現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スーパーGT SUBARU BRZGT300 STI渋谷総監督「感覚の見える化」[1/2]

ここから本文です

スーパーGT SUBARU BRZGT300 STI渋谷総監督「感覚の見える化」[1/2]

掲載 更新
スーパーGT SUBARU BRZGT300 STI渋谷総監督「感覚の見える化」[1/2]

2018レースカーから探るSTIの先端技術 Vol.23

SUBARU BRZ GT300の2018年シーズンは、チームランキング11位で終了した。今季はトップスピードを求める空力ボディを開発することから始まり、代わりに失ったダウンフォースをどうやってシャシーなどでリカバリーしていくのか?という課題を抱えてスタートした。マシンはレースごとに改良がくわえられ、シーズン後半の第6戦菅生大会では優勝できた。尻上がりに調子を上げてきたところでシーズン閉幕となったが、来季に向けて渋谷総監督は何を感じているのか、話を聞いてきた。

トヨタ「プリウス」をマイナーチェンジ、スタイル一新とともにコネクティッドカーへと進化


その前に、渋谷真総監督とはどういう経歴なのか?スバルファンであれば、良く知られている人ではあるが、改めてお伝えしておくと、スバル入社は、操安乗り心地などに携わる車両実験部からスタートしている。実験部では、テストコースやサーキットを走り、ダイナミック性能の検証をするテストドライバーでもある。

開発車両はスバルの市販車全般であり、ステアリングやサスペンションだけでなく、空力も含めた総合運動性能評価を行なっていた。3代目レガシィやスバルSVXを任されたのが最初のモデルで、その後「気持ちいいってなんだ?気持ちいい加速とは?気持ちいい減速とは?」といった数値にできない感覚の部分を専門的に分析をする部署にも所属した。その部署はスバル研究実験センター、通称SKCにいまでも課として存在するスバルにとって重要な部署なのだ。

その後、車両実験部主査となり、次世代車の運動性能開発として、トミー・マキネンの協力も得ながら先行開発を担当し、そこで、ニュルブルクリンクを7分55秒というタイムで走れるインプレッサを開発した。そして現在市販されるBRZの操安性能は、まさに渋谷総監督の指揮で味付けが行なわれ、現在も販売されているわけだ。そうしたスバルBRZへの関わりもあり、SUBARU BRZ GT300への思いは人一倍強い。

シリーズ優勝をするために

さて本題だが、今季のGT300を振り返ると、シリーズ優勝した65号車LEON RACING メルセデスAMGとランキング2位の55号車AUTOBACS RACING TEAM AGURIのBMW M6のGT3勢はそれぞれ1勝と2勝している。そして65号車のノーポイントレースはゼロだった。参戦したすべのレースでポイントを稼いでいる。またシーズン3位となったJAFGT300の31号車apr(プリウス)は、優勝回数はゼロ。ノーポイントは開幕戦だけ。

このデータを見てもわかるが、チームがシリーズチャンピンを争うのは全レースでポイントを稼ぐことが必要ということが見えてくる。もともとスーパーGTというレースが、連勝のできない仕組みや、ぶっちぎりの強さとならないようにマシンの性能調整をするBoP(バランス オブ パフォーマンス)が行なわれている。だから毎レースで接戦となるレースが展開されているわけだが、そこでシリーズ優勝を狙うには、ポイントの稼ぎ方が重要になるというわけだ。

SUBARU BRZ GT300の戦績を振り返ると、優勝が1回、ノーポイントのレースが3レースもある。スバルより上位のシリーズ10位までのチームのポイント獲得を見ると、ポイントゼロがない、あっても1レースまでだ。全戦でポイントをゲットすることがいかに重要かがよくわかる。このあたりから来季の作戦、戦略が見えてくるだろう。


