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スパ24時間でクラス表彰台を獲得した富田竜一郎に聞く「気分良く走ることができた」

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スパ24時間でクラス表彰台を獲得した富田竜一郎に聞く「気分良く走ることができた」

 7月26~31日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されたインターコンチネンタルGTチャレンジ第2戦/ファナテック・GTワールドチャレンジヨーロッパ第7戦、第74回『トタルエナジーズ・スパ24時間』の決勝レース。チームWRTの33号車アウディR8 LMSエボIIをドライブし2年目の挑戦を果たした富田竜一郎は、序盤のアクシデントでの遅れから挽回し、総合24位/クラス2位表彰台を獲得した。そんな富田にスパ24時間挑戦について聞いた。

──スパ・フランコルシャンは2022年のシーズン開幕前に全面的に改修となりましたが、ドライブしてみて昨年と比べて違いがありましたか?
富田竜一郎(以下RT):昨年よりもグリップ力が高まった気がしますし、タイムも1秒以上も速くなっているので、その差は明らかだと感じましたね。路面サーフェスが良くなったということも速くなった一因かな、と思っています。また、オー・ルージュからラディオンにかけての左サイドが広くなった分、攻めるときに精神的に少し楽になりました。他にはグラベルベッドがすごく増えてコースがタイトになり、攻め過ぎることができない部分もあります。ちょっとでも飛び出したりするとタイヤを痛めたりするので、コース改修後にドライブした感じでは、難しくなったところと良くなったところが半々といったところでしょうか。ただ全体的に走り方が大きく変わった、変えなければいけないという状況ではないので安心しました。

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──今年のスパ24時間はゴールドカップの参戦台数がかなり多く、なかなかの激戦区でした。
RT:ゴールドカップというクラスができると聞いたときは、正直プロ-アマクラスの延長くらいだと思っていました。昨年のFIAドライバー・カテゴライゼーションの変更で、ゴールドに昇格したドライバーが大幅に増えたことと、ゴールドのドライバーと組んで出たいというジェントルマンドライバーの需要が増えたことで、このクラスのエントリーが多くなったのではないかと予想してます。

 今回のスパ24時間ではゴールドのフィールドが大きくなり、プロクラスよりも台数が増え、レベルの高いチームのマシンも揃っていました。レベルも高いです。ゴールド/シルバー/ブロンズが組んでドライブするゴールドクラスにはさまざまな経験値をもつドライバーがミックスしているとあり、自分ひとりでどうにかできるわけではないので、経験がない、もしくは少ないドライバーの足りない部分をチームメイトが補うなど、協力しあいながらゴールを目指さなければならないので、プロドライバーとしても難しいのは事実です。WECのプロ-アマクラスに出ているドライバーも気持ちは同じだと思いますが、とても良い経験になっています。

──日本でスーパーGTとスーパー耐久、さらにGTワールドチャレンジ・ヨーロッパをかけもちする今季は非常に多忙ですね。
RT:テストも含めると今年は28週間レースをしている状態です。年齢も若くないので、飛行機の移動がしんどくなってきたのは事実です(笑)。スパから戻ったらすぐに富士でスーパーGT第4戦と、けっこうタイトなスケジュールの時もあり、早く体力や疲労を回復をさせられるよう、体調管理に努めています。

 コロナ禍に入って以降はしばらく日本のレースから少し遠ざかっていましたけど、またドライブをするチャンスをいただけたのはとても光栄なことで、ひとつひとつのカテゴリを大切にドライブするように心掛けています。

■日本人ドライバーとして認知してもらえた
──今年も激しいスパ24時間でしたが、レースを振り返っての感想は?
RT:他のWRTのアウディと比べると、ジェントルマンドライバー向けのセットアップだったこともあり、スタートからアンダーステア気味でした。僕は過去2年、プロドライバー向けのセットアップでエッジーなクルマに慣れていたので、今回のアンダーステア気味のフィーリングにはなかなか慣れず、厳しかったですね。バランスを内圧でアジャストしてきました。

 セカンドスティントまではとても良かったんですが、他車とヒットしてグラベルにはまり、その際にトーロッドが壊れてしまい、その修復で4ラップをロスしてしまったんです。その時点でチームも僕も今日のレースを無事にゴールすることは無理だと思っていましたが、戦略でなんとか少しでも追い上げて挽回できれば……と気持ちを切り替えました。

 非常に厳しく、激しいスパ24時間だけに、強豪チームさえも次々と姿を消していきましたが、序盤以降はトラブルもなく淡々とこなしていきました。ジェントルマンのアーノルド(ロビン)が素晴らしいタイムを重ねてくれて、夜中はトップ10圏内のグループと劣らないタイムを出してくれました。

 朝、僕が次のスティントに向けて戻ってきた頃には、クラスの3位争いに食い込めるところまで戻っていたので、そこからとにかく頑張って追い上げ、最後、僕がダブルスティントを担当した頃には、2位争いまでもってこられて、とても気分良く走ることができました。24時間レースでは、とにかく生き残ることが大切だと実感しましたね。

──スパ24時間への2年目の挑戦で、初表彰台を獲得できました。
RT:うれしい半面、総合では26位という順位だったので、必ずしも望んでいた順位ではありません。レースに出る限りは総合トップを狙っていますし、そのつもりで走っていただけに、総合26位は自分の中ではなかなか表現が難しいですね。

──現地では富田選手を応援するファンも多くいらっしゃいましたね。
RT:GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ参戦3年目ということで、僕を覚えてくれているファンも増えているのを実感していますし、SROの公式中継のなかで実況が僕の名前に触れてくれることもありました。とても光栄だと感じますね。やっとこのレースに出ている日本人ドライバーとして認知してもらえて嬉しいです。

 過去2年はコロナの影響で観客数の制限等もあったので、ほとんどファンの方とお会いする機会がなかっただけに、こんなにも多くのファンが応援してくれているのか、と嬉しく思いました。コースサイドでは通るたびにアウディのフラッグを振って応援してもらいました。気持ちも大きく変わりましたね。

──2024年からはWECやル・マンもGT3が出走可能になります。
RT:幼い頃からル・マンは憧れでしたし、レーシングドライバーとしての大きな目標でもあるので、もしさまざまな条件が整えば参戦はしてみたいですね。

──すでに発表があったとおり、WRTはLMDhでBMWと組むことが決まり、恐らくGT3でもBMWに変更することになりそうですが、WRTからの参戦継続を希望されますか?
RT:LMDhでBMWにスイッチする公式発表の前に、実はWRTの幹部から『来年ブランドが変わる可能性がある』と示唆されていて、それでもWRTでドライブする意思があるのか……と聞かれました。すでにWRTとは家族のような関係で、このチームでの居心地がとても良いんですが、僕はアウディが大好きで、今後もアウディでレースをしたいと願っているので、他ブランドからヨーロッパでレースをする気持ちはないですね。

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