自動車を歴史的視点で捉え、文化として根付かせたいとの想いから始まったヒストリックカー・イベントが「AUTOMOBILE COUNCIL (オートモビル・カウンシル)」だ。その想いに賛同した自動車メーカーやインポーター、ヒストリックカーを扱う専門店などが一同に会するこのイベントは、2016年にスタートし、今年で5回目を迎える。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催を危惧する声もあったが、入場者数の制限や徹底した感染対策を行って開幕。歴史や文化は何より継続することで培われる、という主催者の強い想いが結実したと言えるだろう。
歴戦の勇者が集うテーマ展示
トヨタが往年のスポーツカー「2000GT」の補給部品を復刻して再販開始
今回のイベントのテーマは「時代を進めたラリーカーの戦闘美」。“(一箇所に)参集する”という意味を持つラリーの起源は中世にあるが、19世紀末に始まった自動車競技のラリーでは、市販車で都市間を走破して製品の信頼性や耐久性をアピールし、技術の進化のテストベッドとしての役割を担って人々の耳目を集めてきた。その競技において特に人気を博していた1970~2000年代のラリー・ウェポンが今回の主催者展示として選ばれている。会場の幕張メッセ10・11ホールの中央には、かつて世界ラリー選手権(WRC)を戦ったランチア・フルヴィア・クーペ 、ランチア・ストラトス、フィアット・アバルト131ラリー、ランチア・ラリー037の4台が鎮座。日本勢ではサファリ・ラリーなどで日産自動車に数々の勝利をもたらしたダットサン・ブルーバード、240Z、バイオレットGT、ニッサン240RSが登場。SUBARUからは近年のWRCで活躍したインプレッサが持ち込まれている。
さらに今年はマツダが日本車として初めてル・マン24時間耐久レースで総合優勝を飾ってから30年に当たり、これを記念した特別展示「マツダ、ル・マン優勝までの軌跡」も行われている。世界一過酷な耐久レースと言われるレースを初完走したRX-7 254をはじめ、グループC2カテゴリーの737C、そして1991年にル・マン制覇を成し遂げた787Bが会場入口近くに居並んだ。独特の迫力を漂わせる歴戦の勇者たちを間近で観察できるという点でも、一見の価値ありだ。
先達に学ぶヒストリックカーの世界
このイベントが興味深いのは、競技などにおける歴史的価値を持つヒストリックカーの展示だけでなく、実際に購入できる車両が並んでいる点にある。20社近くの専門店が持ち込んだ車両の数々は、どれも自らが得意とするブランドやモデルに精通したメカニックによって整備されたものばかり。一般的な中古車販売とは一線を画した車両が扱われるという点において、何より安心感や信頼性の高さは絶大。会期中に成約される車両も多く、今回もイベント初日の午後にはすでに“売約済み”のプレートを掲げたモデルも散見された。このほか、マルシェ・ゾーンにはドライビングギアやモデルカー、自動車関連書籍といった様々なジャンルのアイテムを扱うショップが軒を連ね、ファッションやアートとのコラボレーションコーナーが設けられていたりと、あらゆる角度から自動車を捉えて、カーライフを豊かにしたいという思いがあふれていた。
最近では日本でもヒストリックカーをテーマとしたイベントが盛んになってきているが、一方で門外漢にとっては敷居が高く感じられるのも事実。そんな人たちに向けた、ヒストリックカーの世界への入口にもなるのがこのイベントだ。会場には様々なジャンルの専門家が集い、有益な情報交換が可能。その交流を通して歴史を学び、あるいは実際に購入して整備やドライビングから車を知り、愛情や愉しみの度合いを深めていくことができる。ヒストリックカーの世界は大人の社交場としての役割も果たしているが、そこで同好の士とともに本物を見る目を養い、次の世代へと受け継いでいくことが、何より文化の創生につながっていくはずである。
マツダからは787Bを始めとする独自のロータリー技術を用いたレーシングカー3台が展示された。
最も過酷といわれるサファリ・ラリーで活躍した日産自動車のラリーカーたち。
インプレッサWRCで一時代を築いたSUBARUは1998年(手前)と2008年仕様(奥)の2台を用意。
コンペティション仕様とデイトナ仕様という特別な2台のフルヴィア・ザガートも販売車両。
京都の専門店が扱うシトロエン2CVは、ヒストリックレンタカーとしても供される個体。
SUVのヒストリックモデルも根強い人気を誇る。奥はロシア製のUAZ(ワズ)2206。
雑誌『CG CLASSIC』の特集記事で扱われた、個人所有のナロー・ポルシェも登場。
自動車趣味を充実させるアイテムを取り扱うショップが軒を連ねる。
文/桐畑恒治(AQ編集部)
自動車専門誌『CAR GRAPHIC』で編集記者として取材・執筆から進行管理のデスク業務を担当したのち、ライター・エディターとして独立。専門知識を軸に読み手の知的好奇心を刺激する記事の執筆を心がける。
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