2019の目指すものは

渋谷総監督によれば、2018年シーズンはシリーズ優勝を目指し、そのためにはなにが必要か?ということの洗い出しから改良点を出し挑戦していた。そのひとつがトップスピードの改善、ブレーキの大容量化などであった。

そして2019年シーズンもシリーズチャンピオンを目指すのは当然だが、得意なサーキット、つまり過去にポイントの取れている鈴鹿、菅生、オートポリスでは上位を目指し、1回は優勝をする。そしてファンを沸かせるようなレースをすること。裏を返せば、優勝に絡むレースをすることで、そこでは確実にポイントが獲得できる。大きく見ればシリーズ優勝が見えてくるというわけだ。
 
NEXT:感覚の見える化


感覚の見える化

渋谷:「2018年の取り組みは『感覚の見える化』に取り組んでいました。各サーキットごとにシミュレーションを使って解析し、どういう車両要素がタイムアップにつながるのか?を研究しました。例えば、ダウンフォースが必要なのか、空気抵抗を減らしたほうがいいのか、あるいはタイヤのグリップアップでどの程度タイムアップできるのか?など車両のパラメーターを変えながら、サーキットベストを探すようなトライです。それはデータで走行性能を作るのではなく、ドライバーが感じている気になるポイントをデータで理解するということなんです。それが感覚の見える化なのです」

また、大きく変更できる箇所はレギュレーション上あまりなく、すべて細かい修正になるが、シミュレーションにより、改良点が絞り込めたことが大きいという。シミュレーションの解析によって答えが出るが、そこからスタートし、実走してさらに絞り込んでいく、という確認ができたことが良かったという。具体的にもドライバーは数値やグラフで、自分の感じている「マシンの動き」が何か?が見えるようになったという。

渋谷:「ドライバーも感覚ではわかっているけど・・・という部分が、グラフや数値で見るのは初めてなので、おそらく彼らはそのデータを見ながらドライビングスタイルというか、攻め方を変えていたと思います」

例えばある特定のコーナーではタイヤの負荷が大きいというデータがある。そこを攻めた場合と流した場合、タイムではどれほど差が出るのか。実はタイムに影響がない、という結果がでればそのコーナーは攻めずに、タイヤ温存のイメージで走れる。逆にタイム短縮に大きな効果があれば、思いっきり攻めてもらう、といったメリハリが分かりやすくなったのだという。

こうした感じていたことを数値化したことは、渋谷総監督が経験してきた開発ドライバーとしての過去も影響しているのだろう。数値にできなかったものが技術の発達によって、数値化できるようになった。そしてそのデータをチーム内で共有化し認識のベクトルを合わせることでマシンが成長していくというのが渋谷式であり、解を求める方程式なのだ。

渋谷:「ドイラバーから『ここがちょっと違うんだよなぁ』という時、それが5%なのか10%なのかが見えやすく、かつ、タイムに影響するのかどうか?まで分かることはドライバーにもいい影響があったと思います。ですから来季は改善マストなところを絞ってマシンづくりをします。選択と集中でより精度を高めていきたいと考えています」

今季は空力性能とダウンフォースの駆け引きに翻弄された時もあった。来季はどこに集中してマシンづくりをするのだろうか?<レポート:編集部>

> 特集 2018レースカーから探るSTIの先端技術
スバル STI 関連情報
スバル 関連情報
STI 公式サイト
スバル モータースポーツ 公式サイト
*取材協力:SUBARU TECNICA INTERNATIONAL

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
モリゾウがトヨタを激励。豊田スタジアム新コースでの“人力パワー”に観客から拍手/WRC写真日記
AUTOSPORT web
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
「エニカ(Anyca)」サービス終了…カーシェアはどこへ向かうのか?
ベストカーWeb
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
オジエが豊田スタジアムステージの苦手意識を明かす「僕たちはいつも遅い」/ラリージャパン デイ1コメント
AUTOSPORT web
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0550.0万円

中古車を検索
BRZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

332.2381.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

75.0550.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村