元2輪ライダーがスクラムターボで軽トラレースのテッペンを目指す
かつてヤマハ「TZ250レーサー」でレースをしていたという“かんぴょう”さんは、バイクレースを引退したことを機に軽トラレースにハマってしまったひとりです。軽い気持ちで軽トラレースを始めたものの、そこは元走り屋の血が騒ぎ、気がつけばマツダ「スクラム」をレース最速仕様に仕上げるまでになっていました。
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2輪時代に培ったメカの知識を駆使
走ることが大好きな大人が楽しむサンデーレースとして注目されているのがGTカープロデュースが主催する「Kトラワールドリーズ」だ。年間5戦のシリーズポイントで競い合うレースは、これまでコアなユーザーに支持されていたが、最近ではその気軽さから参加台数も増加。同時開催のサーキット走行会も含めて大盛況だ。
現在、60歳になる“かんぴょう”さんは、大昔、2輪レースを経験し、韋駄天の如くヤマハ「TZ250レーサー」で富士スピードウェイを駆け抜ける青春時代を過ごしていた。さすがにバイクレースは危険なので引退し、今はSNSで見かけた「観ても参加しても楽しめる軽トラレース」の触れ込みに誘われて、Kトラワールドシリーズにどっぷりハマってしまったと話す。
最初はお試しのつもりで参加した軽トラサーキット走行会だったが、走って見ればクルマは遅いけど、それなりに楽しめることを知ってしまった“かんぴょう”さん。そこから走り屋のスイッチが入ってしまったらしく、気づいたら自宅に置いてあったマツダ「スクラムターボ」をいかに速く走らせることを真剣に考える日々。若い頃に2輪レースで鍛えたテクニックとレースにおける勘所を活かすためには、マシンもそれなりのポテンシャルが必要と考え、次第にチューニングもエスカレート。その愛車は現在、流用パーツを駆使して、良く走り、良く曲がり、振り回して楽しめる仕様としてテコ入れチューンを施したという。
アトレーのターボエンジンをハイパワー化して換装
ご存じの方も居ると思うが、マツダ スクラムはスズキ「エブリイ」のOEM車なので、基本的に機能系パーツの組み換えはエブリイ用がそのまま使える。だが、根本的に搭載しているエンジンの戦闘力が低すぎるため、パワー不足はどうにもカバーできない。そこで“かんぴょう”さんは、エンジンを別の車種から流用できないかを模索。走りの好きの友人たちにも相談し、いろいろと調べた結果、ダイハツ「アトレー」用のターボエンジンがパワーもあり、若干の加工で搭載できることが判明。2輪時代に培ったメカの知識を駆使して、自分でアトレーターボエンジン換装を行ったそうだ。
また、エンジン載せ替えに際しては、よりハイパワーを狙うべく、知り合いのチューニングショップにお願いしてエンジン本体の高効率化とタービン交換を依頼。その内容とは、鍛造ピストン、ポート研磨、ハイカム、メタルガスケットによってハイブースト対応ユニットして作り込み、タービンも純正ベースでハイフロー加工を施したモデルに交換。最大ブーストはMAX1.3kgf/cm2を常時仕様として使うという。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
駆動系と足まわりの強化でコーナリング性能もアップ
エンジンパワーアップに伴って駆動系はクラッチをメタルプレートに交換し、デフはクスコRS機械式LSDをセットすることでタイヤに無駄なくパワーを伝達。ミッションは純正のままだが、ファイナルギアを5.3のローギアに交換して回転上昇を意図的に速め、小気味よくシフトアップできるようにセッティングを出す。その効果は、純正と比較すると各コーナーで1速アップで駆け抜けることが出来て、タイムアップにも効果を発揮したと話す。
また、足まわりはフロントがGTカープロデュース製の車高調キットにリアは逆付けリーフ仕様+強化スタビライザーを装着させた仕様。純正と比べたらロール量はかなり減ったものの、より速く走るためには、もう少し硬い方が好みということで、今後もセッティングも含めて、イジり方は模索中ということだった。
狙うは年間シリーズチャンピオン
軽トラのチューニングについて“かんぴょう”さんはこう語ってくれた。
「流用できるパーツも数多く、また、パーツも安くイジりやすいメリットがあります。元の状態がスポーツ走行とはかけ離れているクルマなので、走りに振った仕様として作り込むと、その変化の大きさに驚き、逆にそこが楽しみにもなります。今ではすっかりクルマ作りにハマってしまって、イジることで良くも悪くもダレクトに現れる効果が面白くてたまらないですね。今後は、このスクラムターボで上位入賞を重ね、確実なシリーズポイント獲得と、年間シリーズチャンピオンを目指します」
ちなみに、2024年は全5戦中すでに2戦を終えて、残り3戦の開催を予定。日程は第3戦9月15日(日)スパ西浦モーターパーク(愛知県蒲郡市)、第4戦10月27日(日)幸田サーキットyrp桐山(愛知県額田郡幸田町)、第5戦12月15日(日)名阪スポーツランドCコース(奈良県山辺郡山添村)ということだった。興味のある方は、まずはギャラリーで観戦しに行ってもらいたい。そこでは世にも珍しい軽トラによる熱きバトルが繰り広げられているのだ。
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エブリイはワンボックスタイプだし、昔はワンボックスもキャリイでした