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タイヤ幅が狭くなる2026年のF1マシン。”テスト車両”がない中でも、現行同等のグリップ発揮にピレリ自信「そんなのは毎年一緒……新しいことじゃないよ」

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タイヤ幅が狭くなる2026年のF1マシン。”テスト車両”がない中でも、現行同等のグリップ発揮にピレリ自信「そんなのは毎年一緒……新しいことじゃないよ」

 先日FIAは、2026年シーズンから導入される新しいF1のテクニカルレギュレーションの概要を発表。これによれば、マシンは小型・軽量化されることになるが、その一環としてタイヤの幅も狭められることになる。

 タイヤの幅が狭まるということは当然、接地面積が減ることを意味し、それはつまりグリップ力が低下するということに、普通ならばつながる。ピレリはそうなったとしても、現在と同じだけのグリップ力を発揮するべく開発を続けていくという。

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 2026年のF1テクニカルレギュレーションでは、フロントタイヤの幅を25mm、リヤタイヤの幅を35mm縮小することになった。タイヤの直径も現行の720mmから705~710mmに小さくなるが、ホイールの直径は現在と同じ18インチが維持される。

 ただタイヤのサイズが小さくなっても、グリップが大幅に低下することはないだろうと、FIAは考えているようだ。

「タイヤが変わることによって、メカニカルグリップに大きな違いが出るとは予想していない」

 FIAのシングルシーター・テクニカルディレクターを務めるヤン・モンショーはそう語った。

「タイヤが小さくなるため、若干グリップ量が減るかもしれない。でもそれは、我々にとっては大きく懸念される変更ではない」

 ホイールの径も16インチに小さくするという案もあったが、FIAとピレリは、すでに複雑になっているテクニカルレギュレーションの変更に、これ以上の変数を加えるのは賢明ではないと判断したようだ。

「2026年にタイヤが懸念材料になることは望んでいない。トラクションで膨大なパワーを発揮する新しいパワーユニットに対して、タイヤのサイズを大幅に小さくすることに関しては、少し不安も感じていたのだ」

 そうモンショーは言う。

「タイヤサイズの縮小は、みなさんが予想していたほどではない。しかし今存在していて、かなり満足できている製品から、あまり大きく逸脱したくはなかったんだ」

 18インチホイールを維持することにより、現在のF1タイヤにおける最大の批判点とも言えるオーバーヒートに適切に対処できるチャンスが広がると、ピレリのモータースポーツ・ディレクターであるマリオ・イゾラは語る。

「我々は重量を軽減するために、幅の狭い18インチタイヤを提案した。我々の考えでは、このサイズは、重量軽減と2026年に求められる特性を備えたタイヤとの間の、良い妥協点だ」

 そうイゾラは言う。

「16インチになった時、タイヤにおける負荷の許容量と、オーバーヒートの可能性について懸念していたんだ。シミュレーションをいくつか行ない、18インチのままにする提案をしたところ、それが受け入れられた」

 タイヤの幅を狭くすることで、車重を4~5kgほど軽量化できる見通しである。FIAは2026年のマシンを、現在のマシンよりも30kg軽くする目標を掲げているが、このタイヤでの軽量化は、その目標に大きく寄与するだろう」

 FIAはピレリに対し、2026年用タイヤの開発を進めるためのテストの機会を増やすことを認める方針だ。しかしピレリとしては、テストに充てるための”ミュールカー(テストカー)”がなく、それがハードルになる可能性がある。

 ピレリとしては、今年の9月には2026年用のプロトタイプタイヤを用意できるとしているが、2026年用マシンと同じ負荷をかけられるマシンは、現時点では存在していないのだ。

「ミュールカーはあるけど、現行のマシンだ。2026年のマシンと比べれば大きいし、重い。アクティブエアロもなければ、ダウンフォースを発生するコンセプトも違う」

「そういうマシンで幅が狭くなったタイヤをテストすることで、データを収集できる可能性が生まれる。でも、正しい方向に進んでいるかどうかを理解するためには、シミュレーションと走行データの両方をチェックする必要がある。実走テストだけに頼ることはできない」

「2016年にも同じような状況があった。2017年のマシンは、前年よりも1周あたり5~6秒速かったからね」

「我々は、2026年に起こるとされるダウンフォースの構成でテストを行なう予定だ。本当の問題は、今の方が空気抵抗がかなり大きくなるということだ。我々は2026年からのマシンを持っていない……つまりアクティブエアロを試すためのクルマがないんだ」

 2026年のテクニカルレギュレーションは、まだ確定していない。しかしながら、ピレリは2025年の9月1日までに、タイヤの構造を確定させる必要があるため、非常に厳しい開発スケジュール となる。ただイゾラは、このプロジェクトを成功させることができると確信している。

「正直に申し上げて、今回のことは何も新しいことではない」

 そうイゾラは言う。

「これまでに行なわれてきた大きなレギュレーション変更の時も同じだった。我々はかつてと同様に、将来に向けて最高のタイヤを作るために、最善を尽くしているんだ」

「いくつかの制限があることは承知している。でも、必要な特性を備えたタイヤを供給するために、可能な限り最善の方法で取り組んでいる。1年目に完璧ではなかった場合には、翌年に向けて微調整する。いつものことだ」

「レギュレーションが変更されなかったとしても、同じことなんだ。チームはマシンを開発しており、我々はそれに対して、追従しなければいけないからね」

 なおFIAのシングルシーター部門担当ディレクターのニコラス・トンバジスによれば、現在BBSのワンメイクとなっているホイールは、複数のメーカーが参入できるように門戸が開かれる予定だという。

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