならではのドライビング体験”はより明確になったといえるかもしれません。
さらにいえば“RZ”という走りの原単位ができたことで、ほかのモデルの進化にも期待が高まります。
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