■日本に1台のフェレット、そのスペックは?
2022年5月上旬、コンビニの駐車場に駐車している、非日常的な光景が話題になりました。
それは「フェレット」という英国陸軍がかつて製造していた装甲車となります。どのような特徴あるのでしょうか。
【画像】迎えに来たらどうする? とりあえず「紅茶」を飲もう! フェレットの内外装を実車で見る!
フェレットは、1952年から1971年にかけて4400台あまりが、イギリスの自動車メーカーのデイムラーによって製造されました。
90km/h以上での高速巡航が可能なうえ、小型かつ悪路走破性能にも優れていることから、おもに偵察車両として活躍し、イギリス連邦加盟国のなかには、現在でも現役で利用されている例も見られます。
実際、フェレットのボディサイズは、全長3.7m×全幅1.91m×全高1.88mであり、全長は軽自動車、全幅と全高は大型のSUVやミニバンなどと同程度と、軍用車両としては比較的コンパクトです。
ただ、鋼鉄製のモノコック構造が採用されている装甲車であるため、車両重量は3.7tと一般的なクルマのおよそ2倍となっています。
このボディを動かすのは、第二次世界大戦当時のイギリスを代表する単座戦闘機「スピットファイア」に搭載されていた航空機用エンジンの「マーリン」から派生した戦車用エンジン「ミーティア」をベースとして開発された、ロールス・ロイス製のB60 4.3リッター直列6気筒エンジンです。
最高出力は130psと現在の水準からすると控えめですが、3750回転でレッドゾーンに突入するという超低回転型エンジンであり、太いトルクを持っていることが特徴で、燃費は2、3km/L程度のようです。
トランスミッションはMTですが、非常に簡素な仕組みのもので、相当な慣れがないと運転するのは難しいといいます。
駆動形式は4WDで、タイヤはランフラットタイヤが採用されています。
乗車定員は「車長」と「操縦士」2名です。ただし、一般的なクルマのように横並びのシート配列ではなく、バイクのように前後に座るタンデムスタイルです。
ちなみに、「英国車」であるフェレットには、「ボイリングベッセル」というお湯を沸かし紅茶を淹れるための装備や保温するための魔法瓶が標準装備となっています。
軍用車両としては比較的小型であることや、現在でも一部の国で現役で運用されていることから部品の入手がしやすいといった理由で、海外の「軍用車コレクター」の間ではメジャーな存在であるというフェレットですが、日本では今回話題となった1台しか存在していません。
なお、日本に1台だけとなる今回のフェレットは1963年製の個体で、英国陸軍第1機甲師団第7機甲旅団に所属し、湾岸戦争にて「グランビー作戦」や「砂漠の剣作戦」に参加した記録が残っています。
※ ※ ※
その貴重な1台を所有しているのが、軍用車コレクターの「基地司令@軍用車コレクター(@Military_AFV)」さんで「ミリタリーアンティークス大阪」という私設博物館を運営しています。
この博物館には、フェレット以外にも「モーリス・コマーシャル CS8汎用トラック」という1940年製の輸送車両や、「エクセルシオール ウェルバイク」という1942年製の空挺部隊用の折りたたみバイクなどが展示されています。
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みんなのコメント
重量3.7tということは、マーク3かな。トランスミッションは前後進ともマニュアル5速だったような。
エリコン20mm機関砲を搭載したフェレット80は重量が6.5tあり、ボディーサイズも全長4.23m、全幅2.34m、全高は2.35mに拡大、エンジンはパーキンスのディーゼルに変えられて航続距離560kmとなっていました。